6月定例県議会-発言内容(続木幹夫議員)

続木幹夫

 改革・新風の続木幹夫です。順次質問いたします。

 まず、県独自の果樹収入保険制度の創設について伺います。
 4月に起きた農産物に対する大規模な凍霜害では、果樹共済の加入率が県全体で22.1%という低さが問題となっています。果樹共済にさえ入っていればある程度損害が軽減できました。
 そこで、伺います。
 なぜこれほどまでに加入率が低いのか。その理由を県としてはどのように捉えているのか。伺います。
 そして、今後、この果樹共済が真に果樹生産者のセーフティーネットとなるために、国に対して具体的にどのような改善策を要望していくのか。伺います。
 さらに、果樹共済の加入率を高めるために県としてどのような施策をしていくのか。伺います。
 また、さらに、今後、地球温暖化によって今回のような極端に不順な天候による自然災害が起こるリスクはますます高まってくると思いますが、こうした自然災害に対して、果樹共済への加入推進のほか、どのような施策をしていくのか。
 以上、農政部長に伺います。

 

◆農政部長(中村倫一)

 果樹共済に関連いたしまして三つの点についての御質問でございます。
 最初に、果樹共済の加入率が低い理由、そしてまた国への制度改善要望についてでございます。
 加入率が低い理由といたしましては、水稲や麦などの他の作物と比べまして果樹共済は掛金の割高感が非常にあるということ、そしてまた減収量が20%から30%以下の場合については共済金の支払いの対象にならないということなど制度に対する不満もございますし、このほか地域ぐるみでの加入促進の取り組みが十分でない地域がある、こういうことなどが考えられるというふうに認識をいたしております。
 県といたしましては、これらの課題を踏まえまして、果樹農家にとって魅力ある共済制度となりますように、新たな果樹農家負担を伴わない形で補償割合を拡大することや、あるいは地域ぐるみでの加入を促進するための地域加入率を考慮した掛金の軽減措置、こうしたものなどを講じることなどについて国に要請をしているところでございます。

 また、果樹共済の加入率を高める施策についてでございます。
 災害発生時の農家経営への影響を軽減するために共済制度は引き続き必要でございますので、市町村、JA、そしてまた農業共済組合などと連携をいたしまして、果樹生産者への啓発、制度内容についての丁寧な説明を行ってまいりますが、これに当たりまして地域ぐるみでの加入を進めることが効果的であるというふうに考えておりまして、加入促進のための新たな施策を9月までに検討いたしまして実施してまいりたいというふうに考えております。

 また、自然災害に対する果樹共済以外の施策についてでございますが、災害に強い産地づくりを進めますためには被害を未然に防止するための施設等の整備が重要でございます。補助事業によります防霜ファンや防風ネットの整備について、今後、市町村、農業団体と連携をいたしまして、地域としてまとまって導入が図られるように働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。

 また、異常な高温などによります果実の日焼けの防止対策、あるいは降ひょうによります被害を防止するための防ひょうネット、こうしたものなどにつきましても、モデル園などを設置をいたしまして普及に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 

続木幹夫 

 果樹共済は国が定める制度ですので、真に果樹農家のセーフティーネットとなるように国に対してその改善を要望していくしかありません。
 そこで、提案ですが、私は、本県としては、この果樹共済を補完するような県独自の制度が必要だと思います。
 一口に果樹の生産といっても、品目によって、また地域によってその生産の様態が異なりますから、もともと全国一律での制度でフォローするのは無理があるのではないでしょうか。
 例えば、愛媛県では、国の果樹共済の補完事業として、県費半額補助の温州みかん所得共済制度が平成9年までありました。この制度は、果樹園ごとの収入金額を査定するために、出荷団体による共同販売を加入の大前提として、収量変動、品質変動、価格変動の合成として10アール当たりの基準生産額を定めて、果樹園ごとに自然災害などによる収入の減少に対処するものです。
 しかしながら、この制度は平成9年に廃止され、私の調べた範囲では現時点では県独自で果樹共済制度を運用しているところは見当たらず、やはり都道府県単位でのスケールでは難しいようですが、リンゴを初めとした果樹生産は本県の主要農作物で、国の果樹共済を補完するような本県独自の果樹生産の実態に合った果樹収入保険制度ともいうべき共済制度の創設を提案いたしますが、農政部長に伺います。

 

◆農政部長(中村倫一)

 県独自の果樹収入保険制度の創設についての御提案でございます。
 果樹の共済制度は、これまで、多くの農家の皆様方の要望を受けまして、さまざまな加入方式が設けられてきた経過がございます。
 お尋ねの収入保険につきましても、実は既に災害収入共済方式といたしまして創設をされておりまして、平成7年産から運営がなされているところでございます。
 御指摘の愛媛県の温州ミカンを対象にした単独事業が平成9年に廃止をされておりますけれども、これも平成7年に国の制度化が行われたことが主な原因と受けとめているところでございます。
 こうした制度はございますけれども、この共済方式につきましても、他の共済方式と同様に、減収額が20%以下の場合については補償されませんし、樹園地ごとの増収、減収額が相殺されてしまうということなどがございまして、こうした制度上の課題がございまして本県における加入率は依然として低い状況というふうに受けとめているところでございます。
 こうした状況の要因となっております制度の改善がなされますと果樹農家の皆様方にもこうした制度の活用を図っていただけるというふうに考えているところでございまして、これらの改善を引き続き国に要請してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 

◆続木幹夫

 野菜には野菜価格安定制度がありまして、昨年の12月県会でこの制度の拡充を私が訴えました。これは共済制度ではありませんが、おかげをもって昨年の市場価格の低迷に対して多くの価格補填があり、真に野菜生産農家のセーフティーネットとして機能しています。
 私は、この野菜価格安定制度の果樹収入保険版のようなものがあればよいと思い、提案いたしました。現時点では県独自の制度は難しいということですが、さらに検討をお願いして、次の質問に移ります。

 次に、ため池の耐震診断及び耐震化について伺います。
 東日本大震災では、福島県内陸部の須賀川市にある藤沼湖が決壊して濁流が集落に押し寄せ、7人が死亡、1人が行方不明になるという災害が発生しました。その他、やはり福島県内の二つのため池も決壊し、岩手、宮城、福島の3県全体で2,000カ所の堤防が崩れたり亀裂が入ったりする被害がありました。
 農水省の試算では、震度6弱以上の地震で災害が出るおそれのあるため池は全国で140カ所あるとしています。この状況を受け、全国でため池の耐震診断事業が行われ、本県においても、昨年度、松本市の美鈴湖、塩尻市のみどり湖、沓沢湖において耐震診断調査が行われました。

 そこで、お尋ねいたします。
 県内にはこうした耐震診断調査が必要と思われるため池はどのくらいあると把握していますか。そして、こうした耐震診断調査が必要と思われるため池などに対して、今後、耐震診断調査はどのように進めていくのか。農政部長に伺います。
 中央防災会議は、東海地震がいつ発生しても不思議はないとし、発生した場合の被害想定を公表しました。これによると、本県でも南信の一部地域では最大震度6の地震が発生すると予測され、また、県内には牛伏寺断層を初め幾つもの断層が走っており、長野県内、いつ、どこで大地震が発生してもおかしくない状況にあります。
 したがって、この耐震診断調査は必要と思われる全てのため池などに対して迅速に行わなければならない事業であると思いますが、国が事業主体の調査事業であるとはいえ、この調査に県がかかわった以上、どのような調査結果が出ても県にもその責任が生じてくると思います。
 実は、昨年度調査したため池の一つである沓沢湖は、まさに私が住む集落の上にあり、30年ほど前、豪雨のときに決壊するのではないかという騒動が起きました。このため池は戦時中に突貫工事でつくられた農業用ため池であり、福島県での災害の報を聞き、地域住民はなお一層、このため池も大地震が起きれば決壊するのではないかという漠とした不安のもとに現在下流域の住民は暮らしています。そして、さらに、もしここで決壊の可能性ありという診断が出た場合、その不安は恐怖となります。
 こうした戦前、戦中に突貫工事でつくられたため池は県内に幾つもあると聞いております。
 したがって、もし耐震化の要ありという診断結果が出た場合、県は、市町村や土地改良区とともに、直ちに住民の不安を取り除く作業に入らなければならないと思いますが、県として直ちにこの住民の恐怖に対処する体制はできているのか。農政部長に伺います。
 そして、いざ改修工事という段になったとき、改修費は、通常の場合で国と県で80%、残り20%を市町村と受益者が負担することになると思いますが、例えば全面改修となると億単位の事業費になると思います。その場合、受益者の少ない中山間地では1戸当たりの負担額が相当な額になることが考えられ、中には支払えない受益者も出てくると思います。
 そこで、県によっては、こうした改修工事について、国と県で85%を負担する軽減策をとっているところもあります。本県もこうした受益者の負担について軽減策をとっていただけるのか。農政部長に伺います。

 

◆農政部長(中村倫一)

 3点のお尋ねでございます。
 最初に、ため池の耐震診断調査についてでございます。
 長野県内には1,939カ所のため池がございまして、近年に築造されたものにつきましては全て耐震性を有しておりますけれども、築造年が古く、内部の構造や耐震性の有無がわからないものが数多く存在しております。
 このため、ため池の下流の人家や公共施設等への影響が大きいというふうに考えられます堤の高さが15メートル以上、そしてまた貯水量が10万トンを超える大規模なため池から、58カ所ございますけれども、耐震性が確認されていない40カ所について、平成24年度から27年度までの計画期間といたしまして、優先的に調査を進めているところでございます。
 また、これ以外の受益面積2ヘクタール以上のため池1,195カ所につきましても、平成24年度から27年度までの計画で危険度調査を実施することとしておりまして、この中で耐震性が低いというふうに疑われるものにつきましては耐震診断調査を行ってまいることとしております。

 耐震対策の体制でございます。
 調査の結果、耐震対策が必要とされた場合、優先的かつ早急に耐震工事を行うこととしておりますけれども、改修工事のための地元調整や実施計画の策定などの準備には1年以上を要することがございます。このため、県といたしましては、ため池の管理者でございます土地改良区や市町村などと協議を行いまして、予測される浸水被害の範囲や避難情報を示しますハザードマップを作成して住民の皆様に配布するとともに、必要に応じまして、ため池本体への負荷と万が一の場合の被害を軽減するため貯水量を減らして水位を下げるなどの対策をあわせて行いまして、改修工事が完了するまでの間の住民の皆様方の安心、安全の確保、そしてまた不安の解消に努めているところでございます。
 また、地元の皆さん方の負担の軽減についてでございますが、東日本大震災を契機にいたしまして、国におきまして、ため池の耐震改修工事の地元負担軽減につながります震災対策農業水利施設整備事業が創設されております。この事業は、国と県の負担割合の目安といたしまして、大規模なため池の場合につきましては92%、小規模なため池の場合につきましては82%ということで基準が示されているものでございます。こうした耐震対策を早急に進める観点からも、こうした事業の活用についてこれから積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

 

◆続木幹夫

 皆さん、想像してみてください。あす起こるかもしれない大地震、大地震が起これば決壊するかもしれないため池の下で暮らすことを。
 先ほど農政部長のお答えの中にハザードマップという言葉がありました。ため池の直下に暮らす住民にとって余りハザードマップなど意味をなしません。なぜなら、津波の場合、一般的に、地震発生後、津波が海岸まで押し寄せるまでに数十分の猶予がありますが、ため池の決壊の場合、濁流は数分足らずで直下の集落まで押し寄せてきて、恐らく避難する時間もありません。したがって、住民の不安を取り除くには極力迅速にため池の水を干すか堤防の耐震化工事を行うしかありません。
 今後行う耐震調査において大地震が起きれば決壊のおそれありという診断結果が一つもないことを祈り、そして、もし耐震化工事の必要ありと診断されたため池については直ちに耐震化対策をしていただくことをお願いして、質問を終わります。

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