6月定例県議会-発言内容(吉川彰一議員)

◆吉川彰一

改革・新風の吉川彰一です。地球に優しいという言葉が初めて登場したのは今からおよそ20年ほど前のようですけれども、今、本当に私たちは地球に優しくなったのでしょうか。

 地球温暖化は一層憂慮される中、気候変動が県民生活にも影響を与えていると思われますが、そうした視点より質問をさせていただきたいと思います。
 一昨年、和歌山県を中心に襲った集中豪雨、昨年の茨城県の竜巻を初め、最近の自然災害の恐ろしさを知るにつけ、より局地的な自然現象を迅速に把握する必要があると考えます。
 また、気象庁は8月より特別警報の運用を開始することになっております。
 自然災害のリスクに対応するためますます重要となる情報収集や伝達への取り組みについて久保田危機管理部長にお尋ねします。

 また、本年は全国的に近年まれに見る少ない降雨量が渇水を引き起こしている状況ではありますけれども、5月26日に国土交通省中部地方整備局主催の天竜川上流水防演習が飯田市にて大規模に開催されました。本県よりも、統裁を務められた阿部知事を初め、多くの関係者が参加されました。この演習から得たもの、あるいは課題になった点もあろうかと思います。こうした反省を北村建設部長にお尋ねします。
 さらに、温暖化により植生が現在より北上すると言われ、例えば果樹農業振興基本方針に示される温州ミカンの適温である年平均15度から18度の温度域が2020年代には山陰地方を中心とした本州の日本海側に広がり、2040年代には山陰地方を中心とした本州の日本海側に、2060年代には南東北の沿岸部まで広がるとされています。

 こうした気候の影響から、飯伊地域特産の市田柿も、現在、飯田市の一部に生産に不適と言われる地域が発生するようになりました。

 本県農政も、こうした長期的な視点の中で何らかの対応が必要になってくると考えられますが、中村農政部長のお考えをお尋ねします。

◆危機管理監兼危機管理部長(久保田 篤)

 気象情報の収集、伝達の取り組みについての御質問であります。
 県の対応の主なものを申し上げますと、長野地方気象台が大雨警報、洪水警報などの気象情報を発表したときには、防災行政無線ファクスで地方事務所、建設事務所等の県の防災関係機関、県内の全市町村や消防機関に気象情報を自動的に伝達するシステムをつくっております。

 また、リアルタイムの雨量、河川の水位や土砂災害の危険度などの情報を県のホームページやメールで提供する河川砂防情報ステーションを運用しております。

 また、加えて、危機管理部では、災害への迅速な初動対応がとれるよう、職員2名により36524時間体制で宿日直を行っております。
 大雨警報、洪水警報などが発令されますと、勤務時間内では庁内放送を行います。また、知事以下関係職員や関係地方事務所に電子メールで迅速な情報伝達を行っております。

 お話のございました特別警報でございますけれども、台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨の予想がされる場合に発表されるものでありまして、この特別警報は県から市町村への通知が義務化され、市町村は住民への周知の措置が義務化されます。県として迅速で確実な気象情報の収集と伝達に今後とも徹底してまいります。

以上です。

◆建設部長(北村 勉

 天竜川上流水防演習についてのお尋ねでございます。
 この演習は、天竜川水系として県内では平成13年度以来12年ぶりに開催された大規模なもので、去る5月の26日に、飯田市及び伊那市を会場に、関係機関や地域の皆様を含め約2,000人の参加をいただきました。
 この演習から得たものとしては、国、県、市町村、消防団、自衛隊などが大規模な水害や土砂災害への対応、演習を合同で実施することによって、関係機関相互の連携をより深めることができたという点が挙げられます。
 さらに、関係団体の意識高揚や、実際に水防活動に携わる消防団の技術の研さんを図る上で大変有意義でありました。

こうした観点から、毎年地区ごとに行われる水防訓練を継続的に実施していくことが重要であると考えております。
 今回は地元の高校生や小学生に土のうづくりの体験をしていただきましたが、今後はより多くの地域の皆様や企業の皆様に気軽に参加や見学をしていただき、水防に対する関心を高めていくことが課題であると考えております。
 以上でございます。
 

 

◆農政部長(中村倫一) 

 

温暖化への長期的な視点に立ちました農業面での対応についてでございます。
 県の農業関係試験場におきましては、温暖化に関する研究課題につきまして、速やかに解決しなければならない短期的な課題と中長期的な課題に整理をいたしまして研究を進めているところでございます。
 果実の日焼けですとか病害虫の発生など、こうしたものへの対策などにつきましては短期的な課題として既に研究に着手をしているところでございます。
 お尋ねの長期的な対応につきましては、平成22年度に農業試験場が開発をいたしました、温暖条件下での作物の栽培適地を予測するシステム、MMVシステムと申しておりますけれども、これを用いまして、果樹や野菜の品目別の将来的な栽培適地の移動を解析するためのシステムでございまして、現在、品目別の栽培地情報を入力できますようにシステムの改良を進めているところでございます。

 今後は、この改良した予測システムに、これから公表される見込みでございます気象変動に関する政府間パネル、IPCC第5次の報告の気象予測データを用いまして精度の高い栽培地の移動予測を行いまして、この予測結果に基づきまして温暖化対策技術の開発を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
 

 

◆吉川彰一 

 

温暖化により発芽や開花が早まれば遅霜の影響を農作物も受けやすくなるわけでございますけれども、4月には本県で甚大な凍霜害が発生し、なおその影響は引き続き発生の途上にあると考えます。
 この今回の凍霜害に対し、県では、発生前の注意の喚起や発生後の速やかな対応は図れたのでしょうか。特に、農業改良普及センターがきめ細かな対応が図れたのか。お聞きいたします。

 また、今議会の初日に、阿部知事より、今回の補正予算に当面の対応策となる補助金を計上したと説明がありましたが、その詳細を中村農政部長にお尋ねします。

 また、殊に果樹は永年性作物であり、本年の減収もさることながら、来年の生産への影響も懸念されます。
 一昨年、JAみなみ信州が、高森町、松川町の70歳以上で後継者未定の果樹生産者270戸に対して経営意向調査を実施したところ、10年後営農を継続しているのか不明との回答が8割に迫り、地域として農業の維持に対して既に大きな不安を抱える中、今回、甚大な凍霜害が発生したことにより営農継続を断念する農家が出るのではないかと大変心配されます。
 このため、今回の凍霜害の被害農家が今後も営農を継続できるための支援が大変重要になってくると考えますが、どのような支援策を考えているのか。あわせてお聞きいたします。
 

 

◆農政部長(中村倫一) 

 

凍霜害に対する3点についてのお尋ねでございます。
 最初に、凍霜害の技術対策についてでございます。
 まず、事前の対策といたしまして、前日の気象予報によりまして大変厳しい冷え込みが予想されましたので、農業改良普及センターを通じまして、農業者に対しまして防霜ファンや燃焼法などによりまして農作物被害を未然に防ぐように情報の提供を行ったところでございます。
 また、被害発生直後から、農業改良普及センターの職員が市町村、JAなどと連携をいたしまして現地に出向いて被害の状況の把握を行いますとともに、これまでに合計154回に上ります指導会を開催をいたしておりまして、人工受粉の実施あるいは摘果作業の見合わせ、さらには来年度の花芽を確保するための果樹の栽培管理技術指導などを行っているところでございまして、今後も引き続き果樹の生育ステージに応じましてきめ細かな技術指導を実施してまいります。
 また、5月の16日には、各農業改良普及センターに設置をいたしました凍霜害に係る被害農業者相談窓口を通じまして、被害農家の技術面、そしてまた経営面の相談に対応して農家の支援を実施してまいります。

 二つ目の凍霜害対策の6月補正予算の詳細についてでございます。
 今回、農作物等災害緊急対策事業としてお願いをいたしております予算は、凍霜害の被害を最小限に食いとめるために、飯田市ほか8市町村が実施をいたしました対策事業費の10分の5を助成するものでございまして、予算額は2,6366,000円でございます。
 具体的な事業の内容といたしましては、被害を受けました野菜の植えかえ用の種苗、そしてまた凍霜害の影響を緩和するための燃焼用の資材、さらには果樹の結実を確保するための人工受粉用の花粉の購入、配布など、市町村が緊急に実施をいたしました取り組みを支援をするものでございます。

 今後の被害農業者の支援対策についてでございます。
 県といたしましては、緊急支援対策に加えまして、ことし、来年に向けての対策といたしまして、市町村、生産者団体等の具体的な御要望をお聞きいたしまして、営農資金への利子助成や被害を受けた農産物の販売促進のための貯蔵、輸送などの流通・販売対策への支援をしてまいります。
 また、甚大な被害を受けられました農業者の営農継続を支援するための新たな対策につきましても、今後、9月までに検討いたしまして、実施をしてまいります。
 さらに、将来に向けた災害に強い体制づくりといたしまして、果樹共済制度の充実強化を国に要請をいたしますとともに、補助事業を活用した防霜ファンなどの被害防止施設の整備などを進めてまいります。

 これらの対策を、さきに公表をいたしました凍霜害対策の基本方針に基づき体系的に実施をいたしまして、被害農家の支援と災害に強い体制づくりを進めてまいります。
 以上でございます。
 

 

◆吉川彰一 

 

ただいま中村農政部長の答弁にもありました防霜ファンのさらなる設置を力強く推進していただき、あわせて農業共済制度を使い勝手のよいものとしていただきますことを私からも改めて要望させていただき、次の質問に移らせていただきます。

 この凍霜害により5億円を上回るとも言われている大きな被害を受けた市田柿ですが、再生に向けての取り組みの一つとして重要と考えるのは、今回立ち上がった信州ブランドへの大きな位置づけを図ることかと思います。
 信州ブランドのクラスターに市田柿は必要不可欠というふうに考えております。観光という視点からとらえるならば、秋には下伊那地域の農家の軒やひさしに広がるオレンジ色の柿すだれの光景は観光という視点からも多くの人を引きつけるものとなるかと感じます。

 信州ブランドのコンセプトや戦略は国際的な視点に立つものととらえますが、信州に生まれ育った私たちの日常の光景が世界の人々に感動を与える挑戦的な取り組みであると考えます。これに対する意気込みを、この市田柿のオレンジ色の柿すだれの光景に思いを込めながら、野池観光部長にお尋ねします。
 さらに、今回大きな被害を受けた市田柿のブランド力向上にどう取り組んでいくのか。食としての視点を中村農政部長にお尋ねして、私の一切の質問を終わらせていただきます。
 

 

◆観光部長(野池明登) 

 

信州ブランドが世界から認められるための取り組みについてのお尋ねでございます。
 この3月に策定をいたしました信州ブランド戦略でございますけれども、信州の美しい風景、健康長寿のライフスタイルなど、信州の日常そのものが他の地域や世界から見ると実は大変大きな価値があるということを大事な視点にしているところでございます。

 また、県民向けのスローガンといたしまして「掘り起こそう、足元の価値。伝えよう、信州から世界へ。」というものを掲げまして、身近にある有形無形の価値の発掘と発信を県民運動として推進をしていきたいと考えているところでございます。
 具体的には、来月から、「しあわせ信州」がキーワードでございますけれども、信州に暮らす、信州を訪れる、信州で味わう、さまざまな場面の中でいろいろな人が幸せを具体的に実感をする、そんな場面を写真ですとか動画ですとか絵手紙ですとか、いろいろな表現手法で募集をいたしまして、ホームページやフェイスブックで発信し、それが波紋のように広がっていく、そんなプロモーションを展開していきたいと考えているところでございます。
 また、「しあわせ信州」が感動を伝えるようなショートムービーも作成を検討中でございます。

 このような中で、議員からお話がありました市田柿の投稿があれば、それが国の内外に広がっていくんではないかというふうに考えております。
 日ごろ意識しない、あるいは気づかない長野県の価値が多くの人から寄せられ発信されることによりまして信州ブランドが国内外に広く認知されるよう、これからも一生懸命取り組んでいきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
 

 

◆農政部長(中村倫一) 

 

市田柿のブランド力の向上についてでございます。
 市田柿は本県の食文化を代表する食品の一つでもございますし、また、柿すだれは南信地域の農村の原風景を形づくってきたものでもございまして、私としても大変すばらしい食品であるというふうに認識をいたしているところでございます。
 これまでにも、地域の皆さんが生産者団体などを通じまして地域団体商標の登録を行うなどブランド力の向上に努めていただいてきたところでもございまして、県といたしましても、おいしい信州ふーど(風土)のオリジナルの食品に位置づけをさせていただいているところでございます。
 また、ブランド力の向上に向けまして、品質の向上や安全、安心を確保する観点から、生産者団体の皆様方が行う加工施設の整備などにつきましても積極的に支援をさせてきていただいたところでございます。

 今後とも、市田柿をおいしい信州ふーど(風土)の一つとして、4人の大使やキャラバン隊によりますPR活動のほか、テレビや新聞などの媒体を活用いたしましてその認知度の向上に取り組みますとともに、地域の皆様方にも一緒に発信人になっていただきまして、ともにブランド力の向上に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

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