2014.11月定例県議会-発言内容(依田明善議員)

 

◆依田明善

 おはようございます。南佐久選出の依田明善です。空き家対策と移住交流推進につきまして順次御質問いたします。

 空き家の戸数は現在全国において実に820万を数え、景観の悪化のみならず、防災、防犯等においても地域の皆さんの不安は増すばかりであり、今や大きな社会問題にもなっております。

 老朽化した空き家の解体が進まない原因には、多額の解体費用や複雑に絡んだ権利関係、そして固定資産税などもその一因として考えられます。11月4日に行われた長野県宅建協会との懇談会の中でも税制面における御指摘を受けました。例えば土地の固定資産税ですが、建物を解体した宅地については、住宅を壊したとたんに減税措置がなくなり、4倍以上の固定資産税や都市計画税が請求されてしまうという点です。その制度の詳細についてどのように把握されているのか。企画振興部長にお伺いをいたします。

 次に、住宅における不動産取得税の軽減措置ですが、新築、増築、改築の場合は上限1,200万円、エコ住宅、つまり認定長期優良住宅の場合は上限1,300万円まで控除されますが、昭和57年1月1日以前に建てられた新耐震基準に適合していない住宅の場合は特段の軽減措置はございません。

 さらに、宅建業者への税制上の軽減措置として、新築家屋の場合は新築後1年以内に譲渡されれば課税されませんが、中古住宅については特段の軽減措置がないわけです。

 これに関しての県側の答弁は、県単独で行うよりも登録免許税とあわせて国が住宅政策全般として検討することが望ましいというものでした。

 平成27年度国土交通省税制改正要望では不動産取得税の非課税措置の要望もされているようですが、先月の19日には空家対策の推進に関する特別措置法も成立し、必要な税制上の措置等を行うと規定されております。それらも踏まえながら総務部長のお考えを改めてお聞かせください。

 次に、市街化調整区域におけるいわゆる農家分家等の特例により建てられた農家住宅についてお伺いをいたします。

 これもかなり厄介な問題でありまして、第三者の方が購入してもリフォームすらできない、したがって買い手も借り手もいない、結局空き家として放置される、このようなケースが多いわけです。現在、開発審査会のほうで開発許可基準の見直しに向けた審議もされているようですが、どこまで進んでいるのか。建設部長にお答えを願います。

 次に、空き家バンクについてお伺いいたします。

 現在、行政の発掘した物件の調査、図面作成、案内などは宅建業者のボランティアに頼る部分が多いわけですが、中古住宅の場合は建物の状態を把握することが特に難しいという点がございます。外観はともかく、水回り、耐火性、耐震性、耐久性などにおいては建築のプロでさえ気がつかない場合があります。したがって、それに対するインスペクション、つまり建物検査というのは非常に重要になります。それでもやはり購入後においてふぐあい等が発覚するケースもありますので、大手の業者などでは瑕疵保険への加入やあるいはアフターケアなどをサービスとして提供しているところもあります。

 しかし、地元の小さな宅建業者が単独でそれらのサービスを提供することは困難です。とはいえ、地域に密着している分、顧客に対するきめ細かいサービスは本来得意としておりますので、これをうまく活用できればと思います。例えば、業者間のネットワーク化を強めて中古住宅等の流通を活性化させるといったことも必要だと思います。それにはやはり行政の支援や連携も必要と考えますが、地元業者の機動力を最大限生かすために県として何ができるのか。建設部長のお考えをお聞かせください。

 この空き家バンクにつきましては、窓口が一本化していないとか、地域によってその取り組む姿勢に温度差があるといった課題もありますが、物件の正確な調査はやはり一番重要な点ではないかと思います。

 次に、宅建業の新たなる役割についてお伺いいたします。

 現在、主に不動産業を営む業者だけでも全国に7万社あり、コンビニエンスストアの4万4,000件よりもはるかに多いわけです。しかしながら、人口減少や景気低迷により経営的には苦戦を強いられております。

 一方、このほど宅建主任者という名称が宅建士へと格上げされました。であれば、単に不動産の売買や仲介だけではなく、どういう形で地域に貢献できるかということを新たに考えていく必要があるのではないでしょうか。例えば、高齢者向け住宅への住みかえのアドバイスとかファイナンシャルプランの提供、あるいは高齢者の孤独死を防ぐ見守りサービスなども考えられます。

 また、近年は都会からのIターンといった移住・交流が盛んになり、多種多様な人々が多種多様な考え方やライフスタイルを持って山間部に移住をしてくる時代になりました。移住先を決める条件の第1位は自然環境がよいこと、2位が就労の場があること、そして、3位が住居があることだと言われております。

 しかし、ここで見落とされているのが良好な人間関係という観点です。移住者の中には、地域に溶け込み土地の人になり切ろうという方もいれば、あくまでも物心両面における距離感を大切にされる方もおります。住み始めはお互いにフレンドリーに振る舞っても、やがて主義主張や不平不満が何かのきっかけに表面化し、大きな亀裂が入ってしまうといったことも珍しくありません。ましてや、それが地元の宅建業者の仲介である場合は業者も責任を感じてしまうわけです。

 確かに移住・交流という言葉は耳に心地よく響きます。しかし、ただ単に都会から人を連れてきたからよいというものではありません。その難しさを痛いほど味わっている地元の宅建業者の皆さん、やはりこの方々にも行政等が立案する新たなコミュニティーづくり等にかかわっていただければと思いますが、企画振興部長のお考えをお聞かせください。

 また、長野県宅建協会では、現在、住まい情報の提供システムの改修を進めており、検索機能を充実させ、移住者が物件を探しやすいように改善を加えているところですが、そのような取り組みに対する支援等もあわせて御答弁をいただければと思います。

 さて、銀座NAGANOもオープンし、4階の移住交流・就職相談コーナーにも多くの人々が訪れております。ホームページを見ると、「信州への憧れや夢を実現するためのお手伝いをします。」とうたってあります。しかしながら、地元の宅建業者などから見れば歯がゆいことが多々あります。例えば、家庭菜園のできる100坪ほどの農地つき古民家の希望者は大変多いわけですが、農地法の関係で農地の取得は非常に困難です。太陽光パネルの設置に関しても、再生可能エネルギーの推進がうたわれている割には農地法や都市計画法等の規制において断念せざるを得ない事例もあります。あるいは、どう見てもやぶだらけの原野が実は農振地域として指定されており、農振除外もままならないといったケース、さらには、市町村合併に伴い別荘地等にも都市計画の網がかかってしまい、進入道路等の関係でもめているといったケースもあります。

 一方、優良農地を集積し、大規模化、効率化、低コスト化を徹底的に推進して強い農業を目指すべく農政改革が進められていることは周知のとおりですが、私が日ごろ感じるのは、農業委員会や農家といった農地を守り活用しようとする人々と、宅建業者などの移住・交流や不動産流通を推進させる立場の人々との間に生じる意識の違いであります。実際にぎくしゃくした場面を何度も見てまいりました。

 しかしながら、これは行政の采配で気持ちよく解決できる問題も多々あるのではないかと思います。違う立場の中で鋭意努力されている人々をただいたずらに敵対させて経済等を停滞させるのではなく、県が斬新なビジョンと英断をもってその交通整理に当たることも重要だと思います。法律がこうだからだめだ、前例がないからだめだ、市町村からの強い要望がなければだめだ、そんな議論の繰り返しでは長野県の未来はないと思います。農業振興、観光振興、移住・交流推進、それらが複雑に交差する中でのさまざまな問題の発生に対し行政は真摯に改善策を探る必要があると思います。

 そこで、企画振興部長にお伺いいたしますが、移住先の住居に対しどのような相談や質問等が今までに寄せられているのか。また、それに対しどのように対応していくお考えなのか。お聞かせください。

 また、法律や制度上の問題もありますが、実際に夢や憧れを持って信州にやってきた人々、あるいは東日本大震災などにより移住を余儀なくされている人々などを失望させないような総合的な施策を示し、強いリーダーシップを持って断行していくことが必要だと思います。最後に知事のお考えをお聞かせください。

 

◆企画振興部長(原山隆一)

 空き家対策と移住・交流推進につきまして私には4項目の質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。

 まず1点目の住宅解体後の固定資産税、都市計画税についてでございます。

 固定資産税におきましては、住宅所有者の税負担の軽減を図るために住宅用地に係る課税標準の特例措置が設けられております。住宅用地で200平米以下は課税標準額を評価額の6分の1に、そして200平米を超える部分は課税標準額を評価額の3分の1として税額を算定することとされております。また、都市計画税につきましては、同様に、それぞれ評価額の3分の1及び3分の2に軽減する制度となっております。

 住宅が解体された場合にはこの特例が適用されませんので、翌年から負担する税額がふえるということになるわけでございます。

 二つ目に、宅建業者のコミュニティーづくりへの参加についてでございます。

 議員御指摘のとおり、不動産情報だけではなく、地域で暮らしていく上でのさまざまな情報を持っている地域密着型の宅建業者には、移住者と地域住民との相互交流を促進する役割をぜひ担っていただきたいというふうに思っています。

 長野県宅建協会には、これまでも、移住セミナー等におきまして、移住者が地元住民との交流を深める上での心構えや地域の生活情報の提供に御協力をいただいております。また、宅建業者の方が中心となって空き家をコミュニティー活動の拠点として整備する事業あるいは移住者と住民が協働して地域活性化に取り組む事業、これを元気づくり支援金を活用して実施し、地域の良好な人間関係の構築に貢献していただいている例も見られます。

 今後とも、宅建業者の皆さんには、新たなコミュニティーづくりに積極的に関与していただくとともに、移住・交流の推進に御協力をお願いしたいというふうに考えております。

 3点目、住まい情報提供システムに対する支援についてでございます。

 移住希望者が移住先を決めるに当たっては住居があること、これは当然のことながら大きな比重を占めます。不動産情報をきめ細かく提供することが移住につながると考えておりますが、不動産情報を提供するサイトは、長野県宅建協会が運営する住まい情報提供システム、「住ーむず」という名称でございますが、それと市町村が運営する空き家バンクがありますが、相互に独立したシステムであるために移住希望者のニーズに沿った情報提供ができていないという課題がございます。

 現在、御質問の中にありましたとおり、長野県宅建協会がシステムの改修に向けて準備を進めているということを承知しております。移住希望者の立場に立って長野県内の物件情報を一元的に提供できるような仕組みとなるよう、宅建協会及び市町村と協力して一緒に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 最後に、住居に関する相談内容と対応についてでございます。

 移住セミナーや相談窓口における住居に関する御質問は、手ごろな値段の中古の一戸建てはないかといった問い合わせや、家庭菜園を楽しめる物件、あるいは本格的に農業を始めたいという人からの農地つきの住宅の問い合わせ、そういったものが多うございます。

 希望にマッチする物件の紹介に努めているところでございますが、農地が絡む場合には農地法の規制についての理解が十分でないといった面もあって農地や家庭菜園つきの住宅を取得できない、そういう事例も見受けられます。特に農地を取得する場合には、農地法の制度によりまして取得面積の下限が定められていることがネックとなる場合があります。ただし、規制緩和によりまして地域の実情に応じて市町村農業委員会の判断で面積が引き下げられるということにもなっております。

 こうしたことは市町村としても人口の社会増を目指す上では重要なテーマだというふうに考えられますので、県としては、移住者の受け入れ環境の整備という観点から、市町村に対して、必要な対応も含め、制度の周知に努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上であります。

 

◆総務部長(太田寛)

 空き家の流通を促進するため、宅建業者が中古住宅を取得した場合に税制上の軽減措置が必要ではないかというお尋ねでございます。

 議員御指摘のとおり、平成27年度の税制改正に向けまして、国土交通省において、宅建業者が中古住宅を取得し、耐震工事などを実施後、販売した場合における不動産取得税の非課税措置の創設を要望していると承知しております。また、1127日に公布されました空家等対策の推進に関する特別措置法では、国が空き家等に関する施策の基本指針を策定し、その上で、国及び地方公共団体は必要な税制上の措置、その他の措置を講ずるものとされているところでございます。

 これらのことから、空き家対策を円滑に推進するためには、まず国において住宅施策全般の中で税制上の軽減措置を含め検討がなされるものと考えております。今後、国の動向を踏まえ、不動産取得税の軽減措置が講じられる場合には適切に対応してまいりたいと考えております。

 

◆建設部長(奥村康博)

 いただきました2問の質問に対しまして順次お答え申し上げます。

 まず、市街化調整区域内の開発許可基準の見直しについてのお尋ねでございます。

 市街化調整区域は、市街化を抑制する地域として原則として開発行為を抑制している地域ですが、農家分家や集落内に必要不可欠な施設などを許容することとしてその許可基準を定めております。許可を受けて建築された農家分家などを事情により転売される場合であっても、制度の趣旨から建築時と同様の基準に基づく許可を必要としています。

 このため、住宅等の転売制限が地域のコミュニティーの維持に影響を与えるとともに、建物が利用されず放置され、廃屋となって地域環境を悪化させる要因となることが課題とされております。

 こうした課題は地域などからも示されておりまして、農家分家の取り扱いなど、開発許可制度の目的を損なうことのない範囲での見直しが必要と考えております。現在、開発審査会において御審議をいただいているところでございますが、関係市町の御意見も聞きながら、できる限り早い時期に見直しができるよう取り組んでまいりたいと思います。

 次に、中古住宅等の流通を活性化させるための支援等についてのお尋ねでございます。

 増加する空き家への対応や中古住宅等の流通の活性化を図るためには、県だけでなく、地域の実情に精通した建築設計、不動産、リフォーム事業者などの皆様との連携が重要であると認識しております。

 現在、県では、関係団体と連携して、移住希望者向けに住まいに関する情報をわかりやすく提供するシステムの整備を検討しております。また、銀座NAGANOなどで開催される移住希望者向けのセミナーにおいては、関係団体の御協力をいただいて、空き家等の中古住宅に係る相談やあっせん、さらには地域の状況や気候、風土などについても御案内いただいているところでございます。

 今後も、地域に根差した事業者の皆様との連携を進めていく中で、中古住宅等の流通促進など住宅市場の活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆知事(阿部守一)

 移住・交流の総合的な推進についてという御質問でございます。

 依田議員の御質問、空き家の問題あるいは農地の問題を初め、それぞれ重要な御指摘だというふうに思っております。

 長野県、移住したい県ナンバーワンという評価をいただいているものの、私の正直な感覚とすれば、まだまだ生かし切れていないというふうに思っています。楽園信州推進協議会という組織をつくって取り組んでおりますが、まだ未加入の市町村もあります。

 そして、お話もありましたけれども、地域の皆様方と我々県とがもっとしっかり連携して、そして縦割りではない対応をしていくことがなければ、移住者の皆様方に効果的な情報提供もできませんし、また移住された方々の満足度の高いプログラムということもつくっていくことはできないというふうに思っています。

 そういう観点で、これまでもセミナー等の開催等を行ってきておりますが、もっと地に足がついた取り組みをしっかり行っていくということが必要だと思っています。

 お話がありました宅建業者の皆さん、あるいはさまざま地域でこうした田舎暮らしとか移住に取り組んでいるNPOの方々もいらっしゃいますので、そういう方たちとのネットワークをこれまで以上にしっかりしたものにしていきたいというふうに思っています。そういう皆様方、あるいは既に移住をされてきている方々、幅広い皆様方の御協力を得る中で、銀座NAGANOも活用する中で信州暮らしのすばらしさを発信していきたいと思っています。

 加えて、やはり全ての長野県に暮らす皆様方の満足度を高めるということも重要でありますので、医療であるとか教育であるとか子育てであるとか、そうした施策の一層の強化も図っていきたいというふうに思っております。

 この移住施策、人口の社会増を目指していく上では最も重要な政策だというふうに私は思っておりますので、御指摘ありましたように県としてしっかりとリーダーシップを発揮して取り組んでいきたいというふうに思っています。

 以上です。

 

◆依田明善

 ただいま御答弁いただきました。難しい課題ではありますし、即答できかねる部分が多いということも今実感をいたしましたが、ぜひとも引き続き前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 また、阻害要因という点では何も不動産に限ったことではありません。例えば車やバイクの放置です。これは実際の話ですが、自己所有の駐車場にある日突然2台の車が放置された。早速警察に訴えたが、民事という理由で取り合ってくれない。行政にも訴えたが、らちが明かない。結局、ほかの人に駐車場を貸し出すこともできずに、既に5年間も泣き寝入りしている方がおります。彼は、こんなことが今の日本でなぜ許されているんだと怒り心頭です。

 公共心の欠如した非常識な人々がふえるに従い、こういったケースが今日本中で問題になっているのです。これは単に不動産の流通や活用を妨げるだけではありません。一般庶民による経済活動そのものの阻害要因になっているということを強く訴えたいと思います。

 住みよい地域づくりと口で言うのは簡単ですが、問題の一つ一つをみんなで解決していかなければ長野県の評価を高めるような移住・交流は進まないと思います。

 受け入れる側がどう変わらなければいけないのか。ぜひとも他の模範となるような空き家対策や移住・交流施策を推進していただくことを強く要望いたしまして、一切の質問を終わります。

 

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