2014.9月定例県議会-発言内容(石和大議員)

 

◆石和大

 おはようございます。それでは質問いたします。

 長野県における特別支援教育推進の基本的な考え方として、長野県特別支援教育推進計画に示されている中で、障害のある幼児、児童生徒の自立や社会参加に向けてとして、幼稚園から高等学校、通常学級から特別支援学級までを一つの教育体制と捉え、持てる力を最大限に伸ばすために最も必要な教育を受けられるようにする。その教育はできる限り身近な地域で実現され、全ての子供がともに学び、ともに育つことができる教育を目指す。そのために、特定な場所のみで行う教育、ライフステージや分野ごとの縦割りの支援でなく、学校や地域が持つ力をさらに高めながら、一人一人の子供を理解し、学校全体、地域全体の多様な力を生かして育てる教育を目指すとしています。これをインクルーシブ教育システムとしています。

 すばらしい理念です。このとおりの教育システムが十分に機能すれば言うことはありません。

 しかし、取り組みはまだ緒についたばかりです。特別支援を必要とする児童生徒と保護者は少なからず不安を抱えています。特に、特別支援の制度がある義務教育から制度がない高校への進学時に大きな不安があるわけです。進路選択において持てる力を最大限に伸ばすために最も必要な教育をいかに選ぶかという課題です。

 そんな課題について順次質問をしていきます。

 中学校の特別支援学級数、在籍生徒数は、ここ10年、毎年ふえています。特に自閉症、情緒障害といった発達障害の生徒は10年前の3倍になっています。要因と対応はどのようなものか。

 また、他県に比べて特別支援学級が多いとされていますが、理由と目指す方向はどのようなものか。

 前述した長野県が目指すインクルーシブ教育の理念からすると、それに合っていない、むしろ分離した教育体制ということに現状はなっているということなのか。

 そして、これらを判断する市町村単位の就学相談委員会に県がしっかりと指導し、長野県としての目指す方向性を明確にすべきではありませんか。お聞きをいたします。

 さらに、小学校には通級指導教室が少ないながらも設置されていて適切な指導を得られている児童もいるわけですが、中学校にはそういった体制がありません。それが中学段階では特別支援学級での対応ということにつながっているのではないか。また、ケースによって特別支援学級から発達状況によって通常学級に移行するということが少ないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お聞きをいたします。

 次に、特別な支援が必要な中学生が高校進学を望む場合、中学までのような支援を得られないと思っていて生徒と親は不安を抱えていますが、現状と配慮等、取り組みはどのようなものか。お聞きをいたします。

 また、このような生徒や保護者の不安は情報量の不足によることも大きいというふうに思われます。支援策を初め、制度等も知らずに不安を感じていることも少なくないと感じます。特別な支援を必要とする子供たちには継続的な支援が必要であると感じています。

 中学校から高等学校へ進学していく生徒の支援の引き継ぎや保護者への情報提供はどのように行っているのか。情報をしっかりと得られないという状況を改善するにはどうしたらよいと考えるか。

 以上、教育長にお聞きをいたします。

 

◆教育長(伊藤学司)

 特別支援教育の推進についてのお尋ねでございます。

 まず、発達障害のある生徒が増加している要因と対応についてでございますが、障害のある児童生徒自体がふえてきているのかどうかということについては医学的にも必ずしも明らかにされているわけではございませんが、発達障害の診断のある生徒は全国的にも増加しており、その要因といたしましては、発達障害に対する社会全体の知識、理解が普及してきたこと、また、発達障害児の早期発見、早期療育の受け入れ態勢が整備をされて早期から医療機関等で診断を受けるケースがふえたことなどが考えられるところでございます。

 教育委員会としては、そのような自閉症・情緒障害特別支援学級を設置をするとともに、支援を必要とする児童生徒の教育的ニーズに適切に対応できるよう、研修の充実などにより教員の専門性の向上に努めているところでございます。

 次に、他県と比べて特別支援学級が多い理由と目指す方向についてのお尋ねでございます。

 それぞれ各県、それぞれの事情が異なりますので一概には申し上げられませんが、本県が他県と比べて多い要因といたしましては、御指摘のように通級指導教室の設置が比較的おくれていたため、これまで障害の程度に応じた支援体制が十分整っていなかったこと、また、入級判断の基準が市町村間で必ずしもそろっていないために特別支援学級への入級判断が多くなったという自治体もあること、さらに、一度入級したらそのままで、成長に応じて就学の見直しが十分に図られずに通常の学級に移行することが少ないことなどが、その要因として考えられるところでございます。

 特別な支援を必要とする児童生徒が、通常の学級を基盤に、教育的ニーズに応じた適切な支援が受けられる連続的で多様な教育体制の構築というものを本県特別支援教育として目指していきたいというふうに考えてございますので、こうした課題も踏まえながら対応していきたいというふうに思ってございます。

 次に、本県の現状がインクルーシブ教育の理念に合っていないのではないかというお尋ねでございます。

 特別支援学級に在籍する児童生徒が多いという一事をもってインクルーシブ教育の理念に反しているとまでは考えてございませんが、今申し上げましたように通級指導教室の設置がおくれていたなど、通常学級を基盤にした連続的で多様な教育体制が十分整っていなかったことによって特別支援学級の在籍児が他県より多いと、こういうような状況につながってきているというふうに受けとめてございます。

 さらに、市町村就学相談委員会への県からの働きかけについてのお尋ねでございますが、市町村就学相談委員会が、一人一人の障害や教育的ニーズに応じ、適切な就学判断と児童生徒の状況に応じた柔軟な見直しが行えるようにすることは大変大切であるというふうに考えてございます。一方、本県は小規模の自治体も多く、それぞれの市町村においては必ずしも十分な専門性が確保できているとは言えない状況にあるのも事実でございます。

 このため、県といたしましては、市町村の就学相談委員会の専門性の向上に向けまして、就学相談に役立つハンドブックを作成するとともに、県が配置している特別支援教育推進員によります巡回支援、助言や、市町村就学相談担当者の研修の充実などに取り組んでいるところでございまして、引き続きこうした取り組みの充実を図ってまいりたいと考えてございます。

 次に、中学校に通級指導教室がないことが中学校の特別支援学級増や通常学級への移行が少ないことにつながっているのではないかというお尋ねでございます。

 御指摘のとおり、発達障害に対応する通級指導教室は県下の小学校18校に設置してございますが、中学校には未設置でございます。このことが、小学校と比べ、中学校のほうが自閉症・情緒障害特別支援学級の在籍率が高くなっていることの要因の一つになっているのではないかというふうに考えてございます。

 また、特別支援学級から通常の学級へ移行する際には通級指導教室を利用することが円滑な移行に有効であると考えられますが、本県では今申しましたように通級指導教室の設置が必ずしも十分でなかったことがスムーズな移行ができていない要因になっているのではないかと考えてございます。

 次に、高等学校におきます特別支援の現状と取り組みについてのお尋ねでございます。

 近年、高等学校におきましても、発達障害のある生徒を含め特別な支援が必要な生徒が年々増加をしてございます。各高等学校におきましては、このような状況を踏まえ、特別支援教育の中心的な役割を担う教諭を特別支援教育コーディネーターに位置づけ、専門的知識の習得など資質の向上を図るとともに、校内支援体制の充実、関係機関との連携等に努めているところでございます。

 さらに、県独自に特別支援教育に係る研究校を指定をいたしまして、専門性を有する支援員を派遣することによって先進的な特別支援教育のあり方に関する研究を行うなど、高等学校におきます特別支援教育に関する教育力の向上に努めているところでございます。

 次に、高等学校への支援の引き継ぎや情報提供についてのお尋ねでございます。

 中学校から高等学校への進学に当たりましては、その円滑な移行を目指して特別な支援を必要とする生徒の支援情報を中学校から高等学校へ適切に引き継ぐために、入学前後に中学校と高等学校の連絡会を開催したり、また関係者による引き継ぎを行うなど生徒情報の交換や支援状況の確認を行い、高等学校における支援の継続性を図っているところでございます。

 また、中学校段階におけます保護者への情報提供といたしましては、進学が迫った中学3年生からではなく、できる限り早期の段階から中学校を通じ高等学校から得た情報を提供していくとともに、各高等学校においては、生徒や保護者が実際に入学前に高等学校を見学し、入学後の生活等について相談できる体制を整えているところでございます。

 障害のある子供ごとに必要となる情報は異なるために一律に情報を提供することは難しい面もございますが、今後、生徒本人や保護者が求める情報を適切かつ十分に提供できるよう中学校と高等学校の連携を一層強化し、各高等学校の特別支援教育コーディネーターが中心となって教育相談に丁寧に対応できるよう各高等学校を指導してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

 

◆石和大

 長野県の高校は特別支援を必要な生徒に対してできる限り寄り添う取り組みをしているということに敬意を表します。しかし、支援が届いていない子供たちがいる可能性は常にあるという認識が必要です。さらには、情報のある程度の一元化、できればワンストップで相談しやすい相談先と個別具体的で丁寧なわかりやすい説明、教育実践を体感できる場所の提供ができればと考えます。今後のさらなる取り組みを期待いたします。

 次に、特別な支援が必要な生徒で、高校には進学したが適応できず、やむなく中退した生徒に対して県はいかなる救済策を講じているのか。

 就労を含む社会的自立への支援につきましては、昨日の太田議員の質問に対してのお答えもございましたので、教育委員会の所管に関する取り組みを教育長にお聞きをいたします。

 

◆教育長(伊藤学司)

 中途退学した生徒への対応でございます。

 特別な支援が必要な生徒のうち高校に適応できずに中途退学をした生徒に対しましては、新たなスタートとなる進路選択が最適なものとなるよう、教頭や担任を中心に中途退学後の進路指導をしているところでございます。

 具体的には、中途退学した生徒に対し「新たな進路のために」というリーフレットを配布し、進学など学習を続ける場合や就職を希望する場合に加え、地域若者サポートステーションなど地域の相談窓口の情報を丁寧に説明をしているところでございます。

 また、昨日、太田議員の質問に県民文化部長がお答えをしたとおり、地域に設置された子ども・若者支援地域協議会には学校関係者もそのメンバーに加わるなど関係機関と連携をしながら情報を収集し、中途退学した生徒への支援に努めているところでございます。

 また、高等学校では、中途退学者に対しては、中途退学をした時点のみならず、その後2年間にわたり訪問や電話により相談に乗っているところでございます。

 県教育委員会といたしましては、今後とも、関係機関と連携を密にとりながら、特別な支援が必要な生徒に対し、高等学校を通じ、中途退学後の必要な情報を届けていけるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

 

◆石和大

 中学生全般の進路指導で、自分が選んだ高校が一番いい学校という指導をしていると思いますが、それは大事なことです。学力で選抜されるということはありますが、それはその時点の学力の定着の状況ということです。高校に入ってからの伸び代は大きなものがあります。

 そこで、スモールステップという観点が大事です。一歩一歩着実に前へ進む。時には一歩下がっても、次の一歩をもう一度頑張る。そのときの支援、応援が必要だと感じます。

 いずれの子供たちにとっても高校はゴールではないわけです。全ての子供たちがいかに高校で学び、スキルアップするか、生きる力を育てるかです。社会での自立した生活、多様な生き方を模索できるようなさらなる工夫を期待いたします。

 次の質問に入ります。東京オリンピックに向けた県の取り組みについてお聞きをいたします。

 オリンピック開催地として長野は世界的にも名が通っています。もちろん、全国にも長野オリンピックという記憶は残っています。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックは、オリンピックが、17日間で28競技、選手数約1万1,000人、チケット販売数780万枚、パラリンピックは、13日間22競技、選手数約4,000人、チケット販売枚数約230万枚という予測があります。大手シンクタンクは、16%が海外から、20%が国内の宿泊を含む旅行者、64%が国内日帰りだと想定をしています。それに従えば、約130万人の海外からの旅行者と900万人の国内旅行者が発生します。

 2020年の東京オリンピックという題材を使って長野にもう一度オリンピックの波及効果をと願う県民は少なくないと思います。

 そこで、お聞きをいたします。オリンピックの事前合宿、キャンプの誘致についてであります。

 サッカーワールドカップの折も、各国のチームが全国のいろいろなところでキャンプを張り、地元住民との交流を初め、経済波及効果も少なからずありました。そして、全国にニュースが流れて、そこの地名が有名になったわけです。

 松本でもパラグアイがキャンプを張り、地元の子供たちと交流がありましたし、ゴールキーパーのスター選手の名を冠した大会も開催されました。

 そういうことですから、東京オリンピックに関しても全国各地が事前合宿誘致に動き出しているというふうに考えられます。中には、その市町村の優位性に基づいて、具体的にオリンピックのこの種目、パラリンピックのこの種目について既にターゲットを絞ってアプローチをかけているというような情報もあります。

 他県の動きについて把握しているようなことはあるか。お聞きをいたします。そして、長野県としてどのように動き出しているのか。お聞きをいたします。

 もちろん、事前合宿を受け入れるのは各市町村単位かと思います。市町村に対してどのようなアプローチをしているのか。お聞きをいたします。

 県の役割とすれば、県内の合宿可能な施設、競技施設、強化施設、宿泊施設等の正確な把握と情報発信があると思いますが、どんな施策を考えているのか。

 また、オリンピアンやパラリンピアンへの働きかけを初め、各競技団体に対する働きかけとそこを通じての各競技団体へのアプローチをどのように考えているのか。教育長にお聞きをいたします。

 

◆教育長(伊藤学司)

 オリンピック・パラリンピックの事前合宿の誘致に関するお尋ねでございます。

 東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿は、トップアスリートのプレーに触れることで競技者や子供たちに大きな夢をもたらすスポーツ振興の観点を初め、異文化との交流や地域の活性化などさまざまな分野への効果が期待されるところでございます。

 そのため、全国的にも事前合宿に対する関心は高く、現時点では本県も含めまして少なくとも32の道府県において誘致に向けた動きがあると承知をしてございます。その取り組みの多くは、市町村の意向や施設の把握、連絡会議を開催するなど、情報収集の段階であると認識をしてございます。

 本県でも、昨年11月に関係部局から成る庁内連絡会議を設置し情報収集に努めているほか、12月には県内市町村に対し誘致の意向などを調査しており、本年3月には事前合宿の誘致に関する市町村の担当者を集めた連絡会議を開催し、国や競技団体から得た情報の提供や意見交換を実施したところでございます。

 また、ことし5月には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の副事務総長を招き招致活動への支援について私と直接意見交換をさせていただいたほか、文部科学省に対しても要望しているところでございます。

 事前合宿の誘致に関しましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、誘致を希望する自治体の情報を取りまとめ、2年後に開催されるリオデジャネイロオリンピックの際に事前合宿を希望する国や地域に対し情報提供する予定というふうに伺ってございますが、県としては、こうした取り組みを待つだけでなく、事前合宿の誘致に向けより積極的な対応ができるよう準備を進めてまいりたいと考えてございます。

 次に、事前合宿誘致に向けた県の役割と競技団体へのアプローチについてのお尋ねでございます。

 県では、今申し上げましたように、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や県内の競技団体との連携を密にし、それぞれの競技で求められる施設の情報などを把握するとともに、今後改めて市町村への調査を行いながら本県が有する施設の情報を取りまとめ、英語など外国語に翻訳した情報を含め、ホームページを活用した海外への積極的な情報発信に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 また、今後の事前合宿の誘致に当たりましては、御提案の本県出身やゆかりのオリンピアン、パラリンピアンや県内の競技団体を通じまして各国の競技団体へアプローチをしていけるよう検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 

◆石和大

 各国へのアプローチとしては各国の在日大使館への働きかけも重要だと思います。ぜひ、銀座NAGANOへ招いてアピールをするという方法もあるのではないでしょうか。もちろん、事前合宿の誘致だけではなくて、信州産の農産物やさまざまな物産、産物のアピールも含めてセールスを銀座NAGANOから発信すべきと考えます。計画的な企画を期待いたします。

 オリンピックの事前合宿は観光にも大きな効果があります。各国の代表選手による事前合宿の誘致が実現すれば長野の知名度向上につながるとともに、県の魅力を発信する絶好の機会となると考えます。事前合宿の誘致が実現した場合、国内外からの観光客の誘致にはどのように活用するのか。観光部長にお聞きをいたします。

 

◆観光部長(野池明登)

 県内で事前合宿が実現をした場合、国内外からの観光客誘致にどのように活用するのかというお尋ねでございます。

 まず、海外への発信でございます。長野県の美しさ、健康長寿、スポーツの適地としての優位性等を実感をしていただき、自国で積極的に発信をしていただくため、記憶に残る心のこもった対応で長野を特別な存在としてもらう取り組みが必要と考えます。

 また、地域のブランド化の面では、世界一流のチーム、アスリートに選ばれた具体的な理由、価値をその地域のブランド力向上につなげていく必要がございます。そして、合宿という貴重な縁を一過性のものとせず、幅広い分野の継続的な交流につなげていくことが重要と考えております。

 県内で事前合宿が実現した場合には観光面でもその効果を国内外で最大限生かせるよう、市町村、地域と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆石和大

 浅間山麓の高地トレーニング構想を初めとする県内での動きも活発になってまいります。ぜひ、これからのお取り組み、これまでも申し述べたとおり、全国各地での取り合いということが本格化してまいります。都道府県単位ということではだめな部分もあるかと思います。全国ネットワークの形成というようなことも必要になり、そんな方向に動き出すことも考えられます。長野県として決して乗りおくれないように熱意ある取り組みを期待し、質問を終わります。

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