2月定例県議会-発言内容(依田明善議員)

 

◆依田明善

 南佐久選出の依田明善です。通告に従い御質問させていただきます。今回は久しぶりに農業問題を取り上げたいと思います。

 まずは、農政部長にお伺いします。

 食と農業農村振興計画は食と農が織りなす元気な信州農業を基本目標に進められてきましたが、その目標は達成されたのでしょうか。また、それを踏まえ、平成25年度から始まる第2期食と農業農村振興計画においては、何を重点に捉え、目標をどのように考えておられるのか。お伺いします。

 農業従事者の高齢化や担い手不足は本当に深刻です。さらには、農産物価格は低迷したままであり、生産コストも上昇する中でますます農業経営は厳しさを増しております。このままでは農業の未来はありません。

 第2期食と農業農村振興計画の基本方向については異論はございませんが、大事なのは、まずは産業としての農業をしっかりさせなければ豊かな暮らしや夢の実現は難しいということです。現在、国の施策として、担い手のあり方や農地利用のあり方をまとめた人・農地プランを作成しておりますが、その進捗状況はどうなっているのか。また、プランの作成に当たっては県の力強い支援が必要と考えますが、農政部長にお尋ねいたします。

 また、単年度新規就農者数は200人を超え、都会等からの新規参入者も年々増加している一方で、代々続く農家子弟の就農も即戦力として重要ではないかと思います。この点、新規参入者に対する支援とともに、農家子弟に対する支援も重要だと思いますが、あわせて農政部長にお伺いします。

 次に、当振興計画では、意欲ある農家に農地を集積し、大規模農家、企業的農業経営体を育成するとあります。人・農地プランにおいても、農地の出し手に農地集積協力金を支払い、農地利用集積円滑化団体等への白紙委任により意欲ある農家の規模拡大を促すとあります。

 南佐久地域でも意欲ある農家が多いわけですが、遊休農地が少ないせいか、なかなか新たに農地が借りられないといった深刻な悩みをお聞きします。

 県では、経営規模の拡大を目指す農家に対して、農地のあっせん等、どのような支援を行っているのか。農政部長にお伺いをいたします。

 次に、農業者の所得確保について御質問させていただきます。

 生活が成り立たないような農業では産業とは言えません。しかしながら、例えば南佐久地域などの葉物野菜の大産地などでも、昨年は価格が暴落し、出荷調整をせざるを得なくなりました。農業は天候に左右される産業であり、時には需要と供給のバランスが崩れ、思うような価格で販売ができないことがあります。また、厳しい経済状況の中で、販売価格が生産経費を下回る異常事態に農家は大変苦慮しております。

 食料自給率を維持し、国民に安全、安心な農産物を安定的に供給する義務を背負っておられる特に専業農家の皆さん、夜中から畑に出向き、汗水流して努力をしている農家の経営安定のため野菜価格安定制度の担っている役割は大変大きいと考えますが、農政部長の見解をお聞かせください。

 

◆農政部長(中村倫一)

 5点についてのお尋ねでございます。

 最初に、食と農業農村振興計画の第1期計画の評価、そしてまた第2期計画の目標などについてでございます。

 1期計画におきましては、新規就農者の増加、そしてまた環境に優しい農産物の生産の拡大、そしてまた学校給食での県産農産物の利用率の向上、さらには農産物の直売所の数などの増加、数々の成果が上がってまいったところだというふうに思っております。

 一方で、経済情勢の関係もございまして農産物価格がかなり低迷をし続けたということなどがございまして、総括的な指標といたしました農業農村総生産額3,000億円、この目標の達成は困難な見込みというふうになっておりますとともに、農業経営の法人化ですとか、遊休農地対策、そしてまた農産物の輸出、こうしたものなどを含めまして、今後さらに取り組みを強化すべき内容も明らかになったというふうに考えているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、第2期の計画におきましては、新規就農者のさらに積極的な誘致と企業的な農業経営体の育成ということを通じまして農業構造を強化してまいりますとともに、マーケットインの生産、そしてまた農畜産物のブランド化、6次産業化、こうしたことなどによります付加価値の向上などに重点的に取り組みまして、産業としての魅力ある農業を構築してまいりたいというふうにしているところでございます。

 また、農村におきましては、地域資源の活用や都市との交流によります農村コミュニティーの強化、そしてまた地産地消、食育の広がり、そしてまた安全で快適な農村環境の整備などに力を入れまして、暮らし続けたいというふうに感じられる農村を創造することとしているものでございます。

 これらの取り組みを個別には数値的な目標も掲げまして、農業農村総生産額3,050億円と大きな目標と、これに付随する29の達成指標を掲げまして、基本目標に掲げました「夢をかなえ人を結ぶ信州の農業・農村」の実現に向けて県民の皆様と一緒に努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 2点目の人・農地プランについてでございます。

 本県におきましては、平成24年度と25年度の2カ年で、77全市町村においてプランの作成を進めることとしておるところでございます。2月の末現在でございますけれども、28の市町村で130のプランが作成されたところでございます。

 プランの作成支援につきましては、県が作成いたしました手引資料を配布、提供させていただきまして作成の主体でございます市町村ですとか関係する団体の取り組みを促進するとともに、地方事務所ごとに支援チームを編成をいたしまして、これらの職員が市町村などと連携をいたしまして、集落における懇談会等におきまして地域農業の方向性、こうしたものについての合意形成のアドバイスなどを行っているところでございます。

 また、25年度につきましては、こうした支援チームの支援とあわせまして、市町村に対して地域連携推進員の設置、これができる制度がございます。こうしたものなどを通じて、地域の農業者の話し合いによる合意結果として実効性の高いプランとなりますように支援を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 3点目でございます。農家子弟の就農への支援でございます。

 農家の御子弟が安定的な経営基盤を持っております親元で就農すること、これは最も合理的で効果的な経営の継承方式でございます。農業の維持発展のためにも優先的に支援すべき就農の形であるというふうに考えているところでございますが、これまでこうした農家の御子弟の就農を直接専用として支援する施策は国、県にございませんで、県といたしましてはこれまでは経営体育成支援事業など関連する施策、制度を活用、工夫をいたしまして支援をさせてきていただいたところでございます。

 このような中で、国が本年開始をいたしました青年就農給付金制度、この制度につきましては農外から就農するということをイメージして制度設計がなされておりまして、農家の子弟がほとんど対象にならないというふうな状況になりましたために、御子弟に対する専用の支援策の御要望が急増しているというふうな状況でございます。

 こうした状況は全国的にも見られることでございまして、県といたしましては、親の農業経営を継承して規模拡大をしたり、さらには多角化を進めるというふうなことを目指しておいでになる後継者の皆さんを支援の対象とする新たな専用制度をつくっていただくように国に対して提案、要望をしているところであります。

 次に、農地のあっせんの関係でございます。

 長野県は全般的には担い手が不足しておりまして、農地の遊休化が課題となっている地域が多いわけでございまして、このような地域では、担い手を育成すること、そしてその方々に農地の利用集積を進めることというのが重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 一方、議員御指摘のように、南佐久、特に南部の地域などのように、規模拡大したい農家の方がたくさんおいでになるんですけれども、集積できる条件のいい畑地がないというふうな地域におきましては、畑地以外の農地の活用ということについて視点を置いて地域内の農地の状況を見ていただくことが必要だと思います。さらには、隣接した市町村の区域を視野に入れて農地を確保し、例えば標高差を利用したリレー栽培を行うことなどについての可能性を、今後、関係する市町村や、産地をつくっていただいております生産者団体の方々と御検討いただく必要があるかなというふうに思っております。

 この結果として、県内で広域的な農地の利用調整に取り組まれる場合については、県といたしましては農業開発公社等によります農地の利用調整機能を高めておりますので、これをもって御支援を申し上げたいと思っておりますし、農地の条件整備が必要な地域につきましては、畑地帯総合整備事業などいわゆる土地改良事業の計画的な実施についても該当する地元の市町村と具体的に御相談をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

 次に、野菜価格安定制度についてでございます。

 この制度は、作柄による価格変動が大きい野菜の生産者の経営安定に大きな役割を果たしてきております。この制度を利用していただいております生産者が安心して生産、出荷に取り組みますことで、市場ですとか消費者に対する責任ある供給産地として野菜の安定供給が行われてきたところでございます。昨年は、豊作などによりまして出荷量が増加し、猛暑による消費の減退もございまして、本県主力のレタス、白菜などの価格が大幅に下落をいたしました。指定野菜価格安定対策事業などによりまして425,000万円余りの補給金が交付されたというふうな状況となりまして、県内の野菜農家の経営安定の下支えにはここでは大きく貢献できたというふうに思っております。

 本年度はこうしたことで多額の補給金を取り崩して使いましたので、来年度の資金の再造成に必要な県の負担金につきましては、必要額8億3,000万円余りを本定例会にお願いをしているところでございます。

 今後とも、生産者団体と連携をいたしまして、制度の維持、そしてまた適切な運用によります生産者の経営安定に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆依田明善

 次に、競合産地や輸入農産物に品質、価格等で負けないようにするために、新たな栽培技術の開発やオリジナル品種の育成等を早急に行うことが重要だと思います。野菜花き試験場は塩尻市に移転され、試験研究の内容の充実及びスピードアップが期待されておりますが、本県の主力品目であります野菜、特に葉菜類については、例えばレタスでは連作による根腐れ病の発生、地球温暖化による抽たい、不結球などの品質低下など大きな課題も抱えております。

 私も、サニーレタスを出荷していたころ病気や抽たいに悩まされました。抽たいというのは花をつけた茎が伸び出す現象ですが、早い話がとう立ちのことです。盛りを過ぎた野菜、食べごろを過ぎた野菜ということですから出荷できません。そうかといって、とうが立たないうちに出荷しますと、ボリューム不足を厳しく指摘されてしまいます。特に、秋口は畑の地力も落ち、日照不足で成育が悪くなりますので深刻です。二、三日放置しただけでとう立ちが一気に進み、出荷ができなくなってしまいます。数カ月の苦労は水の泡となり、何十万円といった損害をこうむるわけですが、こういった泣くに泣けない事態というのは農業の世界では決して珍しくありません。

 ですから、私も含め農業従事者の皆さんは、病害虫に強く、抽たいになりにくく、成育が早く、見た目も味もよい農作物、そういった品種をのどから手が出るほど望んでおりました。リンゴなどの果樹においても御苦労はおありだと思いますけれども、そのあたりは丸山議員にお聞きしたいと思っております。

 いずれにしても、気候変動や病害虫に打ちかつには品種改良や新品種の早期育成が必要です。しかし、それには手間と莫大なお金がかかります。よい形質、つまり遺伝的な性質を持った親同士を掛け合わせ種をとるには通常1年かかり、さらに繰り返して選抜し、新品種として世の中に出すには短くても五、六年かかります。

 一方、先日、民間の種屋さんを視察したところ、品種改良は同様の手法で行っておりますが、人工的な気象室を活用したり、海外へ種を持っていき、1年に2回ないし3回の掛け合わせを行って世代を短縮し、短期間で新品種を育成しているとのことでした。さらに言えば、育成途中においても産地や農家において実際に栽培し、評価を得ながら品種育成を行うことが重要だと思います。

 そこで、農政部長にお伺いします。

 競合産地や輸入農産物に負けないように、今まで以上にスピードを加速し、長野県オリジナル品種の早期育成を可能にするため、このような世代短縮法の利用や、大学や民間研究機関との連携、また産地の農家との連携協力が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 一方、長野県の野菜は、品目別に見れば、レタス、白菜などの葉洋菜類が92%を占め、トマトやキュウリなどの果菜類は7%、ニンジン、大根、ゴボウなどの根菜類はわずかしかありません。健康志向の高まりに伴い根菜類の人気も高まっているわけですが、それらにおいても信州ブランドが確立され、より多く店頭に並ぶようになれば県民も喜び、また地産地消になります。

 また、葉菜類の中でも、レタス、白菜、アスパラガスなどは全国1、2位ですが、ほかの品目は全国上位に顔を出していません。この点が、同じ園芸王国の千葉県や愛知県と異なるところだと思います。

 主力品目に偏ることなく、それ以外の品目の底上げを図ることでバランスのとれた真の野菜総合供給産地を目指すべきだと考えますが、農政部長にお伺いします。

 次に、マーケティングプランについて御質問いたします。

 人口減少社会にあって農産物の年間消費量は減少しております。しかし、胃袋の大きさは一緒であり、食べることを強要することはできません。したがって、何としても信州産を選んでもらう必要があります。

 現在、県では信州農産物マーケティング戦略プランを策定中であるわけですが、第1期における取り組みの成果と結果を踏まえ、どのような施策により信州ブランドの確立とマーケットの創出を図ろうとしているのか。農政部長にお伺いします。

 また、6次産業化法に基づく総合化事業計画において年間10件の認定を目指すとしていますが、そのための基盤強化と拡大は重要と考えます。

 県内には小さな農産物加工所が数多くあり、農産物直売所と連携したりしていますが、消費者の嗜好を的確に把握し、買ってもらえる商品を生み出す人材を育成するには加工・販売技術のさらなる向上が必要と考えます。

 新商品の開発、販売、加工施設の運営ノウハウなどに県としてどのような支援を行っていくのか。農政部長にお伺いします。

 

◆農政部長(中村倫一)

 4点についてのお尋ねでございます。

 最初に、品種育成のスピードアップについてでございます。

 現在、県の野菜花き試験場におきましても、平成21年度に整備をいたしました施設を利用いたしまして、レタスの品種育成に1年で3回の種とりを行う手法を導入をいたしまして世代促進を図っておりまして、今後はこうした技術はセルリーの品種育成につきましても導入してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 加えまして、レタスの根腐れ病に対する抵抗性を持つ品種の育成につきましては、DNAマーカー、いわゆる遺伝子の配列の違いに着目をいたしまして有望な個体を選抜する技術でございますけれども、こうしたものを活用して交配する親の選抜をスピードアップして行うというふうなことなどに取り組んでいるところでございます。この技術につきましても、ほかの病害抵抗性を持っている品種の育成に順次導入をして、全体としての品種育成のスピードアップにつなげてまいりたいというふうに考えております。

 また、試験研究をする上で新品種の育成という事象につきましては後々の知的財産権の保護や活用について配慮しなければならない事象でございまして、こうしたことにも配慮しながら、独立行政法人の研究機関あるいは大学、こうしたものなどと積極的に連携を図りますとともに、成育段階から現地の適応性の評価などにつきましては試験圃が必要でございます。こうした部分では地元の生産者の御協力もいただいて、できるだけ早い成果の創出に努めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、野菜の総合供給産地づくりについてでございます。

 夏から秋にかけましての全国有数の産地となっておりますレタス、白菜などの主力産地におきましては、引き続き市場からの期待にこたえられますように安定生産を維持するという方向で進めてまいりたいというふうに思っております。このため、需要の変化に対応いたしまして、契約栽培などによります加工・業務用の割合を高めていきますとともに、需要の減少が見られます夏白菜につきましては、これは品目転換を一部図っていただく方向で計画生産に努めていただくという方向を持っております。また、新たな品目導入につきましては、生産者団体とともに現在実証栽培などの取り組みを始めたところでございます。

 また、県域全体での園芸品目の底上げにつきましては、主要市場ですとか食品事業者などから出荷の要望が強いアスパラガス、トマト、スイートコーン、こうしたものなどを中心に、新しい産地の早期の育成を進めてまいりますとともに、小口の多様なニーズに対応した生産者グループ、こうしたものの育成などを通じまして品目の多様化と生産の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。

 3点目の信州農産物マーケティング戦略についてでございます。

 第1期の戦略プランにおける成果、実績といたしましては、県内での地産地消の取り組みの拡大、そしてまた県外での主要なオリジナル品種の評価、全国的な知名度の高まり、そして、県内外、国外での積極的な信州フェアの開催というふうなことがございます。

 一方、変化し続けております消費者ニーズを的確に把握をすること、そしてまた、こうした把握した情報を生産活動に反映させることによって信州ならではの魅力に根差した農産物ブランドを確立していくということについては継続した課題というふうに思っております。

 こうしたことから、第2期プランでは次の四つを基本戦略の柱として掲げていこうとしているものでございます。一つは、トップセールスなどを通じまして信州農産物の国内外への積極的なアピール、認知度向上対策、二つ目といたしましては、おいしい信州ふーど(風土)について県民の皆様の理解を広め、みずから消費し、発信していただく実践者をふやすための環境づくり、三つ目といたしましては、マーケットニーズの把握によります新たな産地形成、生産拡大、四つ目といたしましては、消費者ニーズを的確にとらえた新たな商品づくりなどについて県内の卸売市場によります機能の強化と役割の発揮、こうしたことなどを柱に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 こうしたことによりまして、県内の農業生産活動の基軸をマーケットインに転換をいたしまして、さらに、これから生産された農産物の魅力を県民の皆様とともに内外に強力に発信していくことで信州ブランドの確立とマーケットの創出につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

 次に、農産加工所に対する支援についてでございます。

 県では、これまで、農産加工所などを対象にいたしまして、加工技術、それから販売促進の研修、指導会、こうしたものなどを開催いたしまして、延べ2,000人余りの方々が受講していただいております。いろんな形で経営の多角化も含めまして役割を果たしてきたというふうに思っております。

 一方で、御指摘のように、マーケットニーズをどうやって踏まえた商品を開発するかとか、販路の確保、あるいは施設運営などについては依然として課題を抱える加工施設が少なからずあるというふうにも認識をいたしているところでございまして、県といたしましては平成25年度から新たに6次産業化に向けての取り組みを積極的に行うこととしておりまして、この取り組みの中で、小規模な農産加工事業者を対象とする、新商品の開発や流通、販売の専門家の派遣によりますアドバイス、あるいは経営を法人化するというふうなことなどに対します研修会などを開催をいたしまして、事業の拡大、そしてまた経営の安定化ということについての支援を総合的に実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆依田明善

 幾つかの質問に御答弁いただきました。

 さて、そんな中、長野県は全国に先んじて人口減少社会が到来するとともに高齢化が進行し、殊に農業が主力産業の中山間地域では、集落のコミュニティー機能など地域社会の活力の低下はもとより、高齢者を支えるさまざまなシステムの将来への不安が生じています。

 去る2月8日、県は新たな中期総合計画案を公表しました。その中の将来像を見ますと農業・農村の果たす役割は大きいと思います。

 知事が就任して2年半経過しました。この間、農村地域にも足を向けられたと思いますが、長野県の農業・農村の現状についてどのような認識をお持ちであり、将来に向けて何を期待されるのか。お伺いいたします。

 

◆知事(阿部守一)

 農業・農村の現状認識と期待という御質問でございます。

 長野県を元気にしていく上では、やはり農業・農村が元気でなければいけないというふうに強く思っております。この間、中山間地を含めた農村地域、大分お伺いをさせていただきましたけれども、そういう中で見えてくるのは、一つは、先ほど来御質問いただいておりますけれども、さまざまな課題があるなと。それは、後継者の問題であったり、遊休農地の問題であったり、あるいは、自然と向き合っての仕事なわけですから、そういう意味で価格等もなかなか安定していかない、そういうさまざまな課題を抱えた姿と、その反面、新しく参入された方あるいは若い人たちを中心にポジティブに攻めの農業経営をやっていこうという意欲的な取り組みをされていらっしゃる方たちも非常に多くいらっしゃると。

 そういう意味で、県としては、こういう課題についてはしっかりと解消するように取り組んでいかなければいけませんし、またポジティブに農業経営をやっていこうという皆さんの意欲にしっかり寄り添うような支援をしていくということが極めて重要だという認識を持っています。

 加えて、私自身、海外も含めて県外に農産物のセールスも行っておりますけれども、そうした中でお伺いする声は、やはり長野県の農産物、畜産物は非常に高い評価をいただいているというふうに感じています。これは、先人たちがさまざまな努力を重ねてきた結果、そうした評価を勝ち得てきているというふうに思っておりますけれども、こういう評価を損なわないようにさらに品種改良等の質を維持する努力ということも不可欠だろうというふうに思っています。

 今回、新しい総合5カ年計画、それから農業農村振興計画を策定したわけでありますので、ぜひ総合的な取り組みとして農業・農村を活性化させていきたいというふうに思っております。

 担い手不足の問題、新規参入をふやしていく、あるいは先ほどお話ありました農家の後継者、自信を持って農業に取り組んでいただけるような担い手の問題にまずしっかり向き合わなければいけないというふうに思いますし、また、あわせて、長野県、農業に限らず、いいものがあるけれども、知っている人は知っているけれども、なかなか伝え切れていないというふうに思っていますので、そういう意味ではおいしい信州ふーど(風土)ということで農産物の信州のブランド化をしっかりしていきたいと。これは、県外はもとより海外にもそうした発信をしていかなければいけないというふうに思っております。

 また、6次産業化という中で、農業だけではなくて、ほかの産業との連携も考える中で農村が行う活動の付加価値を高めていく、そういう取り組みを進めていきたいというふうに思っております。加えて、これは農業が中心ではないですけれども、教育であったり、観光であったり、景観であったり、自然エネルギーであったり、長野県が進めていかなければいけない分野においても、これは農業・農村というものが元気がなければそういう施策は進めていけないわけであります。そういうためにも、農業・農村をどうすれば元気にするかということにこれからもしっかりこだわりを持ちながら、そして地域の皆さんの思いや声というものもしっかり承りながら県政を進めていきたいというふうに考えています。

 以上でございます。

 

◆依田明善

 それぞれに御答弁をいただきました。TPPの交渉に参加するしないにかかわらず、攻めの農業、もうかる農業、グローバルでしたたかな農業というのは大変重要なテーマだと思っています。しかし、それを実現させるのは人間です。農業を行うにはハングリー精神も旺盛でなければなりませんが、人生を何とかやり直したいと願う人にも向いている仕事だと思います。そういう点では清沢議員から紹介されたフランスのNPO法人ジャルダン・ド・コカーニュの取り組みも大変興味深いわけですが、ぜひとも固定観念にとらわれずに農業施策をダイナミックに遂行されることを御期待申し上げ、次の質問にまいります。

 長野県の観光戦略について御質問させていただきます。

 長野県では、現在、観光客の誘客はもとより、移住・交流や就農、就職の推進に力を入れておるところですが、そのイメージ戦略の一助としてひとつ提案がございます。例えば、東京観光情報センター内や県庁内において信州全体を表現したジオラマを設置してみてはどうでしょうか。

 通常、観光宣伝としてはパンフレットやポスターなど使われますが、写真と文章の組み合わせだけでは他県と変わらず、新鮮味に欠けます。しかし、実際の信州の姿を縮小し、忠実に再現したジオラマであれば立体感も臨場感もあり、信州を訪れたことのない方でもイメージはわきやすいと思います。簡単な立体地図でさえ多くの人々が買い求めるわけですから、ジオラマの効果はかなり期待ができるのではないでしょうか。

 信州は、他県と違い、3,000メートル級の切り立った山脈とのどかな里山とのコラボレーションが絶妙であり、さらには四つの平と肥沃の地、流れよどまず行く水のありようは、まさに「信濃の国」の歌詞のとおりであり、めり張りのある造形美がそこにはあります。

 ジオラマを作成する職人にとっても長野県は特に創作意欲をかき立てる地域ではないでしょうか。LED照明を巧みに利用した斬新なジオラマができるかもしれません。

 また、旭将軍義仲や佐久間象山先生などの文武の誉れ高き国の偉人に関しても、活動拠点や戦の経路など、歴史的な背景もジオラマがあれば説明がつきやすく、見る者にロマンを呼び起こさせることも容易であると思われます。さらには、高原列車や新幹線などの模型なども走らせることができれば、小さなお子様やマニアにとって大いに楽しめるスポットになります。

 信州の全体像がイメージできれば、今度は実際に行ってみようということになりますから、観光客にしても、スキー客にしても、その集客力アップに効果を発揮することでしょう。

 また、信州の農産物や水産物などの産地、あるいはものづくりの拠点などもわかりやすく表示したり、あるいはワインバレー構想やリンゴ3兄弟といった攻めの農業が現在どのエリアで行われているのかといったことも表示してみてはどうでしょうか。

 新規就農に意欲のある都会の人々にとって、自分が目指す農業は何か、あるいは何県のどの地域に拠点を置くべきかということは一番悩むところだと思いますが、その決断にジオラマが貢献する可能性は高いと思います。

 いずれにしても、観光、移住・交流、就農、就職、企業誘致といった観点で不特定多数の人々から信州に注目していただくには、オリジナル性の高い精巧なジオラマが大いに役に立つと思いますが、観光部長の御見解をお聞かせください。

 もう1点だけ御質問いたします。

 県内の宿泊施設で行われている信州森林ecoコインの事業の件ですが、コイン枚数相当分の支援金を森林の里親促進事業を利用し、信州長野県の森林整備を行いながら環境に貢献する取り組みということで期待は大きいわけです。しかし、今のところ登録している施設数は低調のようですが、その要因と改善策及び今後の展望等があればお聞かせください。

 

◆観光部長(野池明登)

 長野県の観光イメージ戦略ということで2点お尋ねをいただきました。

 まず、東京観光情報センター等に精巧なジオラマを設置してはどうかという御提案でございます。

 長野県への観光誘客、移住・交流、就農、就職等の促進を図るためには、県の内外に信州らしさ、あるいは信州の魅力をわかりやすく効果的に発信をすることが重要と考えているところでございます。

 長野県の多様な文化あるいは農産物、美しい風景は、3,000メートル級のアルプスや日本海、太平洋に注ぐ大河に代表される起伏に富んだ地形により育まれたものでございますし、それらを舞台としたさまざまな魅力ある資源を関心のある多くの方々の興味に訴えるような形で観光情報発信の場に用意することは、子供たちを含む世代を超えた信州ファンの獲得という点からも大変意義があることというふうに考えております。

 来年度は首都圏における信州ブランドの発信拠点のあり方を検討してまいりますけれども、実際に手に取ったり、味わったり、映像を駆使するなど、信州らしさをどのような方法で発信をしていくか、御提案の趣旨を含めて検討してまいりたいというふうに考えております。

 2点目の信州森林ecoコインの現状と今後の展望についてでございます。

 この制度は、信州への旅行の中で、歯ブラシですとかかみそり等のアメニティーの節減を通じて森林づくりに御協力をいただくという制度で、宿泊をするお客さんがアメニティーを使用しなかった場合、コインを宿泊施設のフロントの回収箱に投じていただきまして、その枚数に応じて森林の里親促進事業を通じまして長野県の森林整備活動に寄附をする仕組みでございまして、昨年10月以降、準備の整った施設から順次制度運用を開始しているところでございます。

 参加施設の募集につきましては、県内全宿泊施設への案内の送付、県旅館ホテル組合会を通じた会員の皆さんへの呼びかけ、観光情報誌ですとかホームページに制度や参加施設を掲載するなど行っておりまして、現在44施設が参加をしております。

 まだPRが十分とは言えない状況ですので、今後は、地方事務所の協力も得て、地域の宿泊施設の会合に出向き、きめ細かく参加依頼をさせていただきましたり、実際の寄附がどの森林整備に充てられたかなどを公表をいたしまして宿泊施設と宿泊者の双方の理解と評価を高め、目標といたしましては毎年100件ずつ参加施設をふやしていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆依田明善

 御答弁をいただきました。

 最近はよく見える化事業という言葉が使われますが、観光においては、まさに見る、さわる、聞く、食べる、歩くといった五感に訴えることが何よりも大切です。ぜひとも前向きに御検討いただくことを願いまして、一切の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。

 

カテゴリ

アーカイブ