2014.11月定例県議会-発言内容(下沢順一郎議員)

 

◆下沢順一郎

 衆議院解散に伴う長野県への影響についてお聞きいたします。

 1121日に衆議院を解散した安倍首相は、成長戦略を前に進めるべきか国民の皆さんの判断を仰ぐと述べ、アベノミクスの是非を選挙で問うことといたしました。

 確かに、黒田日銀総裁との連携により、株価は政権発足時の20121226日には1万8012銭だったものが解散を決めた1118日の時点では1万7,344円6銭に上昇し、為替は政権発足時の8079銭から現在では118円前後と30円以上下落しています。

 そこで、安倍政権の2年間を日経新聞の記事で数字を見てみますと、実質国内総生産額は、政権発足時で514兆円、この7―9月期で522兆円、実質経済成長率は、対前年比で本年の4―6月期はマイナス7.3%、7―9月期はマイナス1.6%、実質個人消費は、政権発足時は307兆円、本年の7―9月期は306兆円。

 海外では、2四半期連続でGDPがマイナスとなった今回、景気は後退期に入ったと判断したという記事も出てきました。

 そこで、黒田総裁が、日銀のさらなる金融緩和、GPIFの株式配分増加、消費増税の延期というトリプルバズーカを撃ったところで解散です。

 このように見てきますと、私にはアベノミクスは実はクロダノミクスではないかと思うのですが、腰折れしたため、ここで仕切り直ししたほうが得策ではないかとした延命策解散ではないかと思います。

 知事は今回の解散の意義についてどのように判断されるのか。お聞きいたします。

 消費税率の引き上げ延期判断についてお聞きします。

 1118日に、安倍首相が、GDPの2期連続マイナスの発表を受け、201510月の消費税率引き上げを延期し、17年4月に実施すると発表しました。再延期はしない、景気判断条項は撤廃するということで、いずれにしても必ず実行するというものです。

 しかし、この時期に延期することを発表したことによって、平成27年度予算には相当な影響が出ているのではないでしょうか。その影響を受けるのは、子ども・子育て支援新制度を初め、介護施策、低年金者対策、国保への財政支援など多岐にわたると言われています。医療分野でも、国民健康保険への財政支援のため増収分から1,700億円を確保する予定だったとされています。

 知事は今回の消費税率の引き上げ延期の決定に関していかがお考えか。お聞きいたします。

 国家戦略特区申請への影響についてお聞きします。

 まち・ひと・しごと創生法案が成立したのとは対照的に、労働者派遣法案、女性活躍推進法案などは衆議院解散により廃案となりました。国家戦略特区改正法案も廃案となりましたが、提案、申請をしている長野県としてどのようにこれを捉えるのか。産業労働部長にお聞きいたします。

 また、これまで行ってきた本県からの特区に向けた提案件数と国の判断結果についてもお聞きいたします。

 

◆知事(阿部守一)

 まず、今回の衆議院解散の意義という御質問でございます。

 これは、国民に、ある意味、政権選択あるいは未来の日本をどうするかということが政治の側から投げかけられているものというふうに私は考えております。国民一人一人がみずからの期待する国づくり、どうあるべきかということをしっかり考えた上で1票を行使していかなければいけないというふうに思っております。

 また、地方行政を預かる知事の立場といたしましては、地方創生、一極集中の是正であるとか、あるいは少子化対策、こうした待ったなしの日本の中長期的な将来のための重要な課題が山積しているわけであります。そういう意味で、ぜひ各政党しっかりと政策的な論議を深めていただきたい。その上で我々国民がしっかりと判断していかなければいけないというふうに思っています。

 それから、消費税率引き上げの延期についてどう考えるかということでございます。

 これも、県財政を預かる知事の立場といたしましては、安定的な地方財源を確保するという観点で消費税率の引き上げは必要だというふうに考えております。8%から10%、これは引き上げてすぐ県の収入にはなりませんが、地方消費税ベースで平年度で約98億円というのが試算している数字でございます。こういう意味で、社会保障関係経費等が年々ふえる中で、一定の消費税率の引き上げについて必要なものというふうには考えております。

 しかしながら、税率引き上げの時期ということについてはやはり慎重に検討するべきものというふうに考えております。

 今回、再引き上げ延期という方向性が出ているわけでありますけれども、現下の経済情勢におきましてはやむを得ないものではないかというふうに考えております。

 今後、人口構造が大きく変化する中で、社会保障の安定、充実、そして財政構造の改革、これを両立をさせていただく必要があるというふうに思っております。こうした財政のあり方、地方財政も含めて、ぜひ国政の場において十分な議論をしていただきたいというふうに考えています。

 以上です。

 

◆産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 特区についてのお尋ねでございます。

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案は、去る1031日に国会に提出されましたが、衆議院解散に伴い審査未了により廃案となったところでございます。

 この法律案のうち本県に直接関係する内容といたしましては、構造改革特区の改正の中で、昨年長野県から提案いたしました通訳案内士以外の有償ガイドにかかわる規制の緩和、これが含まれております。

 この改正案は、一旦廃案とはなりましたが、今後国会に再提出される可能性もございますので、県といたしましては引き続きその動向に注視してまいりたいと考えております。

 次に、これまで長野県が行ってまいりました提案件数とそれに対する国の対応でございます。

 まず、国家戦略特区につきましては、ことし8月に3件の提案を行い、現在、国において検討が進められております。また、構造改革特区につきましては、昨年秋に12件、ことし春に9件、さらに秋に1件の計22件を提案しております。その中で、国が構造改革特区として対応するものが1件、全国的に対応するものが2件、提案の実現に向けて対応を検討するものが3件となっており、以上6件につきましては国から前向きな回答をいただいております。

 ちなみに、本県を含む全国からの187件の提案中、国から前向きな回答が得られた提案は全部で12件にとどまっております。その中で、長野県からの提案がその半分を占めております。

 県といたしましては、県内事業者の要望を伺いながら、将来の成長戦略を見据えて今後も国に対して積極的に提案を行うとともに、提案が認められた場合には速やかに特区申請を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆下沢順一郎

 知事の答弁でちょっと確認ですけれども、消費税率の引き上げ時期って、これ再度の引き上げ時期ですよね。引き上げ時期というのは慎重にしたほうがいいというのと、現下の引き上げ判断はやむを得ないということでよろしいわけですよね。

 特区の問題につきましても、県の申請が半分を占めて、判断されて、国のさまざまな方策に対してしっかり捉えていただいているということにつきましては非常にありがたいことだなというふうに思いますし、県の職員の皆さんの御努力が報われているというふうに判断させていただきたいと思います。御苦労さまでございます。

 さて、昨日、アメリカの格付会社のムーディーズが日本国債の格下げを発表しました。Aa3という21段階で上から4番目というところから、A1へと1段階引き下げたというものであります。これでオマーン、チェコなどと同じランクとなりまして、中国、韓国よりも順位を下げたというものであります。理由は、消費税率引き上げ先送りによる財政健全化目標の達成に不確実性が高まったことなどを挙げています。1,000兆円を超える債務残高を国債市場でも心配しているということであります。

 知事の御意見がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

 次に、プロスポーツへの助成についてお聞きします。

 1119日、サッカーのJリーグは、J2のリーグ戦で2位となった松本山雅FCの来季におけるJ1昇格を正式に決定いたしました。まことにおめでとうございます。山雅は長野県初のJ1クラブとなり、来季はJ1の17チームと戦うことになったわけです。1年間しっかりと戦ってほしいと思います。

 また、それを受ける形で、21日には、松本、安曇野、塩尻の各市長と山形村長が知事に対してアルウィンの施設要望書を提出しています。J1ライセンスで求められている屋根やトイレの改修、増設について、また、観客増加に備えた施設の拡張、機能向上に取り組んでいただきたいとの内容になっていましたが、要望事項にはどのように対応されるおつもりか。知事にお聞きいたします。

 また、J1チームの多くのサポーターの中でもアウエーまで足を運んでくれるファンへの対応は信州への印象と直接つながり、観光振興という点を考えても大変重要だということです。このような視点からすると、トイレの問題は案外重要なポイントとなります。現在でも試合中の休憩時にはトイレの大変長い列が見られます。当然のことながら、不満の声が聞かれます。

 ちなみに、Jリーグ基準でいくと、トイレの男性用小で22台不足、男性用大で33台不足、女性用で35台不足とされていて、県が示しているのはあくまで特例基準であり、観客数を60%とした最低の必要数なのであります。県はJリーグ基準をクリアするのが第1目標と言います。私は、特例基準で満足するのではなく、さらに一歩踏み込んでホスピタリティーという観点から検討していただくことが必要だと申し上げたいと思います。また、動線の混乱、駐車場不足が指摘されていますが、これまで以上の県外からのサポーターが訪れることが予想されます。

 これらの課題にどのように対応されるおつもりか。知事にお聞きいたします。

 

◆知事(阿部守一)

 まず、国債の格付引き下げについてであります。

 アメリカの格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債格付を従来のAa3からA1へ1段階引き下げたということが報道されております。このことについては、国においては市場の動向を注視し適正な国債管理政策を実施していくものというふうに考えております。

 県財政への影響は直ちに生じることはないというふうには思っておりますが、国債の金利等については今後しっかり注視をしていきたいというふうに考えております。

 先ほども御答弁申し上げましたが、格付会社の評価いかんにかかわらず、子供たち、孫たちの世代に過大な負担を先送りすることのないように、やはり責任ある財政運営を考えていくということが国も地方も重要ではないかというふうに思っております。

 それから、山雅への支援の関係でございます。

 まず、松本山雅J1昇格決定ということで、大変私もうれしく思っておりますし、この場をおかりしてお祝い申し上げたいというふうに思います。

 御質問にありましたが、松本市を初めとするホームタウンの4市村長から、J1ライセンスで求められている施設の拡張あるいは機能向上への取り組みについて御要望いただきました。

 これまでも照明施設やあるいは芝生の改修等について対応してきました。現在、基準を満たしておりませんのは、洋式トイレの数、それから屋根面積、この2項目であります。

 トイレにつきましては、先ほどもるるお話がありましたが、まずはシーズンの開幕までに基準をクリアしていくことを考えて対応してまいります。また、屋根の増設等につきましては、松本空港の制限区域内にアルウィンが所在しておりますので、航空機への影響を確認するため、これは9月県議会で調査費をお認めをいただいております。この調査を早急に進めてまいります。

 また、ホスピタリティーというお話もありました。今、山雅ドリームサミットということで、関係者の御意見をいろいろ聞かれているというふうに伺っております。こうしたドリームサミットで出される御意見、そうしたものを踏まえた御要望、さらには、他の利用団体、あるいはホームタウンの4市村とも十分問題意識を共有しながら取り組んでいきたいと考えております。

 また、動線の確保等のお話もございました。これは、トイレ、動線の確保、具体的な課題解決については試合の主催者である松本山雅と調整中でございます。また、ホームタウン4市村との間でも課題の共有を図っていきたいと思っております。その上で、それぞれの役割の中で協力し合って、早期に対応を考えていきたいと思っております。

 以上でございます。

 

◆下沢順一郎

 山雅ドリームサミットの意見も取り入れていただけるということであります。大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、アルウィンでは女性用トイレが109があるんですけれども、現在はたった16が洋式で、あと14を洋式に直すというものだけです。今後検討していただけるということだと思いますけれども、この際、トイレそのものの増設をするとか、女性用は全部洋式にするくらいの計画があってもしかるべきではないかなというふうに思うわけです。くどいようですが、おもてなしを標榜するのであれば、そのくらいの対応が必要だというふうに思います。たかがトイレ、されどトイレということで、よろしくお願いします。

 続いて、子供を性被害から守る条例についてお聞きいたします。

 11月補正予算案に、子供の性被害防止のためにワンストップ支援センター開設を検討する準備会議設置に41万円、条例モデル作成に向けた検討会設置に52万円、性に関する指導資料作成に25万円計上しています。

 さて、9月議会で、平成25年1月から平成26年8月までの間、性被害に遭われた事件で罪に問われなかったケースが16例あるとの回答がありました。

 そこで、お聞きいたします。

 9月の時点では代表的な一例だけの紹介でありましたが、県内で条例がなかったがために検挙できなかった事例としてさらに公表できる事例がありましたら、お示しいただきたいと思います。

 また、全国の青少年保護条例違反のうち、みだらな性行為等の検挙状況はどうであるか。また、青少年に対して被害に遭わせないようにする取り組みや、被害に遭ってしまった青少年のアフターフォロー対策について、全国的な取り組み例の代表的な施策をあわせて警察本部長にお聞きいたします。

 

◆警察本部長(山崎晃義)

 条例がなかったゆえに検挙できなかった事例や全国の青少年保護育成条例違反検挙状況等に関する御質問にお答えいたします。

 長野県において児童が性的被害に遭ったものの条例がなかったがゆえに検挙できなかった事例は、平成25年1月から平成2610月末までの間に16件を確認しております。

 行為者の多くは、ゲームサイトやコミュニティーサイトで被害児童と知り合い、性的行為に及んでいたものでございます。一例を申し上げますと、県内の妻子ある40歳代の男がLINEで知り合った15歳の女子中学生を言葉巧みに誘い出して性行為をしたもの、長野県外の40歳代の男が知人の娘である17歳の女子高校生をしつこく食事に誘い出し、性行為をしたものなどであります。

 これらは、保護者等の家族から警察に連絡があり、適用可能な法令を検討したものの、いずれの事案も、金銭などのやりとりがなく、暴行、脅迫の事実もないことから既存の法令を適用できず、行為者に対しては道徳的観点からの指導、説諭にとめざるを得なかったものもあります。

 また、長野県外の30歳代の男がコミュニティーサイトで知り合った長野県内の16歳の女子高校生を神奈川県内で淫行した事案では、神奈川県の青少年保護育成条例を適用して県警でこの男を検挙した事例もあります。

 心ない大人から未熟な子供たちを性被害から守るためには、県民運動と相まって、これらの大人を取り締まることも極めて重要であると認識しております。

 全国の青少年保護育成条例違反のうち、みだらな性行為等の検挙人員は、平成25年中は1,067人で前年比プラスの102人、プラス10.6%、本年10月末現在は919人で前年同期比ではプラス16人、プラス1.8%と増加しております。

 青少年を性被害から守る取り組みですが、警察では、学校、教育委員会、少年警察ボランティア協会等の関係機関・団体と連携し、教育現場での非行防止教室や保護者に対する広報・啓発活動などのほか、少年が有害情報に触れないようフィルタリングの普及を促進するとともに、インターネットを利用して援助交際などを求めた児童に直接指導するサイバー補導を推進しております。

 また、被害に遭ってしまった後のフォローアップ施策につきましては、精神的に不安定になった被害児童や再被害のおそれが高い児童及びその保護者に対し、警察職員が定期的な面接や電話による指導助言等のカウンセリングを実施しております。

 

◆下沢順一郎

 ただいま、本部長から、犯罪は増加傾向にあるというようなこと、それから、既存の法律が適用できずに、条例がなかったために検挙できなかった事例、2例御紹介いただいたわけですが、このように泣き寝入りしている被害児童が現に存在する現状についてどのように考えるのか。また、このような被害児童をどのように守っていかなければならないと考えるのか。知事にお聞きしたいと思います。

 また、被害に遭ってしまった児童生徒から学校に相談があった場合には十分なアフターフォロー体制がとれるのでしょうか。教育長にお聞きいたします。

 

◆知事(阿部守一)

 子供の性被害についての御質問でございます。

 性被害に遭い、悩み、そして精神的に傷ついている子供たちが存在しているという現実をしっかりと受けとめ、具体的な行動をしていくことが必要だというふうに感じています。

 先月も、子供の性被害の支援等に関係する皆様方と意見交換をさせていただきました。現場での事例のお話を伺う中で、子供の性被害の深刻さ、対策の必要性を痛感したところでございます。

 今般、県として決定いたしました「子どもを性被害から守るための取組み」に基づきまして、しっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。まず早急に子供の性被害防止、そして被害者支援に取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

 

◆教育長(伊藤学司)

 学校に相談があった場合のアフターフォローの体制についてのお尋ねでございます。

 被害に遭ってしまった児童生徒から学校に相談があった場合には、相談を受けた教職員のみで対応するのではなく、管理職の指導のもと、学級担任、養護教諭、学校医、スクールカウンセラーなどによる支援チームを組織し、警察や児童相談所、医療機関等の専門機関と連携し対応することとしてございます。

 学校が被害者へのケアに当たる場合には、臨床心理士など専門家からアドバイスを受けながら、教職員がなすべきこと、専門機関に委ねることを明確にし、被害に遭った児童生徒の心のケアを最優先に対応するとともに、2次被害の防止を図ることに努めているところでございます。

 県教育委員会といたしましては、性被害に関する基本的な対応を学ぶための教職員研修を実施していくとともに、スクールカウンセラーなどの専門家による支援体制の充実を図り、学校における組織的な対応力の向上に努めてまいりたいと考えております。

 

◆下沢順一郎

 性被害から子供を守り、性被害を抑え、子供を食い物にするという悪質な大人を処罰するためには早急に条例を制定する必要があるのではないかと思います。

 先ほど知事から早速被害者支援に取り組むというお話がありましたが、弁護士会は淫行処罰規定のある条例に反対しておりますが、知事としてはこれは一体何が隘路だと捉えているのか。お聞きします。

 

◆知事(阿部守一)

 子供を性被害から防止するための処罰規定についてどう考えるかと。

 これは、御質問いただきましたように、弁護士会からは淫行処罰条例の制定に反対する意見書というのをいただいています。その中で、新たに淫行処罰条例を設けるべきでないことというふうにして幾つか書かれていますが、例えば立法事実が十分ではないと。立法事実とここで言っているのは、その前提条件が本当にあるのかないのかということですね。先ほど県警本部長から実態の一端をお話申し上げましたけれども、そういう部分、一般事実の存在が必要だということであります。

 弁護士会としては、どのような性被害事案がどの程度発生しているのか、そのうちどのような事案について刑罰で規制する必要があるのか、そのような事案は現行の刑罰法規で対応できないのか、そのような事案の規制に淫行処罰規定が有効なのか、ほかにより有効な手段、より緩やかな手段はないのか、淫行処罰規定を設けることによる弊害はないのか、あるとすればどのようなものかなどを緻密に分析、検討しなくてはならない、そういうことが書かれています。あと、そもそも、淫行処罰規定自体、例えば構成要件の明確性等の問題で重大な問題があるのではないかといったような御指摘をいただいているところであります。

 10月にこの問題で県政タウンミーティングを開いたときにも私も感じたのですが、一般論として県民運動で頑張ってきたから今までどおりでいいんじゃないかというような感覚の御意見もあれば、必ずしもそうではない意見、さまざま賛成反対の立場から御議論があるんですが、私の感覚とすれば十分な議論がまだ尽くされているとは言いがたいのではないかと。今の弁護士会の例えば例を引いてみても、具体的なケースであるとか、あるいは刑罰法規の内容であるとか、そういうことについてしっかり議論をしていかなければいけないのではないかというふうに思っております。

 そういう意味で今後さらに検討していこうと考えておりますが、今回、私どもがまとめました「県の取組み」の中にも記載しておりますけれども、例えば条例といったときに、私は包括的、網羅的な青少年健全育成条例はつくらないということをたびたび申し上げていますが、しかしながら、まだほかの県と同じような条例をつくるというふうに思われている方も中にはいらっしゃるかと思いますので、条例のイメージが県民の皆様の間でもさまざままだあると。それから、先ほど県警本部長から答弁していただきましたけれども、子供の性被害の現状とか実態、こうしたものが必ずしも十分共有されていない、認識が同一になっていない、そういう部分が議員のお言葉をかりれば隘路になっているのではないかというふうに考えております。

 以上です。

 

◆下沢順一郎

 実態の共有ができていないということですが、平成25年7月に県の教育委員会が行った携帯電話とインターネットについてのアンケートの中では、メールを利用している中高生の約1割が実際に会ったことのない人とメールのやりとりをしており、そのうち会ったことがない相手と会ってもいいと思っている生徒は中学生29.6%、高校生48.4%です。また、その中で実際に会ったことがある生徒は中学生1.6%、高校生5.9%であります。このような数字にあらわれている子供たちは性被害に遭う危険性が極めて高いと言えるのではないでしょうか。

 そこで、アンケート結果をどのように生かしていくおつもりがあるのか。知事にお聞きします。

 

◆知事(阿部守一)

 携帯電話とインターネットについてのアンケート結果の活用という御質問でございます。

 御指摘にもありましたように、例えば興味本位あるいは寂しさ、そうした子供たちの思いから携帯メールをやりとりした相手と安易に会ってもよいという回答をした児童生徒の割合が高いという調査結果については、これは性被害につながることも十分考えられます。大きな問題だというふうに考えております。

 先般、県議会の皆様方にもさまざま御議論をいただく中で、未来を担う子どもの支援に関する条例、制定させていただきましたが、そこの前文でも、「自らを大切に思う気持ちを持って自分らしく成長していくことができるよう、大人は、子どもの力を信じ、支えていく必要がある。」というふうにうたっているところでありまして、まさに子供の自己肯定感を高め、みずから考え判断する力を育んでいくということが大きな方向性としては重要だというふうに考えております。

 具体的には、例えば近日中に携帯電話事業者と協定を締結していきたいと思っております。インターネットの適正利用の促進を目的として、児童生徒等を対象とした情報教育の実施に協力してもらいたいと考えております。

 また、青少年育成県民会議が保護者等を対象に開催いたしますセイフネット講座、あるいは県の教育委員会が計画しております子どもの性被害防止教育キャラバン隊を県立高校へ派遣することなどによりまして、インターネットが性被害につながる危険性があることを広く注意喚起をして性被害の予防につなげていきたいと考えております。

 以上です。

 

◆下沢順一郎

 専門委員会や県民会議では、先ほどのようなアンケート結果、そしてその現状などを踏まえて、条例は必要であるとの結論を出しています。にもかかわらず、知事は、広く県民的議論を深めることが重要、それから条例のイメージがさまざまある、十分な議論が深まったとは言えないというようなことを述べられて、その判断を引き延ばしていると言えます。国会では牛歩戦術というのを聞いたことがありますが、御自分の公約に関してこのような戦術をとられるという意図は高度な政治的な判断によるものでしょうか。

 再度、早期に条例を制定すべきではないかと考えるものですが、知事のお考えをお聞きして私の質問といたします。ありがとうございました。

 

◆知事(阿部守一)

 お答えします。

 まず、今回の条例制定の是非、これは決して引き延ばし戦術などというそんなことを考えているわけではありません。

 先ほどから申し上げているように、例えば県議会の中の皆さんの御意見が本当に一致しているのか、あるいは皆さんが共通した認識をお持ちなのかと。そうではないと私は思っています。

 そういう意味で、私は、丁寧にこの議論をしっかりと行っていくことが必要だというふうに考えておりまして、決していたずらに時間をかけて単に引き延ばすということを考えているわけではありません。

 先ほど申し上げましたように、県民的な議論をしっかり行っていかなければいけないと思いますし、また、その議論を深めていく上でも、性被害の実態であるとか性の現状、こうしたものを私どもがしっかり把握する中で県民の皆様方に御提示をしていかなければいけないというふうに思っています。

 また、先ほど弁護士会からの御意見も御紹介しました。弁護士会も、こうなのか、ああなのかということを指摘いただいているところでありまして、そうしたものに私はしっかり向き合って対応していかなければいけないというふうに思います。

 そういう意味で、専門家によります十分な検討を行って、判断材料としての条例をモデルとしてお示しする、それを今回県議会の予算の中でもお願いをさせていただいているところでございます。

 こうしたプロセスを踏んだ上で、最終的に条例制定の是非を判断していこうというふうに考えております。

 何よりも子供たちにしっかり寄り添うと同時に、どういう対応が必要なのかと。県民運動で長い間取り組んできた長野県のこれまでの取り組みということもしっかり踏まえながら、未来に向けてどうあるべきかということをぜひ県議会の皆様方と一緒になって考えていきたいというふうに思っております。

 以上です。

 

カテゴリ

アーカイブ