11月定例県議会-発言内容(依田明善議員)

 

◆依田明善

 それでは順次質問をさせていただきます。

 長野技能五輪及びアビリンピック2012が閉幕いたしました。全国から多くの若き技能者が信州に集い、私も、連日、手に汗を握るすばらしい競技を間近で見させていただきました。また、主催県としても、関係者各位には長期間にわたって頑張っていただきました。その御労苦に感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。

 今大会の準備や運営において苦労した点や反省点、そして開催したことにより得たものがあればお聞かせください。

 さて、さまざまな競技を見る中で、職人を取り巻く厳しい状況が改めてクローズアップされてきたことも事実です。例えば、建築大工の部門です。ここでは、墨つけや手刻みのわざを競ったわけですが、これらはまさに日本の職人が世界に誇る伝統技能です。また、この技術は在来木造住宅をリフォームする場合にはなくてはならないわけですが、残念ながら、熟練された職人が年々高齢化し、あと10年もすれば激減してしまうと言われております。どんなにすばらしい県産材を供給しても、それを使いこなす職人がいないとなれば話になりません。

 名人と呼ばれる職人は、医療の世界でいえば名医です。すぐれた外科医は患部のみを摘出する技術にたけております。身体への負担を極力軽減させ、社会復帰の可能性も高くなるわけですから、患者にとってこれほど喜ばしいことはありません。

 これと同じで、腕のよい職人は、例えば傷んだ柱の部分だけを撤去し、柱と土台の一部を見事に再生させることができます。その名人わざの基本になっているのが墨つけと手刻みです。現場にあわせて材木を選び出し、木のくせや素性を見ながら墨つけを行い、手で刻みながら特殊な継ぎ手を施すわけです。

 ところが、こういったわざがない場合は、一部屋全部をつくり直しましょうといった乱暴な話になるおそれもあります。その工事費が仮に200万円の見積もりだとしても、柱の交換だけであれば20万円程度で済むわけですから、実に180万円の差額が出ます。それだけの資金があれば、お客様の夢見ていたシステムキッチンも入りますし、人造大理石のユニットバスも入れることができます。もちろん、そんなぜいたくができない生活困窮者も大勢おられるわけですが、傷んだ部分だけは交換しなければなりません。そんなときに良心的で腕のよい大工さんとめぐり会えれば幸いですが、残念ながら逆のケースもあるわけです。

 今後は住宅リフォームの需要が期待されてはおりますが、県民益を著しく損なわないためにも、伝統技能を持った職人の育成は急務であります。県としては、その現状をどうとらえ、また、現在どのような対策をとられておられるでしょうか。その効果や実績も含めて商工労働部長にお尋ねをいたします。

 

◆商工労働部長(太田 寛)

 2点御質問いただきました。

 最初に、長野技能五輪・アビリンピック2012につきましてお答えを申し上げます。

 平成20年に両大会の開催決定以来、大会を契機として県民の技能、技術への関心を高めるとともに、若年技能者の育成、障害者の雇用の拡大を図ることを大きな目標として準備を進めてまいりました。この目標に向けまして大会を成功に導くため、大会の認知度の向上、それから出場選手の発掘、育成、円滑な大会の運営、これを大きな課題として取り組んできたところでございます。

 認知度の向上につきましては、カウントダウンイベントの開催、あるいは企業のスポンサーの協賛、そして公式キャラクターであります「わざまる」を活用したPR活動といったものを行ってまいりまして、その結果、大会期間中の来場者数は延べ約16万人に上ったところでございまして、来場した皆様からは選手の皆さんの真剣なまなざしとひたむきに競技に打ち込む姿に感動したとの声が多く寄せられているところでございます。

 選手の発掘、育成につきましては、平成20年度に両大会合わせて15名であった出場選手を、長野大会では120名超えを目標といたしまして、県の職業能力開発協会や県経営者協会が中心となりまして企業訪問、強化訓練などに取り組んできたところでございます。その結果、技能五輪では、121名が出場し、建築大工、左官などの金賞8名を初め53名が入賞、アビリンピックでは、23名が出場し、家具などの金賞3名を初め14名が入賞という目標以上の成果として結実したところでございます。

 大会運営に関しましては、競技会場が分散するというふうなこともありましたが、県、それから市の職員に加えまして延べ500人を超えるボランティアの皆様の御協力によりまして滞りなく終えることができたと思っております。

 4年間の成果でございますが、具体的な例を挙げれば、本大会への出場を一つの目標として今後も継続的に技能者、技術者の育成に取り組む企業の数がふえてきたこと、それから、高校生ものづくりしっかり塾の開催などの効果もありまして、技能検定の受講者、高校生の受講者が増加しているということが挙げられます。

 いずれにいたしましても、技術者、技能者の育成は産業振興の重要な課題でございまして、とりわけ次世代を担う子供たちにものづくりの魅力や大切さを知っていただくということは技術者、技能者のすそ野を拡大していくことにつながり、非常に肝要であると思っております。大会開催を一過性のイベントとして終わらせることなく、産業人材の育成や障害者の皆さんの能力が生かせる雇用の場の拡大を一層推進してまいりたいと考えております。

 それから、若手の大工職人の現状あるいはその育成についての御質問でございます。

 長野県における大工職人の状況につきましては、長野県建設労働組合連合会への加入者等の統計によりますと、平成10年には一人親方を含めまして約9,000人いたものが、平成23年では6,100人と2,900人が減少しております。平成23年の数字で申し上げますと、29歳未満の若手大工職人は244名、全体では4%弱ということにとどまっておりまして、建築大工技術の継承が大きな課題になっているというぐあいに承知しております。

 現在、県では、長野と飯田技術専門校に1年制課程の木造建築科を、それから松本技術専門校に2年制課程の建築科を設置しておりまして、木造建築住宅施工の即戦力となる若手の大工職人の養成を行っているところでございます。

 近年、従来型の木造建築からプレハブ工法による住宅建設が増加する傾向にあったことから、平成22年の4月から松本技術専門校の建築科におきましてコース制度を導入して、応募、入校状況の改善を図ったところでございます。このコース制につきましては2年次から選択ができまして、伝統的在来工法による施工技術技能を習得するための建築大工専門コース、それと現代工法によります内装、外装仕上げなど多能的技能を習得するための住宅施工総合コースの2コース制を導入したものでございます。

 本年4月に、コース制導入後初めての卒業生を15名輩出いたしまして、うち10名が訓練科目の関連職種に就職したところでございます。

 また、県では、平成16年からでございますが、既存の公的資格では認定されない企業や業界団体が独自に行っている資格制度を長野県知事が認定する技能評価認定制度を創設したところでございます。すぐれた技能、技術の継承の促進を図っているところでございますが、建築関係におきましては、長野県建設労働組合連合会が、平成21年度から、中堅の大工職人を対象に信州職人学校・伝統大工コースを開設しております。これにつきまして先ほどの技能評価認定制度の対象といたしまして、これまでに18名の方が認定証の交付を受けているところでございます。

 議員の御質問にありましたとおり、建築業界を取り巻く環境は、熟練した建築大工職人が年々高齢化しておりまして後継者への技能継承が難しい状況になっております。

 県といたしましては、このような状況を念頭に置きまして、今後とも、伝統技能を継承する若手職人の育成確保に向けまして、業界あるいは企業のニーズを踏まえまして、技術専門校建築科訓練の一層の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 

◆依田明善

 信州の木のよさを最大限に引き出すのは、先ほど申し上げました墨つけと手刻みによる伝統的な加工が一番だと言われております。ただし、欠点もあります。それは、機械加工よりも割高になるということです。

 そこで、何か参考になるような取り組みがないか調べましたら、福井県が頑張っておりました。福井県では、みずからが居住する伝統的民家の新築または外装や構造体の改修をする場合、新築において最高160万円、リフォームにおいて最高300万円の補助金を出しております。しかも、この事業の管轄は、建設や商工関連ではなく、観光営業部という部署の文化推進課というところが担当しております。つまり、伝統建築の美しさを前面に出し、趣深い町並みにすれば観光振興につながるんだという信念があるわけです。

 また、鳥取県では、新築住宅において伝統技術を活用した住宅に上乗せ助成をしております。

 長野県でもぜひこれらのような事業を検討していただきたいわけですが、いかがでしょうか。建設部長にお尋ねをいたします。

 次に、平成2210月、国は、公共建築物等木材利用推進法を施行いたしました。これは、人工林の有効利用と国土保全が最大の目的となっておりますが、住宅など一般住宅建築物への木材の利用促進などの波及効果により若い大工職人が育つというメリットも考えられます。しかし、現状は、工業化された集成材、機械加工、金物が中心で、地元の天然無垢材はほとんど使われない上、ゼネコンが受注の主体であるために地元職人への技能継承を配慮しているケースは非常に少ないと言われております。

 現在、我が県においての公共建築物の木材利用状況はどのようになっておりますでしょうか。また、この法律を活用し、どのような施策を行っておられるでしょうか。林務部長、お答えください。

 

◆建設部長(北村 勉)

 伝統技術を活用しました住宅に対する補助に関するお尋ねでございます。

 国土交通省の資料によりますと、木造在来工法において木材を事前に工場で加工する機械プレカットの比率は約9割となっておりまして、議員御指摘のとおり、手刻み加工や墨つけ等の伝統的な技術を活用した木造住宅が減少している状況でございます。

 このような状況の中で、木造住宅供給の担い手となります大工技能者の減少、そして高齢化も踏まえて、木造住宅の建築技術の承継は重要な課題と考えております。

 本県におきましては、関係団体において大工技能者の育成に向けた技術講習会や実技指導等を実施しているところでございますが、御提案のありました伝統技術を活用した住宅に対する補助事業につきましては、他県の事業の内容や実施状況を調査するなどして、どのような取り組みが有効かについて関係者の意見を聞いてまいりたいと考えております。

 

◆林務部長(塩入 茂)

 公共建築物の木材利用状況、また、この法律を使ってどのような施策を行っているかというお尋ねをいただきました。

 国の木材利用促進法の制定を受けまして、県では、直ちに、平成22年の12月、県公共工事等で可能な限り木材を使用する基本方針を策定をいたしました。その結果、県関連の公共建築工事の木材利用実績でございますが、平成22年度約9,200立方メートルに対しまして、平成23年度は対前年比175%の約1万6,000立方メートルとなったところでございます。

 この法律を踏まえての施策の取り組み状況でございますが、県では、全庁的に組織している県産材利用促進連絡会議におきまして県産材に係る技術情報等の共有や研修会の開催を行い、県産材の利用推進に努めております。また、市町村においては、公共施設の木造化、木質化が一層進むように、年内を目途に、すべての市町村で木材利用方針の策定を進めていただいております。

 このほか、県産材の利用を推進するため、木材関係団体と連携して、建築士や職人等を対象とした、木材の特性について学ぶ信州木の家マイスター講座を開催しておりまして、現地研修を含め年5回の講座に大勢参加いただいて技術の伝承等の研修を行いました。

 こうした取り組みを継続することで、木造施設の建設を増進し、若手職人の育成や技術支援につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆依田明善

 他県ではこの木材利用促進法を活用して若手の職人を育てる施策を行っているところもあるようです。本県でも今後そのような施策を検討していただきたいと思います。

 次に、そもそも伝統的木造建築のよさとは何でしょうか。木目の美しさ、耐震性、断熱性、耐火性、環境保全への貢献度、人体への良好な作用、コストパフォーマンスなど、すぐれた点はたくさんございます。ところが、職人はあくまでも技能の体現者であり、プロの営業マンではありません。

 そこで、県としても、伝統的木造住宅の魅力を感じてもらえるようなパンフレットを作成したり、あるいはキャンペーンを行うということも大切だと思いますが、いかがでしょうか。

 また、伝統工法によるモデルハウスの建設や、戦前の古い民家の耐震改修リフォームの事例見学会、山林や製材場の見学会などへも県の支援を積極的に行い、本物に身近で触れてもらう機会をふやすべきだと思いますが、いかがでしょうか。建設部長、お答え願います。

 次に、海外にも目を向けてみたいと思います。

 ドイツの森に鳥居を建てるといったプロジェクト、そのほかにも、日本庭園の建築、日本民家の移築などさまざまな活動をしている職人組織もあります。ただし、事例はまだ少数です。

 長年、中国においてビジネスを展開している知人によりますと、反日感情ばかりがクローズアップされる中国においても実は日本建築と日本庭園にあこがれている富裕層は多いと申しておりました。欧米などでも同様です。

 であるならば、職人も海外進出を考えてみる必要があると思います。現に、大手ハウスメーカーは、国内の市場が収縮するばかりなので、海外に現地法人を立ち上げて富裕層ビジネスを始めております。しかし、一人親方や工務店では大企業のまねはできません。

 ですから、例えば国や県が民間と協力してプロジェクトを立ち上げ、市場調査や現地の環境整備を行うことも必要な事業だと思います。そうすることにより、日本の職人が海外で温かく迎えられ、長期滞在にも耐えられる快適な環境が整備されます。そして、実際に現地で腕を振るい、お客様に喜んでいただき、しっかり稼いでいただく。

 中国は、国内事情などから、施工管理等の技術支援は受け入れますけれども、労働力としての職人等は受け入れない方針を立てているようですので簡単にはいかないと思います。しかし、外国は中国だけではありません。そんな海外戦略やビジネスモデルの構築も視野に入れるべきだと思いますが、建設部長の御所見をお聞かせください。

 次に、教育面からも考えてみたいと思います。

 職人への入り口対策として、小中学校の授業の中で日本の伝統的な建造物や技能を体験授業として積極的に学ばせることはできないでしょうか。例えば、小中学校に宮大工や職人さんが出前講座に出かけて実演や加工体験をさせたりする方法もあり、全国各地で成功事例もたくさん聞いております。このように小中学校段階から本物に触れることにより、実際に職人を目指す子供も出てくると思います。ものづくりの才能のある子供たちを見逃さない教育システムは大切だと思います。

 また、工業高校と訓練校との学校間連携や地域との連携を強化する必要があります。今、県立訓練校は、認定訓練校も含めて生徒が集まらず、じり貧化しております。さらに、工業高校の建築科は大学進学へのバイパス化の傾向が見られますので、これもほうってはおけません。やはり、学科は高校、実技は訓練校など、相互に先生が出向いたり訓練校での実習体験などを取り入れることが大切ではないでしょうか。それにより、高校生の卒業後の就職や仕事を考える支援といった出口対策の強化が図られ、相互の弱点を補う乗り入れ授業といった教育システムは効果が期待できると思うのです。

 何とかして真に地元に根づく若者技能者をふやしたいわけですが、財源や所管の壁があってなかなか難しい問題とは思いますが、教育長、いかがお考えでしょうか。

 最後に、阿部知事にお尋ねいたします。

 建設業や土木業のすそ野は広く、こうしている今も寒空の下で一生懸命働いている人々が多いわけです。言うまでもなく、世の中は実際に現場で働く人々がいて成り立っているわけです。

 しかし、実際に話を聞いてみると、自分たちの将来に明るい夢を持っている職人は少ないように感じます。悲しいかな、自分の子供には職人を継がせたくないと明言する方々も多数おられます。しかし、私はいつの世も技術には夢があると思っております。

 例えば、自然エネルギーなどにおいては、小水力を利用するという点においては水車小屋なども見直されてくることでしょう。ところが、水車をつくる技術は特殊であり、その技術者も高齢化しております。が、いずれにしても日本の職人の技術はいわば世界に誇るブランドだと思うわけです。

 したがって、今後、我が県が伝統技能を持った職人育成に大いに力を入れていただければ、これも立派な信州ブランドとなり、国内のみならず世界に発信できると思うのですが、知事はどのようにお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。

 

◆建設部長(北村 勉)

 2点御提案をいただきました。

 まず、木造住宅のよさのPRについてでございます。

 県内の平成23年度の新設住宅着工戸数は1万475戸となっており、このうち木造住宅は約8割を占め、県民の木造住宅志向は高いものとなっております。また、在来工法による木造住宅の大半は地域の中小の大工、工務店が供給しているところでございます。

 御提案のありましたパンフレットを初めとしますさまざまな木造住宅の魅力をPRする方策につきましては、これまで、ふるさと信州・環の住まいのモデルハウスが県内11カ所に整備されているほか、県内工務店の協力により県下一斉信州木の家住宅見学会が実施されるなど、林務部と連携して取り組んでいるところでございます。

 大工技能者の育成にとりまして、伝統工法による木造住宅のよさを広く県民の皆様に理解してもらうことは重要なことでございますので、関係団体で構成する長野県住まいづくり推進協議会や県産材販路開拓協議会等と連携を図り、より一層効果的なPRの取り組みについて検討してまいりたいと考えております。

 次に、県内工務店等の海外進出に関するお尋ねでございます。

 御質問の中にもございましたとおり、建築に携わる日本の職人の方々の技術力は高く、これを保持し、次の世代に引き継いでいくことは、日本の文化伝承という意味からも大切なことであると認識しております。

 議員の工務店等の海外進出との御提案も、こうした職人の方々の生活を確保し、また技術、技能を将来に伝承していく方策の一つであると推察をしております。

 小規模な企業の海外進出という観点で申し上げますと、本年6月より、国土交通省が、地方の中小建設企業の海外展開を支援するため、言語の問題、現地の法制度や商業習慣など、海外事業における知識、ノウハウについてアドバイスを行う海外展開支援アドバイザー事業を開始したところでございます。

 また、商工労働部の所管になりますけれども、本県の海外駐在員が、現地の経済情勢等を踏まえた相談対応や各種支援機関の紹介など、個々のニーズに即した支援を行うことも可能であると聞いております。

 しかしながら、県内の建設業においても一部の大手企業のみが海外展開を行っている現状を踏まえますと、議員御提案のような個々の建築職人や小規模な工務店などの海外進出が可能かどうかについては多岐にわたる調査研究が必要になるものと考えております。

 こうした状況から、海外進出に対する意向や海外でのニーズ等を含め、まずは関係する情報収集に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆教育長(山口利幸)

 初めに、小中学校における伝統的な建造物や技能にかかわる学習についてのお尋ねでございます。

 日本の伝統的な建造物や技能を体験を通して学ぶことは大変重要なことでありまして、学習指導要領におきましても郷土の伝統でありますとか文化に関する教育の充実が求められているところでございます。

 具体的な事例を申し上げますが、総合的な学習の時間を使いまして、漆職人さんから直接漆塗りを教えていただき、おわんなどをつくっている小学校がございます。この学校の児童は、4年間にわたりまして漆塗りに取り組みまして、小学校3年、4年、5年、6年という形ですが、その技能を高めまして、卒業のときには卒業製作までしていると、こういう事例もございます。また、中学におきましては、技術の学習におきまして地域の木工職人の方を学校にお招きして職人のわざを見たり、あるいは生徒みずからが木工製作を体験しているという中学校がかなりございます。こういった学習を通して職人の見事なわざに驚き、あこがれを持つという生徒もおるというふうに承知しております。

 こうした学習は、児童生徒が職業に対する見方を深め、将来への夢をはぐくむことにもつながるものでありまして、キャリア教育といった視点からもこういう動きをぜひこれからも県下の小中学校に広げてまいりたいと、こんなふうに考えております。

 私たち日本人は、長い間、豊かな森林に囲まれて暮らす中で、地域の木を知り、そしてまた感性を磨いて、木の特性を生かした伝統的な技法を生み出し、木とともに生きてきた、こういった文化、伝統がございます。今後も、伝統的な建造物や技能に関する学習を進めて、日本の伝統的な技能を誇りとして感ずる、そういった子供たちの育成を目指したいと考えております。

 次に、工業高校と訓練校の連携についてのお尋ねでございます。

 これも具体的な事例を申し上げますが、工業高校の中には、地元の県立技術専門校と連携いたしまして指導を行っているところがございます。例えば、生徒実習におきましてたくみのわざを持った建築関係の講師による技術指導を受けている学校、あるいは高校生ものづくりコンテストに参加する生徒に対して木工の技術指導を受けている学校がございます。指導を受けた生徒の中には、講師の方の非常に高い技術、技能に触れまして、それを身につけたいという気持ちを持って技術専門校への進学を希望する者もいると、こんなふうに聞いております。

 工業高校が訓練校を初めとする他の教育機関や企業と連携して技術力を高めたり、あるいは地域の方の力をいただきながら意欲を持って地元に根づく若手技術者を育成していくということは大変大事であると考えております。

 今後は、工業系の技能検定受験に向けた技術指導や、学校では実施がなかなか難しいという実習指導等を通しての連携を検討してまいりたいと、こんなふうに考えております。

 以上でございます。

     

◆知事(阿部守一)

 伝統技能を持った職人の育成についてのお尋ねでございます。

 世界に誇れる伝統技能をしっかりと次世代に引き継いでいくということは、県としても取り組むべき重要なテーマだというふうに思います。

 今まさに中期計画を策定しているところでありますけれども、グローバル化する中にあっても長野県あるいは日本の強みを生かしていくということは、これまで営々と培われてきた伝統であるとか技術であるとか、そういうことをしっかり受け継ぐ中にこそ次の時代に向けての芽が出てくるというふうに私は考えています。

 先ほど他県の取り組み事例等も御紹介をいただきました。例えば観光でも、私ども、観光地域づくり、一過性の観光ではなくて、信州の暮らしそのものが世界から見たときには観光資源になり得るというふうに思っております。また、貴重な森林資源を守るという観点で、これは木を育て守るということだけではなくて、活用していくということをしっかり視野に入れて取り組まなければいけないというふうに考えています。そういう観点で、依田議員からるる御質問いただきました伝統技能の継承は大変重要なテーマだというふうに思います。

 若手技能者の育成、長野県にとっても日本にとっても大きな課題であります。本県、技能五輪全国大会を開催したわけでありますので、この取り組みを一過性のものとすることなく、ぜひ継続させていきたいというふうに思っております。

 日本の伝統文化、世界の国々からクールだ、格好いいというふうに思われているわけであります。それを日本人自身がもっと考えなければいけないなというふうに思っています。職人の皆さんの取り組みが格好いいとアピールできるような場づくりであるとか、あるいは若い職人がつくったものを発信できる場づくりなど、意欲ある若手職人の皆様方が夢を持って取り組んでいくことができる長野県を目指して取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

    

◆依田明善

 先ほどの福井県の伝統的民家に関する条例は全国にも例のない施策ですが、あのきっかけは県知事のツルの一声だったそうです。

 また、金沢職人大学校の開校は、時の金沢市長がたまたま市内に建設されたお寺の落成式に出席した際、そこに列席していた職人の大半が市外や県外からであったことに危機感を持たれたのがきっかけだそうです。現在、金沢市の発注工事のうち、新しいものは入札でゼネコンに、古い建築物の移築、修繕は、特記仕様書で地元の金沢職人大学校の卒業生にという形で技能を生かせる活躍の場をしっかりつくっているとのことです。

 このように、トップの姿勢がすべてを決めると言っても過言ではありませんので、ぜひとも信州の人材育成を強力に推進していただくことを切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わりといたします。ありがとうございました。

 

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