2014.9月定例県議会-発言内容(続木幹夫議員)

 

◆続木幹夫

 改革・新風の続木幹夫です。順次質問いたします。

 まず、小中一貫校についてお伺いいたします。

 文部科学省は、政府の教育再生実行会議の提案を受けて、2016年度にも学校教育法を改正して小中一貫教育学校を制度化し、全国に公立の小中一貫校の拡大を図るとの報がありました。

 このことについてはさきの代表質問で鈴木県議からも質問がありましたが、私からも、改めて、本県としてこの政府の公立の小中一貫校の拡大方針についてどのように考えておられるのか、教育長に伺います。

 小中一貫校のメリットとしては、学力向上のほか、いわゆる中1ギャップの解消が見込まれます。

 しかし、一方で、教育評論家の尾木直樹氏は、例えば小学校のときにいじめなどに遭った場合、その人間関係が中学卒業まで続くかと思うと、その子供にとってはまさにそれは無間地獄であり、公立の小中一貫校の拡大は絶対反対であると言っております。

 確かに子供の時間感覚は大人の数倍にも感じられますし、私の小中学校のころを思い出しますと、中学校に入学した直後から登校してこなくなる同級生がいた一方で、小学校のころは、おとなしく、いじめられていた生徒が、中学校に入り、他の小学校から入学してきた生徒と新たな友人関係を築き、見違えるように生き生きとなった同級生がいたこともまた事実であります。

 もし、いじめに遭ったら転校すればよいではないかという論もありますが、地方においてはそうやすやすと転校できるものではありません。

 私は、現行制度のように、小学校のある程度の段階で区切りをつけ、複数の小学校と統合し、新たな環境で学ぶ場をつくってやることのほうがよいのではないかと思います。

 そこで、この政府の公立の小中一貫校拡大策について、転校の経験もあると聞く知事はどのようなお考えか。お聞きいたします。

 

◆教育長(伊藤学司)

 小中一貫校の拡大方針についての所見についてのお尋ねでございます。

 小中一貫教育につきましては、本年7月、政府の教育再生実行会議が提言を公表したところでございますが、子供の身体的成長の早期化や学習内容の高度化により、小学校から中学校への移行を円滑にするために学校間連携や小中一貫教育の推進が求められるとされたところでございますが、区切りを一律に変更するのではなくて、柔軟な制度構築をしていくと、こういう提言がなされたと承知してございます。

 小中一貫校につきましては、中1ギャップの緩和や異学年間の交流等の面から効果が期待されておりますが、他方、一体型とする場合には施設整備に多額の費用がかかるなどの課題もあると認識をしてございます。

 小中一貫教育を導入するかどうかは設置者である市町村の判断であるという制度の方向で検討しているようでございますが、地域の実情に応じた柔軟な対応がとれるようになるということは重要であることと考えてございまして、今後の国の検討を注視してまいりたいと考えてございます。

 

◆知事(阿部守一)

 小中一貫校の拡大についての考えということでございます。

 教育長から今御答弁申し上げましたけれども、小中一貫校の設置をどうするか、これは市町村教育委員会の判断事項ということでございます。ただ、私の所感ということで申し上げさせていただきたいと思います。

 私も、施設一体型の小中一貫校、開校時に拝見をさせていただいたこともあります。長野県の場合は小規模な学校が多いという現状もある中で、少子化、人口減少化が進んでいる中で活力ある学校をつくっていくという上では一つの有効な取り組みではないかというふうに感じています。

 少子化が急速に進む中山間地域においては、異年齢の子供たちが交流して充実した教育活動を行うことができる、あるいは人間関係形成力を高めるという観点で有効ではないかというふうに思っています。ただ、一中学校区に複数の小学校があるような都市部において、この小中一貫教育、一律に進めていくということは実態としてはなかなか困難な面もあるというふうにも考えます。

 基本的な教育制度については国で検討が行われるものでありますが、中山間地域が多い本県の特性、あるいは地域の実情に応じたよりよい教育環境ができるように、これは市町村教育委員会主体ではありますが、側面からバックアップできるようなところがあれば教育委員会と一緒になって取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

 

◆続木幹夫

 ただいま知事から答弁があったわけですけれども、中1ギャップの解消については中1から中2になる段階でクラス替えをすることで大分解消されるという説もありますし、また、学力向上については、どうも、最近、全国学力テストの順位が上がったとか下がったとかそんなことばかり論議されていて、弱い立場の子供、あるいは拡大する貧困家庭の子供の学力をどう確保すべきかというようなことが置き去りにされているように思います。したがって、こうした弱い立場の子供、いじめに遭った子供のことも配慮して小中学校のあり方を考えていただくことをお願いして、次の質問に移ります。

 次に、手話言語条例について伺います。

 皆さんは、盲学校では正規の教科として点字を教えていますが、聾学校では正規の授業として手話は教えていないということを御存じでしょうか。

 改革・新風では、7月に、全国で初めて手話言語条例を制定した鳥取県に視察に行ってまいりました。そして、聾者及び手話についてその認識を大きく改めてまいりました。

 まず、聾者とは、聴覚障害者の中でも生まれつきほとんど聴覚がなく、コミュニケーションに手話を必要とする人を言いますが、対応していただいた鳥取県庁の担当者の話によりますと、手話は英語に近く、聾者が日本語を学ぶことは日本人が英語を学ぶのに等しく、特に日本語の助詞という概念を理解するのが難しいといいます。

 私の今までの認識からしますと、聾者は音は聞こえなくても文章ならば健常者と変わりなく理解できるものと思っていました。しかし、聾学校で長い間日本語を学んでいても新聞を十分に読みこなせる方は少ないということです。

 また、聾学校では正規の授業として手話を教えていない理由は、聾学校には手話を必要としない比較的軽度の聴覚障害者もいたり、また、聾者が一般社会に出たときに困らないよう、口話法、つまり口の動きで言葉を読み取るすべを極力身につけることができるように積極的には手話を教えていません。したがって、本県のろう学校でも、聾者の先生は長野ろう学校では1人、松本ろう学校で2人いるだけで、そのほかは一般の先生が片言の手話を使いながら授業を行っているということです。

 しかし、聾者の皆さんが望むことは、ここでもし手話をもっと積極的に教えていただき、授業でももっと手話を使って教えてもらえれば、より授業が理解できるようになるし、先生と生徒及び生徒同士のコミュニケーションがよりスムーズにとれるようになり、聾者の学力向上にもつながるというものであります。

 そこで、教育長に伺います。

 本県のろう学校において、教員の手話にかかわる専門性の向上や、手話を十分に使っての授業の推進を図れないものか。伺います。

 先日、視覚障害者が歩行中に暴力を振るわれたり、また盲導犬が傷つけられたりする事件がありました。このように、障害者はいまだ社会のいろいろな場面で不利益をこうむり、差別され、排除されている事実は否定できません。

 特に聴覚障害者について言えば、さきの東日本大震災において深刻な被害を受けた沿岸部30市町村の集計によれば、総人口に対する災害による死亡率は1.03%でした。しかし、聴覚障害者の死亡率は2.00%に上っていて健常者の2倍となっていました。この原因の一つが聴覚障害者には津波警報が聞こえなかったためだと考えられますが、さらに、9月の広島市の土石流災害では聴覚障害者へのファクスによる避難勧告が最大で5時間以上遅れたとの報もあります。

 そこで、健康福祉部長に伺いますが、現在、本県における聴覚障害者ほか障害者に対しての災害時などでの防災体制はどのようになっているのか。そして、今後どのように取り組んでいくのか。お聞かせください。

 2011年に障害者基本法が改正され、手話が一つの言語であると規定されました。これに伴い、全国の自治体で手話言語条例の制定の動きが出ていますが、本県においても、さきの知事選で、阿部知事は手話言語条例の制定について検討するという公約を掲げました。

 条例の制定により、聴覚障害者に対する理解の促進と手話の普及、ろう学校での手話の授業の強化、赤ちゃんのころから手話を使って育てる環境整備、手話通訳士の待遇改善等々が期待されます。

 そこで、知事におかれては、さきの議案説明でも述べられましたが、改めて、手話言語条例の制定について、その決意と、いつごろまでに制定を目指すのかお聞きして、一切の質問を終わります。

 

◆教育長(伊藤学司)

 ろう学校におきます手話教育についてのお尋ねでございます。

 平成21年3月に改訂をされました特別支援学校の学習指導要領では、それまでの言葉のみによる意思疎通から、手話もコミュニケーション手段の一つとして活用していくことが位置づけられたところでございます。

 現在、ろう学校では、学習指導要領に基づきまして、児童生徒の障害の状態に応じ、音声、文字、手話などのコミュニケーション手段を指導するとともに、各教科の授業も手話などを使いながら教えているところでございます。

 こうした教育を推進する上で教職員の手話に関する専門性の向上を図ることは大変重要であると認識をしてございまして、各学校では、手話に関する専門性の高い教員が中心となって、職員会の中で手話について毎回研修をしたり、また研修グループをつくって集中研修を行ったりするなど手話の専門性向上に取り組んでいるところでございます。

 今後、ろう学校において手話を使っての授業がより推進できるよう、研修の充実を図るとともに、手話を使える教員の配置に努めてまいりたいと考えております。

 

◆健康福祉部長(小林透)

 障害者に対します防災体制についてお答えをいたします。

 これまで、県におきましては、市町村に対しまして、障害特性に配慮しました情報伝達、それから避難誘導などを示します要援護者防災・避難マニュアルにつきまして指針をお示ししまして、その策定を要請してまいりました。本年7月の時点でございますが、59の市町村で策定しているとされているところでございます。

 また、地域住民の協力により避難誘導を行います災害時住民支え合いマップ、これにつきましては本年3月時点で59市町村で作成されたというところでございまして、また、要援護者の皆さんに配慮いたしました福祉避難所、これにつきましては、昨年6月末の時点でございますが、50市町村328カ所で指定をされているというところに至ってございます。

 また、法改正によりまして本年4月から市町村に避難行動要支援者名簿が義務づけられまして、これにつきましては全ての市町村で現在作成作業が進められているということでございますが、本年7月時点では14市町村で作成済みというところまで来ました。

 今後は、市町村それぞれ取り組みますこうした対策、こうしたものがさらに進むというように、先進事例の情報提供、それぞれの市町村の状況など、そうしたものをお知らせするなどの支援を行いまして、災害に対します避難の支援、こういうものが一人一人の障害を持つ皆さんの特性に配慮したもので、それが円滑で安全に実施されるということになるように積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 以上であります。

 

◆知事(阿部守一)

 手話言語条例についての御質問でございます。

 長野県、障害がある人もない人も、誰にでも居場所と出番がある長野県、進めているわけであります。そうした観点で、1期目の県政におきましては、一定の規模以上の県が主催する会議では手話、要約筆記をつけるという形にしました。

 いろいろな側面でのバリアフリー化が必要だというふうに感じておりますが、その中でもやっぱり一番重要なのはコミュニケーションの手段だというふうに感じています。

 本年6月に長野市で開催されました全国ろうあ者大会に出席いたしましたが、その中でも、全国の聴覚障害の方々の手話の普及あるいは理解促進に対する願いというものを強く感じたところでございます。

 本県議会でも、ことしの2月の県議会で、手話の社会的認知の向上、施策の総合的かつ計画的な推進を図るためのいわゆる手話言語法の制定を求める意見書、全会一致で可決をいただいているところでありますが、現時点では国においては制定に向けての具体的な動きはないというふうに認識をしております。

 こうした中で、御紹介いただきましたが、私も、今回の基本政策集の中に手話言語条例(仮称)の検討ということを位置づけさせていただきました。現在、関係部局の職員でワーキンググループをつくって検討に着手をいたしました。年内には課題の整理を行っていきたいというふうに思っておりますし、これは、関係の皆様方の御意見、要望も伺いながら県の施策の方向性を定めて、早期に制定を目指して精力的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

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