9月定例県議会-発言内容(依田明善議員)

 

◆依田明善

 改革・新風県議団、依田明善でございます。まず初めに、農業における後継者問題について御質問いたします。
 
 県は、平成23年度の農業施策基本方針の筆頭に、農業後継者の円滑な就農、都市部の就農希望者、他産業からの参入、定年帰農者など多様な担い手の確保育成を図るとともに、集落営農など地域で支え合う農業、女性や高齢者が能力を発揮できる農業・農村の構築に向けた取り組みを推進しますとうたっております。
 
 要するに、農家の子供はとにかく後継ぎをしてください、都会の人々も異業種の皆さんも農業経営にどんどん参入してください、定年退職をしたら信州に戻ってきて農業に本腰を入れてください、女性も高齢者も本気になって農業に取り組んでください、県は力強く推進しますといった内容であると承知をしております。
 
 県がここまで後継者育成の施策を連ねるということは、つまりは農業後継者が減り続けているということへの焦りでもあるわけでございますけれども、そこで農政部長にお尋ねをいたします。
 
 県内の販売農家に占める専業農家の数及び基幹的農業従事者の男女比率と平均年齢、さらに、他県と比較した中での事態の深刻さをどこまで認識しておられるのか、また、後継者施策において今後どれだけの認定農業者の増加が見込まれるのか。県としての目標を数値を交えてお答えください。
 
 
◆農政部長(萩原正明)
 
 本県の専業農家の実態と施策の目標等についてのお尋ねでございます。
 
 2010年農林業センサスによりますと、本県の販売農家数が6万2,076戸、そのうち占める専業農家は1万6,742戸で全体の27%という状況でございます。また、販売農家において主に農業に従事しておられます基幹的農業従事者は8万3,247人で、男性53.8%、女性46.2%、平均年齢は68.3歳というふうになっております。
 
 他県と比較いたしますと、販売農家数は全国4位でございますが、専業農家比率は全国21位となっておりまして、全国平均の27.7%で、ほぼ同水準となっている状況でございます。農業従事者の平均年齢68.3歳につきましては、全国平均の66.1歳より2.2歳高い状況でございますので、担い手の高齢化が本県農業の大きな課題となっておる状況でございます。
 
 このような状況から、県農業の維持発展のために地域農業を担う効率的な農業経営体である認定農家の育成を図っておりまして、平成22年度には6,942経営体となっておりまして、高齢化等から若干前年より減少しておるものの、5年前に比べまして930経営体が増加をしております。
 
 県では、平成24年の目標を7,200経営体としまして、農業改良普及センターが市町村と連携いたしながら認定候補者の掘り起こしや育成を図るとともに、既に認定を受けておられる皆様方に対しまして相互研さんのための組織化の推進だとか、農業経営コンサルタントの派遣、経営改善セミナーの開催などを通じまして認定農業者の確保育成に努めているところでございます。
 
 以上でございます。
 
 
◆依田明善
 
 今、さまざまな報道を見ますれば、農業に魅力を感じる若者が増加しているということをうかがい知ることはできます。実際に、都会でサラリーマン生活をしていた若い御夫婦などが田舎の大自然にあこがれて新規就農し、農業で立派に生計を立てることを夢見て奮闘している事例が決して珍しくありません。ただし、中には、農業に抱く夢よりも、都会の厳しい現実から逃避することが第一目的の人も多いのではないでしょうか。
 
 また、既存農家の後継者については、きつくて不安定な生活を嫌い、農業に見切りをつける人々がふえております。
 お嫁さんやお婿さんが欲しくても、生活が安定していなければお互いに二の足を踏むのは当然です。この問題は今後ますます顕在化してくることでしょう。
 それらを踏まえながら、長野県としても、就農相談、研修、経営支援などに取り組んでおり、40歳未満の年間の新規就農者数の目標を平成24年度においては200人と定めております。
 
 そこで、農政部長にお尋ねいたします。
 
 実際においては、どこで、どの程度の就農相談を行っているのか。どこで、どの程度の研修や経営支援を行っているのか。取り組みの問題点も含めて、実績と実態をお答えください。
 
 農業を夢見る若者に対するアドバイスの中でよくあるのが、農業を甘く見てはいけませんよといったものがあります。しかし、そんなアドバイスはマニュアルを読めばだれでも言えます。肝心なのは、農業経験豊かなアドバイザーがどれだけ親身になって相談に応じているのかということです。相談相手は農業の素人がほとんどなのですから、余りおどかしてもいけない。相談者は夢を描いている反面、家族の生活と将来が肩にのしかかっている。未知の世界に対する不安というものははかり知れないものがあるわけでございます。実際、夢破れて都会に帰っていく人々も多いと聞きます。そういう悲しい事態にならないよう、県としても、ぜひ相談相手の資質を見きわめながら、甘過ぎず、厳し過ぎず、農業に精通したアドバイザーが親身になって適切に対応していただきたいと思います。
 
 なぜ私がこのことにこだわるかと申しますと、実は私もかつて新規就農者でございました。平成13年ですから、今からちょうど10年前です。私が39歳のときでした。妻や親の反対を押し切って、高原野菜であるサニーレタスの出荷販売に挑戦したわけです。
 
 私も妻も農業経営は初めての経験でした。しかし、私の中には、農業は地場産業でもあるし、先祖代々の田畑を荒らしていては世間体が悪いという思いも非常に強くありました。また、大自然の中で家族が一体となって一つの仕事に精を出すということへのあこがれ、まさに、その感覚というのは、都会生活に見切りをつけ、農業に夢をはせる今の若者たちと相通じるものがあったんじゃないかと思っております。
 
 しかし、現実は本当に厳しいものでした。農業は甘くないぞと忠告してくれた方もおりましたが、それは現実の厳しさに直面して初めて理解できる言葉です。農業に対するあこがれと欲が強ければ強いほど冷静な判断はできません。事実、私たちも次第に現実の厳しさをひしひしと感じるようになりました。苗づくりがうまくいかず、育苗ハウスの中で妻が泣いていたこともありました。私も、ロータリーがけ、土づくり、マルチ張り、植えつけ、干ばつ対策、長雨対策、防除作業、草取り、害虫駆除、どれもこれもうまくいかずに、体も疲弊して暗たんたる気持ちに陥ることも何度もありました。
 
 しかし、ポイントポイントで農協の営農指導員や近所の農家の皆さんの献身的なバックアップがありました。子供たちも一生懸命箱づくりや水まきに精を出してくれました。親も親戚も兄弟姉妹も協力してくれました。そのかいあって、何とか初めての出荷にこぎつけたわけでございます。お恥ずかしい話ですが、記念すべき初出荷の日は、たったの15箱しか出荷できませんでした。それでも、その15箱にはこの上ない愛着がわき、大切に軽トラックに載せて集荷場へ運んだわけでございます。
 
 結局、その年は約3,000ケースしか出荷することができずに、掲げた目標を大きく下回ってしまいました。しかし、その後、作付面積も実績も伸び続けて、5年後には3町歩の畑を借用し、約1万6,000ケースを一夏に出荷することができました。おかげで体もスリムになり、体重も68キロという理想的な数値をたたき出した日を今も覚えております。
 
 多くの貴重な体験を積み、6年の歳月をもって高原野菜への取り組みは幕を閉じたわけでございますが、今でも強く思うのは、結局は身近な人々に助けられたなということでございます。農協の営農指導員による丁寧な指導、近所の皆さんの協力体制、家族や親戚の支援、それらがなければ素人の私たち夫婦が農業を続けることは到底できませんでした。
 
 それを思えば、県の農業施策にある多様な農家が支え合う地域営農の推進というものは実に的を得た考え方ではあると思うわけでございます。問題はそれをどうやって具現化するかということになるわけでございます。
 
 そこで、農政部長にお尋ねいたします。
 県としては地域営農の仕組みづくりをどのように推進していらっしゃるのか。実態もあわせてお答えください。
 
 
◆農政部長(萩原正明)
 
 貴重な体験をお聞かせいただきましてありがとうございました。まず、就農希望者等への具体的な支援についてのお尋ねでございますが、県では就農希望者のレベルにあわせまして総合的な対策を進めております。農業以外からの就農希望者に対しましては首都圏など県内外で年間40回以上の就農相談会を開催しておりまして、これらの相談会などで平成22年度は1,400人を超える方から御相談を受けております。
 
 また、首都圏の就農希望者を積極的に長野県に呼び込むということで、本年度、新たに1泊2日の信州農業体験ツアーや信州農業ゼミも実施しておるところであります。
 
 就農のための支援につきましては、県独自の制度といたしまして新規就農里親研修事業や担い手育成基金の研修費助成などを行っており、こうした取り組みによりまして、農家子弟を含む40歳未満の新規就農者は平成22年度において190人と、目標の200人の達成に向けまして増加傾向で現在推移をしております。
 
 これら新規就農者に対しましては、農業改良普及センターが主体となりまして、栽培技術に対する個別指導だとか、簿記記帳などの経営支援とともに、仲間づくり、婚活イベント、こういったさまざまな支援をさせていただいているところでございます。
 
 一方、就農に当たりまして住居だとか農地の確保が課題となっておりまして、農業改良普及センター別に10地区で設置をしております就農促進プロジェクト協議会の活動を通じまして市町村、農協等との連携を今後とも一層密にして対応してまいりたいというふうに思っております。
 
 次に、地域営農の仕組みづくりについてのお尋ねをいただきました。
 
 本県では、意欲的な農業経営体や兼業農家、高齢農家などが相互に補完し合って地域農業を維持していく仕組みづくりを進めております。具体的には、市町村や農業委員会、JA、農業改良普及センター等で組織いたします市町村営農支援センターが、農地の利用調整だとか、労働力の確保だとか、栽培技術の指導等を総合的に行って、地域全体で農業や集落機能を支え合う体制づくりを進めてきているところでございます。
 
 この推進に当たりましては、水田地帯や中山間地域においては農作業の共同化や受託組織の育成が重要でありますことから集落営農組織の整備を中心に進めており、現在までに314組織が設立されているところでございます。また、園芸地帯では労働力の補完調整を営農支援センターが担う体制の構築を進めておりまして、昨年は、農家相互間での労働力補完に加えまして、援農ボランティア等によりまして延べ2万人が農繁期の農作業に従事をしていただいております。
 
 今後とも、市町村営農支援センターと連携いたしまして、多様な農家が地域で支え合える体制づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
 
 以上でございます。
 
 
◆依田明善
 
 御答弁、ありがとうございました。
 
 次に、安定した野菜生産への新たなる取り組みについて御質問をさせていただきます。
 
 私が農業に従事していた中で心配していたのは、その日の相場ももちろんですが、一番恐れていたのは天候でした。相場はたとえ安くても、品物さえ出荷できればわずかでもお金にはなります。価格暴落による廃棄処分も生産者としては泣くほど切ない作業ではありましたけれども、サニーレタスなどにおいても若干の補助はありました。しかし、突然のひょうの襲来、ゲリラ豪雨、異常な長雨、異常な干ばつ、急激な温度変化などによる腐れや病気が発生してしまえば出荷することはできません。今までの苦労がすべて水の泡となり、資材や賃金の支払いだけが残るわけでございます。
 
 しかも、長野県の寒冷地における野菜の収穫期は初夏から晩秋にかけての短期間です。温暖な千葉県あたりとはわけが違います。特に、高原野菜の産地などは夜中の1時から作業を始める地域が珍しくありません。雨が降ろうが、霜が降ろうが、予約した数量だけは出さなくてはなりません。昔と違って単価が安いので数で勝負をしなければならないわけです。そうなれば病気もけがもできません。また、作物が全滅になってしまえば、夏場の短期決戦ですからもはや挽回はできません。悲しいことに、それらが原因で借金がかさみ、自殺してしまった方もおります。そういったせっぱ詰まった農業経営が今現実に行われているわけです。
 
 そこで、農政部長にお尋ねをいたします。
 
 ことしは、特に野菜において、異常な長雨、低温と日照不足、急激な温度上昇などで、かつてないほどの被害を受けております。そのあたりのことを県としてはどこまで把握しておられるでしょうか。
 また、安定した農業経営のために、安値に対する施策をより充実するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 
 さらに、新規農業施設の設置には強い農業づくり交付金等の財政支援がありますが、老朽化施設に対する支援もあわせて行うべきだと考えますが、その点もお答えください。
 
 最後に、野菜、果物、花などの生産者が安心して営農に当たられる新しい仕組みをぜひとも考えていただきたいということでございます。
 
 確かに安定基金などの施策はありますが、これはあくまでも出荷して何ぼの施策です。そうではなくて、もうけが出た年にはしっかりと積み立て、一たび自然災害や風評被害などにより出荷量が激減した年は農家を救済し、毎年安定した収入を確保できる災害基金を創設できないかということでございます。
 
 新規就農者に資金援助ができたとしても、最初の年に運悪く災害に見舞われてしまえば、まさに借金だけが残ってしまいます。そういう天気任せ、相場任せの危うさが通常のビジネスとは違うところだと思います。
 
 以前は農協等でも独自に基金を持っておりましたが、現在は税法上持てなくなっております。しかし、異常気象が増加傾向にある昨今、あるいは風評被害も警戒しなければならない昨今、安心して農業に没頭できる新たな取り組みを、農協を初め農業従事者の皆様や国税当局などと協議を重ねながら、ぜひともつくっていただきたいと思います。そして、これこそが農業人口をふやし、国土を保全し、食料自給率を高める重要施策になると私は確信をしております。
 
 以上、農政部長にお伺いいたしまして、私の質問を終了いたします。
 
 
◆農政部長(萩原正明)
 
 農業生産にはどうしても気象災害的なものはある程度つきものでございまして、起きる前の対策、起きてからの被害を最大限縮小する対策等を日ごろから我々としても行っているわけでございますが、どうしても被害が出る場合も中にはございますので、そういった面をできるだけ制度の中で拾い上げるような工夫も現在させていただいているところです。
 
 三つ質問をいただきました。
 
 まず、野菜価格の低落に対する施策の充実をというお尋ねでございますが、野菜価格安定制度に基づきまして補てん金を交付いたしまして農家経営の安定を図っているところでございますが、本制度につきましては国及び県の単独事業を組み合わせて対応してきておりまして、国指定の野菜9品目を対象にした事業におきましては、国、県、それから生産者の皆様方によりまして73億円ほどの資金を造成しておりまして、これに基づきまして価格低落時の補てん金交付を行っているわけでございますが、ここ数年の年間の補てん額は10億から30億程度で推移をしているところでございます。
 
 なお、本制度につきましては、契約取引への支援強化だとか生産者負担の軽減化など、順次改善が進められてきておりまして、県といたしましては国の制度改正に沿った対応を随時進めさせていただいているところでございます。
 
 次に、農業施設への支援についてお尋ねがありました。
 
 県内の集出荷施設等共同施設につきましては、建設から年数もたっているものもございます。これらの施設につきましては、例えば統合だとか機能向上とか、こういった整備につきましては、国の交付金を活用させていただきまして、施設整備の緊急性等も十分考慮しながら支援をさせていただいているところでございます。
 
 次に、自然災害に対する対応についてというお尋ねでございますが、野菜につきましては、価格変動が大きくて、減収時においてほど価格が上昇するといった現象がございまして、水稲や果樹のような共済制度の制度設計が大変難しいということから、野菜価格安定制度によります経営安定が行われているわけでございます。
 
 この価格安定制度におきましても、平成23年度改正で、自然災害での不作時の数量減による収入減を含めて補てんする新たな事業タイプといたしまして契約野菜収入確保モデル事業が実は試行をされております。
 県といたしましては、今後の本格的な実施に向けましてよりよい制度になりますように必要に応じまして国に要請するなど、農家経営の安定をさらに支援してまいりたいというふうに思っております。
 
 なお、農業経営の安定化の観点から、気象変動に強い栽培技術の支援だとか、出荷期間を通じました収入の確保だとか、実需者の要望に沿った生産によります価格安定などにつきましても、関係団体と連携いたしまして、今後とも推進してまいりたいというふうに思っております。
 
 以上でございます。
 

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