2月定例県議会-発言内容(山岸喜昭議員)

 

◆山岸喜昭

 順次質問いたします。

 長野県農業の担い手育成と長野県農業大学校のあり方についてお聞きします。

 本県農業は、変化に富んだ気象や地形を生かし、高原野菜や果樹、花卉などの園芸品目を基幹とした全国有数の産地として発展してまいりました。しかしながら、農産物の価格低迷や担い手の減少などから、平成22年度の農産物産出額は2,738億円とピーク時である平成3年と比較して69.2%まで低下しており、農業経営は大変厳しい状況になっております。

 このような中で、特に本県の農業・農村を支える農業の担い手の確保育成につきましては多くの課題を抱えております。農家や農業従事者が減少し高齢化が進行する中で、次世代の長野県農業を支える担い手の育成と確保は県農業をさらに発展させるための最大の課題であり、その中でも長野県農業大学校が果たす役割は非常に重要であると私は考えるところであります。

 本県では、今定例会に報告がありました次期長野県食と農業農村振興計画において、夢ある農業を実践する経営体の育成が最重要課題の一つとして位置づけられ、県農業を担う人材を早急に確保するため、農業後継者の円滑な経営継承を促進するとともに、県内外から新規就農者を積極的に誘致するとの方向性が示されており、この計画の着実な推進に大きな期待を寄せるものであります。

 こうした中、近年、若者の農業・農村に対する関心の高まり、農業改良普及センターや市町村、農業関係団体等による相談から体験、研修、就農、定着に至るまでの就農希望者の習熟度にあわせた就農支援が行われてきたことから、平成23年度には211名の方が県内で就農されたと伺っております。

 本県の農業・農村を将来にわたり維持発展させていくためには、農家の後継者はもとより、新規就農者を安定的に確保するため、就農希望者を呼び込み、農業で夢をかなえていただくための支援のさらなる充実強化が必要不可欠と考えております。

 このような農業の担い手の確保育成を進めていくさまざまな施策の中で、その中心を担っていくのが県農業大学校ではないかと私は思うのであります。

 県農業大学校は、大正2年に農事講習部として創設されて以来、卒業生は農業・農村を支える指導者や地域農業を牽引する農業者として県内外で活躍しておられます。また、県農業大学校は来年度は創立100年を迎えるとも伺っております。

 このような歴史と伝統を誇る県農業大学校ではありますが、近年、卒業生の就農状況が芳しくなく、平成23年度の就農率は33%であり、全国平均の48.7%を大きく下回っているとされています。就農率向上に向けた教育内容の抜本的な見直しが求められております。

 そこで、長野県農業の担い手育成と長野県農業大学校のあり方について農政部長にお伺いします。

 農業で夢をかなえる支援事業で、日本一就農しやすい長野県、新規就農者250人の実現を達成するためには、県農業大学校は今後どうあるべきなのか、その基本的な考えはどうであるのか。お尋ねします。

 

◆農政部長(中村倫一)

 農業大学校のあり方に関しますお尋ねでございます。

 長野県農業大学校は、創立をいたして以来、時代の変化にあわせまして何回かにわたりまして体制を整備し直しまして、効率的かつ安定的な農業経営を担う人材と農業指導者を養成するという二つの役割を果たしてまいりました。

 近年になりまして御指摘のように農業従事者の減少、高齢化が著しく進む中で、これからの長野県農業・農村の担い手の育成は喫緊の課題となったことなどを踏まえまして、平成20年度に長野県農業大学校条例の改正を行いまして、農業大学校の設置目的を農業の担い手育成に重点を置くこととしたところでございます。

 しかしながら、20年度から23年度までの農学部の卒業生のうち就農をした者の割は約3割ということで低迷をいたしておりまして、大きな課題となっておりました。このため、本年度、外部の有識者で構成をいたします農業大学校のあり方に関する検討会を設置をいたしまして、教育の内容と組織、運営のあり方につきまして総合的に検討を進めてまいりました。

 昨年11月の28日に検討会の報告をいただきまして、これを踏まえまして、今後、県といたしましては、農業大学校は引き続き農業の担い手育成の中核機関として位置づけをしまして、就農や農業への関心を高く持っている方々を入学者として受け入れまして、すぐれた生産技術と経営管理の実践的な教育を行い、県農業を担う企業的な農業経営の即戦力となるような人材の輩出を重点にしていくこととしたところでございます。

 

◆山岸喜昭

 続きまして、就農率の向上に向けた県農業大学校改革の具体策についてであります。

 農政部長に伺います。

 検討会報告を踏まえて、今後、改革案を具体的にどのように進めていくのか。改革の方向性とスケジュールについて伺います。

 特に、報告書に記載されているような、新規就農者が就農後に250万円の収入が得られるようにするための具体的な支援についても伺います。

 

◆農政部長(中村倫一)

 農業大学校の改革の方向性とそのスケジュールについてでございます。

 まず、改革の方向性でございますが、先ほども少し触れさせていただきましたけれども、入学生につきましては就農意欲の高い方を選考するというふうな方向、そしてまた学生のさまざまなニーズに対応して教育の内容の充実を図ってまいります。さらに、在学中から就農に向けました支援を行うことなどによりまして卒業生の就農率を高めることを基本といたしまして、具体的には以下4点の改革に取り組むことといたしました。

 1点目といたしましては、大学卒業生あるいは社会人、こうした方々を対象にいたしまして、企業的な農業経営の即戦力となります人材を育成する新たなコースを農学部に新設するということといたしました。

 2点目でございます。これは教育内容の充実でございます。総合農学科の現在の各コースにおきましては、経営感覚を磨く演習や農家体験実習を強化することといたしました。また、新しく設置するコースにおきましては、最低3カ月の農家体験実習と長い期間の実習を行いますとともに、これとは別に、種まきから販売まで、就農時に近い一貫した生産管理の実習を行うというふうな内容を組み込みます。

 3点目といたしましては、学校の運営の改善と教育内容の充実の両面でございますけれども、民間からの外部講師を積極的に取り入れていく、そしてまた農機具メーカーなどと連携をいたしまして講義や実習の充実に努めていくというふうな内容を盛り込んでございます。

 4点目といたしまして、就農支援の強化でございます。個々の学生の要望に沿った指導を行いますために、新たに配置を予定しております就農支援を専門的に行う職員が、入学後早期に学生の就農意向を把握をいたしまして、就農希望地となっております市町村やJAとの仲立ちをさせていただいたり、あるいは必要な農地や施設、機械の事前の準備について支援をしていく、これを在学中から支援を進めるということで充実をするとともに、就農後もフォローをしていくというふうなことを考えておるわけでございます。

 こうした改革を進めることで、高い技術力、そしてまた経営力といった実践力を身につけていただくということになりますし、きめ細かな就農支援を行いまして、卒業後、農業経営を開始した年から一定の収入を確保できるような人材を輩出していくというふうなことに努めてまいりたいというふうに思っております。

 改革のスケジュールにつきましては、在学中の就農支援など速やかに着手できますことにつきましては平成25年度から、そしてまた、26年4月につきましては、新しいコースを開設をいたしまして、新体制で農業大学校をスタートさせていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆山岸喜昭

 続きまして、私ども小諸にあります研修部についてお伺いいたします。

 研修部は、昭和6年7月に開設され、82年の歴史ある長野県立農事講習所実習農場であり、多くの農業自営者を養成してきました。この研修部のある農場については、地元の皆さんが、東信地域はもとより、長野県の農業振興に活用してほしいとの熱い思いを込めて貴重な土地を提供してくださったという経緯もあり、地元は県農業大学校研修部に対しての思い入れや期待は非常に大きいものと理解しております。

 農政部長にお伺いします。

 研修部は、長野県に移住して農業に親しみたいという都市部の皆さんが農業の基本を知る場としての一定の役割も必要かもしれませんが、農業経営の夢をかなえる、やる気がある本県農業の将来を担う新規就農者の研修の場として、地元が誇れる、夢をかなえる施設として発展させることが重要であると思います。その方向性と今後の体制の整備について伺います。

 

◆農政部長(中村倫一)

 農業大学校研修部の方向性でございます。

 改革に伴いまして、今後、研修部におきましては農学部の在校生の実習を行うということが1点、そしてまた研修といたしましては、既に新規に就農された方や農業後継者、そしてまた農のある暮らしを求める方などを対象とする研修を実施していくというふうにしたところでございます。

 この中で、御指摘のこれからの県農業の将来を担っていく農業者を育てるための研修部の役割ということでございます。

 これまでの研修部の役割に加えまして、農学部に新設するコースの学生、これはもう将来の長野県農業を担っていくばりばりとしたものを育てていくわけですけれども、この学生たちのための稲作、そしてまた露地野菜の栽培実習地にしていきたいというふうに思っております。このほか、新規就農者の技術向上のためのフォローアップ研修、そしてまた若手農業者の経営マネジメント研修を研修部で行うということとしております。

 このため、現在、研修部にございます畜産の草地用の土地がございます。この一部を、新設する学生の露地野菜栽培実習圃として活用をするために畑地化をするための準備を進めているところでございます。

 今後も、県の農業の担い手を育成する機関として研修部の充実に努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆山岸喜昭

 ぜひとも、地元に目に見える近代農業を目指しての活用をお願いしたいわけでございます。

 続きまして、移住・交流促進についてお伺いします。

 長野県は、移住したい都道府県ランキングでは4年連続1位となるなど、高い評価を受けております。東京観光情報センターには、移住専門相談員と、さらに職業紹介窓口も開設し、Uターン、Iターン就職希望者に対する職業相談、職業紹介もあわせて行うことのできるいわゆるワンストップの相談体制が整い、都市部における情報発信、相談機能が充実されました。

 知事におかれましては、こうしたセンターの充実にあわせ、都内での信州田舎暮らしセミナーでみずから長野県の魅力を発信するトップセールスも展開されていること、さらに、先日は、JR東日本と県、佐久市と連携した移住定住促進に向けての商品開発の連携も発表されるなど、県の積極的な取り組みは移住・交流の促進を進めていく地域にとって大変心強い限りであり、評価するところでもあります。

 こうした中、受け入れ先である地域に求められる生活サービス提供機能はどうかと申しますと、市町村によって温度差はあるものの、総じて十分と言える状況にありません。市町村では、積極的に交流を進めたい地元のグループが、空き家や遊休農地はあっても、なかなか外から来られる方に対し貸し出しするなど受け入れ態勢の整備が進まないのも実情であります。地元の生活サービス提供機能が十分に機能しなければ移住の実現には結びつきません。特に、地域での空き家、貸し家や農地の提供体制の充実は不可欠であります。

 観光部長にお伺いいたします。

 市町村における生活サービス提供機能の充実に向けて、土地や空き家を持ち主サイドに立って有効利用を促し、居住希望者に橋渡しする仕組みづくりや、市町村、宅建協会、移住・交流を積極的に支援する団体など幅広い関係者による推進体制づくりなど、県がイニシアチブをとって支援していくことで移住・交流への県民の理解と協力が進むのではないでしょうか。

 相談窓口から市町村に円滑に引き継ぎができる受け入れ態勢づくりをどのように進めていくのか。お尋ねします。

 

◆観光部長(野池明登)

 移住・交流の促進に向けた市町村の受け入れ態勢づくりにつきましてお尋ねをいただきました。

 移住施策を進めていく上では、移住者の最終的な着地点であります市町村の受け入れ態勢の充実が大変重要なポイントであることは御指摘のとおりでございます。

 具体的な受け入れに当たりましては、空き家バンクを設けての登録促進を一生懸命にやっているところ、農業公社が農地を管理して就農希望者の研修に活用をしているところ、地域全体で移住者を温かく迎える機運の醸成に努めているところなど、創意工夫を凝らして取り組んでいる市町村も県内には少なからずございます。

 また、移住・交流を支援する幅広い関係者による推進体制についてでございますが、県では、60の市町村と宅地建物取引業協会、経済団体など9民間団体が参加する田舎暮らし楽園信州推進協議会の取り組みを通じまして、各市町村の先進的な取り組み事例の共有ですとか情報発信の場づくりなど、受け入れ態勢づくりのサポートを行っているところでございます。

 来年度は、実際の移住者や交流活動を進めるNPO、団体と行政などの受け入れ関係者によるネットワークづくりを進めまして、その中からより具体的な課題を把握をし、移住の第一線の市町村とともに長野県への移住をさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆山岸喜昭

 続きまして、受動喫煙防止の取り組みについて伺います。

 2003年にWHOでたばこ規制枠組み条約が可決され、日本は締結国として受動喫煙防止がガイドラインで定められています。また、国内においても、健康増進法第25条により受動喫煙の防止が明記されております。

 海外では国の初動で公共の場での禁煙が進むが、日本では不特定多数の人が使う施設の管理者に対して受動喫煙防止の努力を求めるにとどまり、先進国の中でも最もたばこ対策のおくれた国と言えます。

 長野県においては、受動喫煙対策を徹底するとして、たばこ対策推進事業の中で受動喫煙防止の環境づくり推進事業を行ってまいりましたが、現状は医療施設においても約10%が完全分煙ではなく、県有施設でも完全分煙は達成できていません。市町村庁舎においては完全分煙の割合は7割にも満たないのが現状であります。

 健康福祉部長にお聞きします。

 受動喫煙防止の環境づくりを推進しているが、どういった点が困難で完全分煙が徹底できない要因であると考察しているのでしょうか。

 また、来年度スタートする信州保健医療総合計画においても、県有施設で禁煙または完全分煙を実施、終日全面禁煙の認定施設の増加を施策展開するとしております。従来に比べどのような点を工夫して施策を実施していかれるか。お聞きします。

 

◆健康福祉部長(眞鍋馨)

 受動喫煙防止につきまして私に2点お尋ねいただいてございます。

 まず、完全分煙などの受動喫煙防止が徹底できない要因についての分析でございます。

 受動喫煙の防止につきましては、議員御指摘のとおりでございますけれども、健康増進法においては、公共施設など多数の者が利用する施設を管理する者は受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないというふうに規定されておりまして、努力義務が課せられているのみということでございます。

 また、昨年、県が飲食店等を対象に行いました調査におきまして、受動喫煙防止対策をとっていない店舗990カ所にその理由をお聞きしましたところ、構造上できないというところが55%、お客様の減少が心配というところが30%、以下、分煙や禁煙の必要性がない、資金がない、従業員が喫煙するなどとなっていたところでございます。受動喫煙防止対策を講じていく上で、こういうふうなさまざまな課題があるというふうに認識してございます。

 さらに、受動喫煙防止を進めるためには、たばこを吸わない人に対する喫煙者側の配慮ということも必要であると考えてございまして、日本たばこ産業株式会社、JTでも、たばこの煙やにおいを好まない方や乳幼児など煙を避けることができない方にとってたばこの煙は多大な迷惑となるとして、喫煙マナーの向上を呼びかけているところでございます。

 次に、信州保健医療総合計画に記載してございます県有施設等における受動喫煙防止の推進についてお答えを申し上げます。

 県有施設に対しまして、健康福祉部といたしましては、関係部局と連携いたしまして、受動喫煙防止対策が不十分な全ての施設に対しまして、保健福祉事務所の職員が直接出向き、喫煙場所や換気扇の設置等について具体的に助言をし、完全分煙などの対策を徹底してまいりたいというふうに考えてございます。

 県有施設以外につきましては、県では、従来、終日全面禁煙をしている施設の認定を行っているところでございますが、現在、飲食店の認定数が243カ所で全体から見ますと約1%、ホテルや旅館等の宿泊施設は27カ所で全体から見ますと約0.4%と依然として少ないところでございます。

 今後は、こうした業界の団体の協力なども得ながら、研修会や出前講座等の機会を通じまして、喫煙による健康被害や受動喫煙対策の必要性及び具体的方法等につきましてさらに周知徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

 

◆山岸喜昭

 私は、おいしい空気の環境づくり推進信州おもてなし事業でわかるように、あくまでも努力義務で、自主的に禁煙にする施設を認定するだけという甘いスキームが要因ではないかと思っています。当然、全面禁煙であるべき病院ですらこの対象になっていたことからもわかるように、時代おくれの費用対効果の悪い事業であると言わざるを得ません。本当においしい爽やかな空気の信州をアピールするのであれば、不完全な分煙を認めない全面禁煙を前提とした一歩進んだ規制の観点も必要ではないでしょうか。

 健康福祉部長にお聞きします。

 先進国でたばこ規制の最もおくれた日本にあって、長野県は健康長寿日本一にもなりまして、県民の健康を守るという立場で、さらに国内や海外からも多くの観光客を迎える本県としては、受動喫煙防止施策の推進に当たり、規制も視野に入れて検討すべき時が来ていると考えますが、所見はいかがでしょうか。

 神奈川県では、全国初となる受動喫煙防止条例が施行されました。学校や病院、官公庁施設などの公共施設は禁煙、大規模な飲食店や宿泊施設は禁煙か分煙を義務づけています。兵庫県でも昨年3月に成立し、病院、学校などでは喫煙室の設置も認めていません。また、現在、京都、静岡、島根の3府県が検討中でもあります。

 神奈川県の調査では、この条例の制定で、県民のうち約8万人が禁煙をし、何よりも受動喫煙に対する県民の意識が数段上がったと報告されております。所見をお伺いしまして、質問を終わりとします。

 

◆健康福祉部長(眞鍋馨)

 受動喫煙防止の規制についてのお尋ねでございます。

 受動喫煙を防止する一つの方法といたしまして条例の制定というものが考えられます。喫煙についての考え方がさまざまあり、条例で規制することによって少なからず影響を受ける方々もおられるので、広く県民の皆様の理解と御協力が必要になるものというふうに考えてございます。

 ちなみに、現在、神奈川県と兵庫県で受動喫煙防止条例が制定されてございます。内容を拝見いたしますと、例えば小規模施設については努力義務としていたり、当面の暫定措置といたしまして空間分煙ですとか時間分煙、こういったものを認めたりするなど、条例による規制の難しさというものもあらわれているものというふうに受けとめてございます。

 なお、国におきましては、飲食店も含む事業所等におきまして従業員の受動喫煙防止を図る観点から、労働安全衛生法の改正が検討された経緯もございます。

 県といたしましては、今後の国の状況も見きわめながら、まずはこれまでに申し上げてきたようなさまざまな受動喫煙防止対策を進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

 

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