2015.2月定例県議会-発言内容(甕裕一議員)

 

◆甕 裕一

 地方創生の戦略づくりについて質問いたします。

 今定例会開会日の知事の議案説明の際の地方創生の戦略づくりの部分では、今後の人口減少の見通しについて言及し、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略で結んでいます。また、昨年10月と本年1月に国に提出された地方創生に係る提案書では、前書きの部分で地方の人口流出と少子・高齢化について強調され、地方に仕事をつくる、地方への人の流れをつくるなど地方が直面している幅広い課題に及んで国に提案しています。

 そこで、まず基本的な認識としてお尋ねしますが、県として、地方創生とは、さまざまな課題はありますが、人口減少問題が基本という認識でよいのでしょうか。企画振興部長にお尋ねいたします。

 地方創生に係る提案書は、昨年10月22日に知事名で石破地方創生担当大臣宛てに、本年1月8日に、知事、県市長会会長、県町村会会長の連名で担当大臣と県選出国会議員宛てに提出されたと聞いております。この二つの提案書は内容的にはほぼ同じであり、10月に提出した提案書を1月のものが踏襲している形でありますが、1月の提案書では地方分権に関する項目が2項目追加されており、また、提案書とともに、地方創生に係る県の事業例、地方創生に係る市町村の想定事業例が添付資料として提出されたと聞いております。

 この事業例は、クラウドファンディングの活用や芸術家の育成など、一見、地方の人口減少問題と無関係なものも含まれているように思えますが、クラウドファンディングは仕事をつくり、芸術家の育成はクリエーティブな人材を育て地方への人の流れをつくるもので、広い意味での人口減少対策であると私は理解しました。

 このほか、県の各部局や市町村からさまざまな要望が上がったようでありますが、事業例を国に対して提案書にまとめる過程で、地方税財源の充実強化や権限移譲、規制緩和等の地方分権に関する議論、また市町村からの要望の位置づけなどはどのように議論が行われてきたのでしょうか。その経緯について企画振興部長にお尋ねいたします。

 総合戦略の策定に当たっては若い世代の意見を反映させたいと議案説明の際に知事はおっしゃいました。若い世代とは、具体的に、どの年代に対して、またどの職層に対してどのような方法で意見募集を行うお考えでしょうか。

 また、今回に限らず、さまざまな計画や戦略等をつくったとしても県民に余り知られていないのが県政運営の実情であります。もちろん、我々議員の情報発信の努力不足もあるかとは思いますが、戦略の策定から実施に至るまで県民にどのように周知を図っていくお考えなのか。企画振興部長にお尋ねいたします。

 長野県人口定着・確かな暮らし実現会議の構成団体は、県、市長会、町村会を初め、産業関係、農業団体、労働団体の体制で組まれていますが、医療、福祉、教育関係や建設関係の団体が入っていません。医療・福祉関係者や建設業界の要望はどのように反映されているのでしょうか。企画振興部長にお尋ねいたします。

 長野県人口定着・確かな暮らし実現会議の第1回の会議の中で参考資料として使われた「長野県の人口の現状」という資料の中で、毎月人口移動調査の長野県の人口増減のグラフが示されています。そのグラフを見ますと、中央道が駒ヶ根から中津川まで開通した昭和50年、中央道の岡谷ジャンクションから岡谷インターまでが開通した昭和61年、上信越道が小諸から更埴まで開通した平成8年、そして、長野五輪開催の平成10年には、いずれも長野県の人口は大きく減少しており、一方で、東日本大震災が発生した平成23年は被災者の受け入れ等で若干ふえています。もちろん、人口増減の理由はそれだけではないと思いますが、過去の傾向を見ますとインフラ整備や自然災害が人口増減に大きく影響を受けているように思われます。

本年は、北陸新幹線が金沢まで延伸され、また前年に県内各地で多くの自然災害が発生しており、過去の傾向からしますと急激な人口の落ち込みが懸念されるということも想定されるのではないかと思います。人口減少対策にはなかなか特効薬はありませんが、何らかの対策を早急に講じる必要があるかと思われますが、現状はいかがでしょうか。企画振興部長に伺います。 また、ことしは5年に一度の国勢調査の年でもあります。東日本大震災発生後の初めての国勢調査であり、人と物の流れがどう変化しているのか注目されていると思います。予測と異なる結果が出た場合、総合戦略に与える影響はあるのでしょうか。 以上、企画振興部長にお尋ねいたします。

地方創生のフロントランナーとなるべく全庁を挙げて取り組むと今定例会の議案説明で知事が御決意を表明されたことにつきましては、先日の代表質問から数日来議論が重ねられてきており、長野県の特徴を生かして五つの基本的視点に取り組むものと理解しております。ただ、先日の日経新聞の記事にもありましたが、全国の自治体の約9割が地方創生を背景に予算を増額していると言われています。全国のほとんどの自治体が地方創生関連の予算を増額しているという中で、本県があえてフロントランナーとなるためにはどのような努力をしているのでしょうか。その点は知事にお尋ねいたします。
 
 
◆企画振興部長(原山隆一)
 
 地方創生の戦略づくりにつきまして質問をいただきました。

 まず、地方創生は人口減少問題への対応を基本認識とするのかというお尋ねでございます。 地方創生は、我が国が直面する人口減少問題を真正面から捉えて、人口の減少に歯どめをかけ、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保する取り組みというふうに認識しております。 このため、さきに公表いたしました「人口定着・確かな暮らしの実現に向けた施策展開の方向性(中間取りまとめ)」では、まず、人口の自然減を抑制する「みんなで支える子育て安心戦略」、人口を社会増に転換させる「未来を担う人材定着戦略」、そして、本県で子供を産み育て住み続けるための仕事と収入を確保する「経済自立戦略」、最後に、人口減少下においても活力ある地域社会を維持するための「確かな暮らし実現戦略」、この四つに取り組んでいくこととしているところでございます。

 続いて、国への提案に関する経緯についてのお尋ねでございました。 国がまち・ひと・しごと創生本部を9月に立ち上げたことから、本県としてはいち早く考えを国に示すことが大事だというふうに考えまして、10月22日に知事が石破地方創生担当大臣と直接お会いして提案をさせていただきました。その後、11月に開催いたしました県と市町村との協議の場におきまして、国への提案を含め、県と市町村が力を合わせて地方創生に取り組むという確認をしたことを受けまして、1月8日に県と市長会、町村会で共同提案を行ったところであります。 協議の場におきまして、地方創生を考える上では地方分権の推進が不可欠だという御意見を頂戴いたしましたことから、1月の提案では地方分権に関する項目を追加したところであります。また、その際、地方創生に係る事業例をあわせて説明させていただきましたけれども、これは、県、市町村ともに独自の取り組みを始めていることを具体的に御理解いただくという趣旨で行ったものでございます。

 三つ目でございますけれども、総合戦略の策定における県民意見の反映についてでございます。 地方創生の取り組みは10年、20年先の地域の姿にかかわることでありますので、若者の意見を反映させていくことが特に重要だというふうに考えております。このため、2月12日には、「若者とともに進める信州創生」をテーマに県政タウンミーティングを開催しまして、20歳代、30歳代の若者と知事が議論を行いました。今後、中高生や大学生にも対象を広げて意見交換を行うとともに、テーマによっては女性に絞った意見交換も行ってまいりたいと思っております。 また、今後、総合戦略の策定を本格化させていく中で、施策を固める前に将来展望やそれに向けた施策展開をわかりやすくホームページやパンフレットでお示ししながら、各種会議での意見交換やパブリックコメントを実施し幅広く県民から意見をお聞きする予定にしております。 総合戦略の策定段階から実施までわかりやすい情報発信に努めるとともに、県民の皆様と目標を共有できるような双方向での意見交換の機会を設けてまいりたいというふうに考えております。

 次に、医療、福祉、教育、あるいは建設分野の要望反映についてのお尋ねでございます。 地方創生の取り組みは、医療、福祉、教育、あるいは建設に限らず、さまざまな分野に及びます。全ての関係団体に長野県人口定着・確かな暮らし実現会議に参画していただくことは困難でございますことから、産官学労の代表的な団体に参画していただいております。 このため、お尋ねにありました医療、福祉等々の分野なども含めまして、部局長などが中心となって関係団体と意見交換を行いながら、意見を的確に把握し、施策構築に反映させてまいります。 また、住民に最も身近な基礎的自治体であります市町村におきましても、そういった分野におきましてさまざまな御意見を把握しているということでございますので、県と市町村との協議の場や地域戦略会議等で市町村との意見交換も十分に行いまして総合戦略に反映させてまいりたいと思っております。

 それから、北陸新幹線延伸あるいは自然災害、そういった事象にあわせた人口減少対策についてというお尋ねでございます。 人口の社会減につきましては、御指摘の高速交通網整備によって大都市圏と結ばれた影響、あるいは自然災害といった点もあろうかと思いますが、その時々の景気動向、長期的な東京圏への人口集中傾向などが複雑に絡み合ったものであろうというふうに考えております。 北陸新幹線の延伸につきましては、これを好機として生かすべく、市町村や経済界と連携した観光誘客や企業交流の促進、首都圏等での集中的な観光プロモーションなどに取り組んでいきますし、また、防災対策につきましても重点的に取り組んでいくこととしております。さらに、総合戦略の策定に先駆けまして、当面の対策を平成27年度予算案に計上したところであります。 こうした取り組みを着実に実施するとともに、さらに本格的な総合戦略を策定し、人口定着と確かな暮らしの実現に向けて腰を据えて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、最後に、国勢調査結果の人口推計への影響についてでございますが、総合戦略では、人口の将来展望を明らかにして、これを前提として施策を構築することとしておりますが、人口の将来展望は、直近の人口動向をもとに、今後の出生、移動等の前提を置いて推計を行うということとしておりますので、平成27年の国勢調査の結果によって中長期的な見通しが大きく変動することはないんではないかというふうに考えております。このため、現時点では、平成27年国勢調査人口の結果によって「施策展開の方向性」を見直すことは現時点では想定をしていないということでございます。
 以上です。 

 
◆知事(阿部守一)
 
 地方創生のフロントランナーとなるための努力、どんなことをしているのかという御質問でございます。

 地方創生、御指摘のとおり、各都道府県、市町村、用意ドンで取り組みを始めているわけでありますけれども、ただ、この視点は別に全く新しいわけでは必ずしもないわけでありまして、私どもが今進めております、しあわせ信州創造プランの中でも、活動人口増加プロジェクトであるとか、さまざま地方創生の動きに関連したことを既に着手して実行してきております。  今後、他の地域と競っていく上では、これまで我々が取り組んできたものをもう一回点検してしっかりと徹底的に実行していくということがまず重要だと思いますし、それとあわせて、新しい視点に立ってさまざまな知恵を出し、県内全体の英知を結集して、そして関係する皆さんと力を合わせていくということが重要だというふうに思っています。

 そういう観点で、私ども、人口定着・確かな暮らし実現会議、昨年9月の段階で、極めて早い段階で立ち上げさせていただいておりますが、他の県は庁内組織にとどまっているというところも多い中で、産業界、労働界、市町村、関係の皆様方の参画を得てスタートしています。

 私は、この実現会議、単なる県の審議会とか委員会とは違うわけでありまして、ぜひ皆さんからどんどん御意見いただきたい、そして、一緒になって実現に向けて行動していただきたいというお話をさせていただいております。そういう意味で、県内の英知を結集して力を合わせていくという努力をスタートさせています。

 また、市町村との関係は、同じ地方公共団体ということでパートナーであり、同じ方向を向いて取り組んでいく必要があるわけであります。そういう意味で、昨年12月25日の段階で子育て支援戦略を取りまとめたわけでありますけれども、これは市町村と共同して取り組んでいく一つの大きなモデルになり得るものというふうに思っています。今後も市町村と力を合わせていきたいと思いますし、既にその具体的な取り組みを本県では行ってきているところであります。

 それから、もう1点、国との関係も極めて重要であります。交付金事業の活用を含めて、国との関係の中で地方創生の取り組みを進めていかなければいけない部分がさまざまあります。そういう観点で、まち・ひと・しごと創生本部、国が設置して間もなく、石破茂地方創生担当大臣、直接お伺いして大臣のお考えを直接把握をすると同時に、私ども長野県の考え方ということもお話をさせていただいて、政府の考え方にも地方の声というものも取り入れていただくようにしているところであります。

 今後とも、今申し上げましたような県内のさまざまな組織、団体、そして市町村、さらには国としっかり連携を図りながら、全ての英知を結集して徹底的な実行を行っていく、そういうことで、地方創生のほかの県に負けない政策づくり、そして具体的な成果というものにつなげていきたいというふうに考えています。以上です。 
 
 
◆甕 裕一
 
 それぞれ御答弁いただきました。

 先日公表されました「人口定着・確かな暮らしの実現に向けた施策展開の方向性(中間取りまとめ)」、この中で、「多様な主体と協働した策定・実行」というふうにありますので、今後は数値目標を設定してPDCAサイクルで回すということですので、県民全体で共有できるようにぜひともわかりやすくお示しいただきたいというふうに思います。

 次に、相続税の基礎控除額の引き下げについて質問いたします。

 相続税は国税でありますが、納税者にとっては国税、地方税に関係なく税負担がふえることは切実な問題であります。

 本年1月より相続税の基礎控除額が引き下げられました。昨年までは5,000万円プラス法定相続人1人当たり1,000万円だった基礎控除額が、3,000万円プラス法定相続人1人当たり600万円に引き下げられて、首都圏の一部では課税対象世帯が倍増するとも言われています。

 首都圏とは評価額の違い等もありますが、課税対象世帯は一定程度ふえ、持ち家の比率も高く農地も多い本県においては、空き家や耕作放棄地の相続や事業承継等で負担のふえる県民も一定程度発生するものと思われます。また、長寿県の本県ならではの課題も見えてくるのではないかと思います。

 相続財産は不動産に限らず人それぞれであり、個人の金融資産等はプライバシーの問題等もありますのでなかなか情報を把握することも困難だとは思いますが、今回の基礎控除額の引き下げがどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。

 生前贈与や相続時精算課税、子や孫への教育資金の一括贈与などの情報は一般に余り知られていないため、相続、贈与対策のメリット、デメリットを県民に広く周知する必要があると思われますが、いかがでしょうか。太田副知事にお尋ねいたします。 
 
 
◆副知事(太田寛)
 
 相続税基礎控除額の引き下げによる影響、あるいはそれらの県民への周知についてのお尋ねでございます。

 格差の固定化を防止する等の観点ということで、ことしの1月1日から国税であります相続税の基礎控除額の引き下げ等がなされたところでございます。これによりまして、相続税の課税対象者は全国レベルの予測では現行の4.2%程度から6%程度に増加するのではないかとの試算が行われております。

 これにつきましては、特に地価の高い都市部ほどその影響は大きいとされているところでございます。 本県においてどの程度例えば課税対象世帯がふえるのか定量的に試算することは困難ではございますけれども、格差是正に資する一定の効果があるものとは思われます。 一方で、個人の居住や事業の継続に影響する面があること、これも事実でございまして、国税であります相続税、贈与税のさまざまな制度につきましても、県税、国税、市町村税の3税協力という立場で、例えば地方事務所の窓口に国税庁のパンフレットを配置する等、可能な範囲で周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。 
 
 
◆甕裕一
 
 3税協力ということであります。私は、個人的に、基礎控除が下がった分、相続時精算課税を選択しても110万円の非課税の贈与等の組み合わせができるようにとか、そんな改正があってもいいんではないかと思いますが、国税といえども県民の生活に影響を及ぼすようなものには提言していっていただきたいということをお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

 

 

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