9月定例県議会-発言内容(依田明善議員)

◆依田明善

 皆さん、おはようございます。南佐久選出の依田明善です。

 昨日、宮本衡司議員から野生鳥獣被害対策について質問がございましたが、私のほうからも何点かお伺いをさせていただきます。

 県による里山再生事業やシカ柵などの充実により農作物被害は全体的には減少しております。しかしながら、森林や別荘地などの観光エリアには相変わらずシカなどが頻繁にあらわれ、樹木の皮や高山植物などを食べ尽くしてしまうなど、観光資源の荒廃や生態系の破壊が深刻な問題となっております。

 ニホンジカは県内において約10万頭以上が生息していると言われております。そこで、県としては、年間の捕獲目標を雄9,000頭、雌2万6,000頭、合計3万5,000頭と定め、最終的には1万頭程度に抑え込むという方針を立てました。その結果、昨年度の捕獲は、雄が約1万3,700頭ということで目標を大きく上回りました。しかし、雌に関しては6,000頭ほど目標に足りておりません。このままでは、一夫多妻のシカの世界においては今後も一定の増加が危惧されてしまいます。

 平成24年度の県内の農林業被害は約12億円と言われておりますが、貴重な高山植物を初め、家庭菜園等において半自給生活をされておられる多くの県民の労力、資材代金、精神的苦痛等まで含めて換算すればその被害額は12億円程度ではとどまらないと私は思いますが、林務部長の所見をお聞かせください。

 また、農産物や野生植物を荒らすのはシカだけではありません。イノシシ、ハクビシン、熊、猿なども挙げられますが、それらの生息数や被害状況をどこまで把握しておられるのか。お答えください。

 

◆林務部長(塩入茂)

 野生鳥獣の被害について2点御質問をいただきました。

 まず、本県における野生鳥獣による農林業被害の状況に対するお尋ねでございますが、野生鳥獣による農林業被害額は、平成22年度は149,000万円、平成23年度は142,000万円、そして平成24年度は126,000万円と減少傾向にあるものの、依然として高い水準で推移をしております。

 お話にありましたとおり、この被害額とは別に、被害に遭われた方々の精神的な苦痛、耕作意欲の減退による耕作放棄地の発生、家庭菜園での被害、そして高山植物への被害といった多岐にわたる、金額に換算できない大きな影響があると考えております。

 それから、農林業被害をもたらしている主なけものの種類別の推定生息数と被害状況につきましてでございます。

 生息数は、ニホンジカが平成22年時点で105,000頭、ツキノワグマが平成23年時点で3,600頭、ニホンザルが平成20年時点で7,100頭から1万300頭などとなっております。

 なお、野生動物は種類によって行動範囲や活動時間の違いもあることから、全ての種類に対して推定生息数の調査方法が確立されているわけではございません。このため、イノシシ、ハクビシンにつきましては現在のところ生息数を把握していません。

 これらのけものによる平成24年度の農林業被害額は126,000万円となっており、そのうちニホンジカが4億4,400万円で全体の35%を占めております。そのほか、ツキノワグマが1億4,300万円、イノシシが1億3,200万円、ニホンザルが1億2,800万円で、それぞれ全体の10%程度を占めております。また、ハクビシンは5,600万円で全体の4%となっております。

 以上でございます。

 

◆依田明善

 お答えをいただきました。やはり、これは、問題をいつまでも長引かせ、多額の税金を投入し続けるよりも、猟友会を中心とする現場に精通した実猟経験者の皆さんとともに戦略を練り、目標達成を確実なものにしていくことが大切だと思うわけです。

 そこで、何点か質問並びに提案、要望等をさせていただきます。

 言うまでもなく、被害を減少させるには個体の駆除が欠かせないわけですが、その場合の猟期を地域の実情にあわせることはできないものかということでございます。

 鳥獣保護法における猟期は1015日から翌年の4月15日、施行規則では1115日から翌年の2月15日までとされております。しかし、実際の現場においては、1115日に山に入っても地域によってはシカは既に移動している場合が多い。したがって、これを少し早めて11月1日からにした場合、駆除数はかなり増加すると考える猟師の皆さんも多いようですが、県としてそのような柔軟な対応ができないものかというのが1点。

 次に、猟の時間帯ですが、鳥獣保護法38条では、「日出前及び日没後においては、銃器を使用した鳥獣の捕獲等をしてはならない。」とされております。しかし、実際にけものが畑などを荒らす時間帯は主に夜間です。

 したがって、やはりここはけものの習性を十二分に利用し、けもの道の周囲に広大な柵を設け、夜間におびき寄せて一網打尽に捕獲するといったようなことも考えるべきだと思います。人家のない安全な区域の特定と信頼のおけるハンターの選定を行えば実務上の問題はほとんどないと思われますが、国でも見直しの動きがあると聞いておりますし、その辺の御見解をお伺いいたします。

 3点目として、シカの捕獲数と報奨金の関係でございます。

 現在、一日の捕獲が許されているのは、銃による捕獲は雄が1頭、雌が無制限、わなによる捕獲は雄、雌ともに無制限となっております。ただし、報奨金が支払われるのは雌のみでございます。ぜひ雄ジカも対象にしていただきたいわけですが、御見解をお聞かせください。

 4点目として、ジビエについてでございます。

 今年度、信州ジビエ活用推進事業として、信州ジビエのブランド化、信州産シカ肉認証制度の構築などが目標に掲げられております。これにつきましては南佐久地域の多くの皆さんも大変期待しております。なぜならば南佐久の鳥獣捕獲量や狩猟エリアの広さは県内においてもトップクラスであり、しかも当地域は昔からジビエ料理が盛んでありますし、運搬も容易です。

 それなのに今まで処理施設がなかったのが不思議なほどですが、その点について林務部長の御見解をお聞かせください。

 また、阿部知事には、野生鳥獣被害対策全般においてどのようなお考えをお持ちであるのか。お聞かせください。

 

◆林務部長(塩入茂)

 順次お答えをいたします。

 狩猟期間の始期についてのお尋ねですが、野生鳥獣の捕獲には狩猟によるものと許可を受けて行う個体数調整などがございます。このうち個体数調整については狩猟期間外においても年間を通じて実施することが可能ですので、これにより加害獣等の積極的な捕獲を進めているところです。

 狩猟を促進するにはその始期を早めることは有効と考えられますが、一方では、銃器の使用における安全性を確保するため、落葉が進み、見通しがきく時期を考慮して始期を定める必要があることから慎重に検討する必要があると考えております。

 それから、日の出前、日没後の時間帯における銃器の使用についてでございます。

 発砲に際しての安全を確保するため鳥獣保護法により全国一律に定められている規則であり、県として独自に見直しを検討することは困難な状況にあります。

 なお、現在、環境省の中央環境審議会において、一定の条件下における夜間の銃器の使用に対し規制緩和を検討していると聞いておりますので、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

 それから、ニホンジカの捕獲報奨金についてのお尋ねでございます。

 ニホンジカの個体数を効率的に減らすため、より効果的な雌ジカの捕獲を促進することが重要なことから、県が独自で実施している野生鳥獣捕獲・管理事業の捕獲報奨金では雌ジカの捕獲に限って支援をしています。

 一方、本年度から3年間、新たに国が創設した鳥獣被害防止のための交付金において、雌に加え、雄についても支援が受けられますので、この制度を有効に活用しながら雄ジカについても積極的に捕獲を進めてまいります。

 南佐久地方への獣肉処理施設の建設についてのお尋ねでございます。

 ジビエの利活用は、野生鳥獣による農林業被害の軽減に向けて捕獲を進め、その獣肉を地域の特産品として活用していく重要な取り組みであり、県は信州ジビエ研究会と連携し積極的に取り組んでいるところです。

 現在、獣肉処理施設は県内に17カ所ございますが、多くが南信地域に整備されている状況でございます。本年度、安全、安心なジビエ供給を目指して信州産シカ肉認証制度の構築を進めておりますので、これを踏まえて新たな処理施設の整備について支援することとしております。

 南佐久地域につきましても、地域の皆様の声を積極的にお聞きしながら、処理施設整備についての要望があれば県も地域の皆様と一緒になって検討し、支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆知事(阿部守一)

 野生鳥獣被害対策についての考えということでございます。

 野生鳥獣の被害については、これは本当に農山村に暮らす方々にとっては大変切実な課題だというふうに考えております。地域において、猟友会の皆さん、あるいは地域住民の皆さん、関係者の連携で防護柵の設置あるいは集落等捕獲隊による捕獲等々、さまざまな対策を講じてきていることによって野生鳥獣の農林業被害は5年連続減少するなど一定の成果を上げてきているというふうには考えております。

 ただ、被害が拡大している地域もあり、依然として、総体として見れば野生鳥獣被害対策は県としてもしっかり取り組むべき重要なテーマだというふうに思っております。

 今後は、市町村職員あるいは猟友会員などにより編成された鳥獣被害対策実施隊の活動をより多くの市町村で実施していただくなど、新しい視点に立った対応策を推進していきたいと考えております。

 加えて、単に野生鳥獣を捕獲して処分するということだけではなくて、捕獲したシカ肉を安全、安心な信州ジビエとして認証するなど、経済行為とも結びつけていくということが農山村の振興にとって重要だというふうに思っております。

 将来にわたって野生鳥獣被害対策を効果的に進めていく観点で、捕獲あるいは防除といったいわゆる鳥獣被害の対策と、そして農山村が経済的に少しでも自立した方向に向かえるようにジビエの振興対策、この両輪、しっかり取り組むことにより豊かな農山村を守っていきたいと考えております。

 以上です。

 

◆依田明善

 それぞれに御答弁をいただきました。一口に畑を荒らされるといっても、実際の現場は惨たんたるものです。畑に入ればけもののにおいが漂い、ふん尿もまき散らしてあります。マルチは穴だらけとなり、野菜のおいしい部分が軒並み食べられ、数カ月の努力が水の泡となります。ぜひとも、そういった悲劇がいつまでも続くことのないよう、戦略的な施策をお願いしたいと思います。

 なお、射撃場の整備においては、県も平成25年度から新たに施設整備への支援を開始いたしました。佐久地域においては、佐久平国際射撃場のクレー放出機はもともと中古品でございます。ふぐあいも顕著でありますので、当支援は大変にありがたいと思います。

 いずれにしましても、猟友会という組織が新しいよき時代を迎えるためには、次世代を引き継ぐ若者たちから魅力を感じてもらえるような施設や組織を構築していかなければなりません。そのためにも県の支援は欠かせませんので、今後ともどうかよろしくお願いを申し上げます。

 次に、青少年健全育成における柔道の果たす役割と教育現場の実情についてお尋ねをいたします。

 平成24年4月から中学1、2年生の体育授業での武道必修化が開始されました。しかし、その後、柔道界による不祥事等が相次いで発覚し、青少年健全育成の推進にも暗い影を落としております。子供たちやその保護者などの柔道離れといった話も耳にいたしますけれども、例えば柔道に励む子供たちが白い柔道着に落書きをされるケースも報告されており、練習後に泣きながら帰宅して、柔道なんかもうやめたいと涙を拭う少年、少女もいるとお聞きしております。

 各地の柔道指導者の多くは柔道の名を汚した一部の人々に対する怒りをかみ殺しながら汚名返上のために努力しておられるところですが、中学校における柔道の履修比率が他県と比較してかなり低いという話も聞く中、その実態がどうなのか。教育長、お答えください。

 また、有段者を担保に安全性が100%保証されるわけではありませんけれども、すぐれた指導者を育てる努力を怠ることはできません。そこで、各地区の柔道連盟は、全柔連及び県柔連のもと、安全指導の研修会を頻繁に開催しております。現在は研修会に参加している3段以上の有段者に指導者ライセンスを交付しているようですが、教職員においてのライセンス取得状況はどうなのか。また、柔道の授業において経験豊富な民間の指導者を起用することも一つの考え方だと思いますけれども、あわせて御見解をお聞かせください。

 もう1点、民間のベテラン指導者などからは、学校の授業の場合は履修時間も限られているので、試合というよりも、柔道の成り立ち、体の仕組み、わざの理論、礼儀作法等にウエートを置くほうがよいのではないかという意見もお聞きします。その点はどうなのか。教育長の御見解をお聞かせください。

 

◆教育長(伊藤学司)

 柔道について何点か御質問をいただきました。

 まず、中学校授業におきます柔道の実施状況についてでございます。

 本年度、本県の公立中学校の武道必修化に係る種目別の実施状況は、剣道が最も多く153校で81.8%、柔道は2番目に多い48校で25.7%となっております。柔道は全国平均では63.4%の学校で実施をしてございますので、全国平均と比べますとかなり低いというような現状になってございます。

 続きまして、教職員の柔道ライセンスの取得状況と外部指導者の協力についてでございます。

 全日本柔道連盟におきますライセンス制度は本年4月に完全制度化されたところでございます。本県の中学校教員は、現在、13名がこの資格申請をしている段階であるというふうに承知をしてございます。

 また、専門的な知識や技能を有する外部指導者の協力につきましては、県教育委員会から県警OB組織であります警友会や長野県柔道連盟に対し指導者の派遣協力を依頼し、協力応援体制を整備しているところでございまして、本年度は8校で外部の柔道指導者に御協力をいただくものと、このように承知をしてございます。

 なお、県教育委員会では、指導教員を対象とした講習会の開催や、独自に作成をいたしました「柔道学習指導の手引き」の活用などを通じ学校におきます柔道の安全対策に取り組んでいるところでございますが、引き続き安全対策に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

 最後に、柔道の学習内容についてでございます。

 学校の授業におきます柔道学習では学習指導要領により定められた内容をもとに各学校が実施をしているところでございますが、学習指導要領の中では、わざができる楽しさや喜びを味わい、基本動作や基本となるわざができるようにするということを一つ掲げてございますが、同時に、相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守ろうとすることや安全に気を配ること、また、柔道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、わざの名称や行い方を理解することなどが求められているところでございます。

 議員御指摘のとおり、柔道の知識、礼儀作法等の習得というのも大変重要な一つの課題というふうに考えてございまして、こうした柔道の知識、礼儀作法の習得と技能の習得というものをバランスをもって授業の中では子供たちにその基礎・基本のところを教えていくことが必要かというふうに考えております。

 

◆依田明善

 御答弁をいただきました。講道館柔道の創始者嘉納治五郎は、おのれの力をよい社会づくりのために用いるべしという精力善用の精神と、相手を敬い、感謝し、信頼し合って、ともにはえある世の中を目指すべしという自他共栄の二つの規範を示しました。

 つまり、柔道は、相手をねじ伏せたり、おどしたりするために使うのではなく、よい世の中をつくるために使うべきであると弟子たちに伝えたのです。講道館柔道が世界の柔道へと発展していった背景には、そのような哲学がありました。

 目上の人を敬う心や礼儀作法を青少年に教えるというのは極めて大事なことですが、現代社会においては履き違えられた個人主義が蔓延し、道徳的なことは教えづらいというのも事実です。しかし、武道を習う以上はその教えを避けては通れませんし、それを素直に聞き入れる保護者や少年、少女も実際には多いわけです。

 ぜひとも、そういった武道の有用性をポジティブに捉え、安全性の向上と青少年の健全育成に積極的に役立てていただくことを心からお願い申し上げまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。

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