2014.11月定例県議会-発言内容(吉川彰一議員)

 

◆吉川彰一

 昨日、総選挙が公示され、各党各候補の舌戦が始まったところです。この選挙での論点の一つに、消費税の日常生活品への軽減税率の導入の可否が挙げられているところです。日常生活品と一くくりに言いましても、農家の方々の軽トラも上場企業の社長さんの黒塗りのセダンの車も、それぞれの方には日常生活の1こまになっているものでしょう。

 我が国の消費税はEUにおける付加価値税が一つのモデルとなっており、フランスを例にとれば、標準税率20%、食料品は5.5%、外食サービスは10%などとなっており、我が国においても、平成元年の税率を3%とした消費税導入に当たり、さらに平成9年の5%への改正、そして平成26年の8%への改正でも、こうした議論はあったかと思います。

 今回、本来予定されている税率10%への改正を平成27年から1年半先送りの上、改めて改正するという安倍政権の案を前提とした場合、こうした議論が生起することは考えられる成り行きであり、このことについてこの場で各党の政策の優劣ですとか可否を申し上げるということではありません。

 ここで一つ考えていただきたいことがあります。天丼、カツ丼、牛丼、うな丼、これをぜいたく品と日常生活品に分けていただきたいと思います。答えは57人の議員の皆さんそれぞれであり、同じ政党や会派に属されていても理由や考え方はそれぞれであると思います。

 仮に吉野家の牛丼1杯300円が日常生活品であったとしましょう。では、この議場の裏手にある牛肉料理で有名なお店では仮に牛丼が1杯1,000円であったとすれば、これはどうでしょうか。さらに、どちらのお店にもお願いして、牛肉、お米、野菜、これを同じもので調理してもらい、価格はおのおの300円、1,000円だとした場合はどうでしょう。逆に、謝恩セールなどにより同じ価格になった場合はどうでしょうか。大変込み入った議論になることがおわかりいただけるかと思います。

 また、消費税の税負担のあり方は、高負担高福祉の社会を志向するものなのか、あるいは低負担低福祉の社会を志向するものなのかといった国のありようですとか、さらに、先ほど申し上げましたように、人の価値観、生き方に深くかかわり、問われていると感じるところでございます。

 そこで、阿部知事に、この軽減税率について政策としてどのように評価するのか、お尋ねいたします。

 次に、この議論と並行して、インボイスの導入も消費税導入以来の議論となっているところであり、これについても産業労働部長にお尋ねするところです。

 インボイスとは、消費税の課税取引となる物品の購入ですとか役務の提供に際して支払う金額の中で幾らが消費税等の金額かを示す証標です。現在の消費税にはこれはなく、帳簿方式と言われる会計帳簿組織の帳票に基づいて税額を計算する方式がとられています。このことから、間接税の体裁をとりながらも間接税ではないという識者もいる原因にもなっているところです。

 現在の計算方式では、大手のデパートやスーパーでは端数の計算方法などによって数億円の差異が出ると言われています。インボイスの導入により、こうした課題に一つの解決策となる反面、商工会からは懸念が示されているように、小規模事業者への事務負担ですとか、あるいは課税事業者を決める免税点の課題も議論となっているところでございます。

 そこで、このインボイスの導入の事業者への影響をどのようにお考えになるか。お尋ねいたします。

 また、これに関連して、租税社会学という研究領域があるそうです。この研究をされているある研究者の方の説によれば、先進国中の我が国の国民の税負担率というものは決して高くはないのに負担感は非常に高い、ということは税の使い方に課題があるのではないかという論説をお聞きしたことがあります。

 そこで、阿部知事に、新年度に向け、阿部県政2期目のスタートの予算を県民の視点からどのように編成される方針か、お尋ねいたします。

 

◆知事(阿部守一)

 消費税についての御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 まず、軽減税率についてでございます。

 消費税率の引き上げを行う場合には、消費税がもともと低所得者層ほど税負担が重くなる逆進性ということが指摘されているわけでありまして、配慮をしていくということが求められてくるわけであります。そういう中で、生活必需品の税率を低くするお話の軽減税率、あるいは給付つき税額控除、さまざまな対応というのが考えられるわけであります。

 軽減税率の導入に関しましては、家計への影響が緩和される一方で事業者の事務負担が増大をするということもございます。また、吉川議員御指摘のとおり、対象品目の線引きをどうしていくのか、区分経理の方式をどうするか、さまざま検討を要する課題があるというふうに考えております。

 こうしたことから、この導入に当たりましては、メリット、デメリットを広く明らかにした上で、国民的なコンセンサスを得ていくということが必要だと思っております。

 低所得者の負担軽減につきましては、さまざまな方法がございますので、十分な検討を行った上で適切な配慮が行われるということが重要だと考えております。

 それから、もう1点、県民の視点からの予算編成についてという御質問でございます。

 県の行政運営、県民の皆様方の税負担によって支えていただいていると。常にこのことを意識しながら施策を推進する、仕事を行うということが必要だと考えています。

 当初予算編成に当たりましては、今期の県政、共感と対話ということを基本に据えていきたいというふうに申し上げてきておりますが、県民の皆様方の御要望、御意見、こうしたものをしっかりと把握しながら、県民の皆様方のニーズに即した、期待に応える、そういう予算にしていく必要があると考えています。

 他方で、ニーズばかり聞いているわけにはいかないわけでありまして、限られた財源をどう使うかということをしっかり考える必要がありますので、サービス提供を受ける県民の皆様方の視点だけではなくて、税負担をする県民としての視点ということも重要なことだと思っております。

 来年度の予算に向けましては、地方創生の動きも注視しつつ、人口減少社会への対応に向けた取り組みを全庁挙げて進めていきたいと考えておりますし、もう1点、今回のたび重なる災害の教訓を踏まえて防災・減災対策にも重点的に取り組んでいきたいと考えております。

 県民の皆様方の声をしっかりお聞きしながら、期待に応えられる予算づくりに努めていきたいと考えております。

 以上です。

 

◆産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 インボイス導入による事業者への影響についてのお尋ねでございます。

 今後、軽減税率が導入された場合には課税される事業者には区分経理という新しい事務が発生することになります。また、仕入れ税額控除を正確に行うために、適用税率や税額などを記載するインボイスの導入も現在検討されているところでございます。

 しかし、インボイス方式は、吉川議員御指摘のとおり、事業者にとってその発行や保管といった事務的負担が大きいこと、また、課税される事業者が免税事業者から仕入れをした場合、その仕入れ控除ができないため免税事業者がその取引から排除されるおそれがあることなどから、特に小規模事業者への影響に留意していくことが必要と考えております。

 県といたしましては、事業者負担の軽減が適切な形で行われるよう、今後の国における検討を注視してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆吉川彰一

 御答弁いただきました。共感と対話で予算編成を行うというのは非常に大事なことだと私もお話を聞いていて思ったところでございます。そしてまた、地域を支える小規模事業者、これはますます地域を守るという中で大切なことかと思いますので、小規模事業者に寄り添った政策を支えていただくようお願いしたいと思うところでございます。

 そしてまた、消費税を導入する以前より大型間接税導入についての議論は、古くは大平内閣、中曽根内閣から議論をされてきたところでございますけれども、中曽根内閣におけるいわゆる売上税の導入を目指しているときに、広範な非課税品目を計画し、その裏には業界団体と族議員が見え隠れしたと言われております。軽減税率の品目が今回の総選挙での論功行賞とダブるようなことが決してないようにしてほしいものであると願うところでございます。

 次に、統合型リゾート、いわゆるIR型特区について質問いたします。

 国際会議場や展示施設などいわゆるMICEの施設、ホテル、ショッピングモールなど商業施設、レストラン、劇場や映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設や温浴施設にカジノを含んで一体となった複合観光集客施設を、シンガポールなどを参考に、特区として法整備をして推進していこうという動きがあります。法案は国会に提出されながら衆議院が解散され、この判断は新たに選ばれる国会議員の皆さんに委ねられることになりました。

 メリットとデメリットとしては、国内外からの観光客の誘致やいわゆるMICEの振興、地域の経済波及効果や雇用促進、税収や新規財源の創出につながるというメリットとしての考え方がある反面、ギャンブル依存症患者の発生や犯罪など周辺環境への悪化の懸念材料が示されているところでございます。

 このIR型リゾートの中核となるカジノで想起されるアメリカ・ラスベガスでは、カジノの経営は見た目の華やかさとは対照的に順調なところは少ないとも言われております。そしてまた、韓国では、このリゾートの周辺に質屋が林立し、ギャンブル依存症の患者が発生し、自己破産やそれに伴う一家離散など社会問題も生まれていると言われています。

 こうした課題をある程度管理できていると言われているシンガポールを日本はモデルにしているとも言われていますが、もくろみどおりに成功するのかどうかは未知数です。

 現在、大阪や横浜といった大都市ばかりか、経済界から声が上がっている秋田市のように地方都市でも関心を持っていると言われる地域も生まれているところでございます。

 MICEやアミューズメントパークの代表格である東京ビッグサイトや幕張メッセ、東京ディズニーリゾートなどを考えた場合、広大で平たんな用地の確保が必要であり、私は山間部が大半の本県ではIR型リゾートの開発は不適であると考えておりますが、本県においても検討の動きはあるのか、もしあるとすれば対応の方法はどのようにお考えなのか。野池観光部長にお尋ねします。

 次に、リニア中央新幹線の建設工事についてお尋ねいたします。

 1017日にJR東海は国土交通大臣より建設認可を受け、先月、数回にわたって関係各市町村ごとに住民説明会がJR東海によって行われました。どの会場も大勢の皆さんが参加され、説明には真剣に耳を傾け、質疑が行われたことは、連日の報道からも御承知のとおりかと思います。

 その中で、下伊那郡内の直接工事にかかわる大鹿、喬木、阿智、豊丘各村の村民の皆さんより、工事着手に際してのJR東海との協定の締結を願う声が聞かれました。JR東海側からは、災害や事故など不測の事態の場合の対応については文書を交わしてもよい旨の明確な答えがあったと記憶しておりますが、村民の皆さんは、こうした不測の事態ではなく、例えば毎朝夕の子供たちの登下校時の工事車両の運行やルートといった日常の中での出来事について協定を結んでほしいという意味合いで質疑されていたと記憶しております。

 JR東海側からは、環境影響評価の中で記述されている部分については厳しく見積もりをしてあり、それに基づいて工事を行うのであえてこの種の協定を結ぶことは必要ないとの答えでした。

 住民の皆さんが協定を交わしたいと意図するところは、災害や事故などの不測の事態よりも、日常の生活の中での懸念について明確にしておきたいということであったかと思います。

 大鹿村での説明会は夜遅くにまでわたり、質疑の中で住民との合意なくして工事着工はないと答えたJR東海は、今月17日には東京、名古屋で着工するとの報も伝えられる中、郡内の関係各村では現在時には厳しい話し合いが続けられておるところであります。

 阿部知事には、JR東海に対して、地元との協定の締結を強く要請していただきたいと考えておるところです。これについてのお答えをお願いし、私からの質問を終わらせていただきます。

 

◆観光部長(野池明登)

 統合型リゾート、IRの開発の検討の動きが県内にあるかとの御質問でございます。

 本県におきましては、これまでに誘致の具体的な動きはお聞きしておりません。

 なお、統合型リゾートの開発は、地域に与える経済的なプラスの効果だけでなく、議員御指摘のとおりマイナスの影響も懸念されていることから、慎重な対応が必要な課題と考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆知事(阿部守一)

 リニア中央新幹線の建設についての文書での確認ということでございます。

 JR東海には、たびたび私からも、地元の協力なくして事業は進まないということを申し上げてきておりますので、地元の皆様方の御要望されているような点、合意事項については文書で確認をしてもらうようにしっかり求めていかなければいけないというふうに思っています。

 私が会長を務めておりますリニア建設促進長野県協議会でも、さきに開催した総会におきまして建設工事に関する地元からの要望について合意事項を文書で取り交わすことを求める決議を行って、JR東海に要請しています。この決議の趣旨をしっかりJR東海が守ってもらえるように対応していきたいと考えています。

 以上です。

 

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