9月定例県議会-発言内容(石和大議員)

 

◆石和大

 おはようございます。改革・新風、石和大でございます。それでは一般質問をさせていただきます。

 東日本大震災、そして長野県北部地震、そして松本地方でも大きな地震の被害がありました。とうとい命をなくされた皆様方に謹んで哀悼の意を表します。そして、被災された多くの方々にお見舞い申し上げます。さらには、今般のたびたびの台風の来襲により多くの被害が出たことに対しましても哀悼とお見舞いを申し上げます。

 改めて、自然の猛威に対する人知、人力の非力さを実感をいたします。しかし、手をこまねいているわけにはいきません。英知を結集して、天災から身を守る手だて、最善の策を講じることは政治の大きな責任であります。

 我が信州は、大いなる自然に恵まれた、緑麗しく水清き郷土であります。であるがゆえに、急峻な山々が立ち並び、わき出る水もその中を通るうちには急流にもなり、時には大きな被害が出ることもあります。ですから、信州にとって治山、治水、そして利水は大きなテーマであり続けています。

 そんな背景の中で、長野県の電気事業は、昭和33年、治水、かんがい及び発電を目的とした三峰川総合開発事業、この一環として美和、春近発電所の建設から発足し、以来50年余りにわたり水資源の積極的活用によるローカルエネルギーの確保を図り、治水、かんがい、上水道事業とも連携しつつ、郷土の産業、文化の発展に資する、そして洪水や渇水対策としての河川の流量調整にも携わってきたものであります。そして、現在、14の県営発電所があり、9万9,050キロワットの出力を有しているわけであります。

 この電気事業も、平成15年からの民営化計画により、中部電力への事業譲渡という方向に向け協議はされています。確かに、民間電力会社のスケールメリットを生かした効率的な運用等や企業債返済リスクの排除など、当初の目的は合理的なものであったというふうに思われます。しかし、このたびの大震災により、また社会情勢の変化等により、いろいろな状況が大きく変化していることも、だれもが感じていることであります。特に、福島原発の事故による放射能の飛散という事態は、日本じゅうの人々にとって目に見えないものに対する恐怖としてだれもが不安を感じています。自然エネルギーへの転換という考え方は多くの県民の皆様の希求するところとなっています。

 そこで、今回の私の質問では県営水力発電の展望と自然エネルギーの普及と自給について伺いたいと思います。

 まず、知事にお伺いをいたします。

 福島第1原発の事故後、自然エネルギーへの関心が高まる中で、2003年策定の民営化計画に基づく中電への譲渡は今立ちどまってしっかりと見直す必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

 次に、企業局が管理する県営発電所やダムを民間電気事業者がその附帯施設の維持管理も含めて行っていくことは、利益を圧迫する可能性があっても将来にわたり維持される保障はあるのか。企業局長にお伺いをいたします。

 原発へのリスク懸念から、国の電力事業へのかかわり、事業のあり方も見直される可能性があるというふうに考えられます。また、1995年以降の電力自由化によって懸念されたコスト競争は目立ったものにはなっておりません。電力を取り巻く環境は変化をしており、県営事業として継続し、利益追求だけではない、公共性と安全性の健全な維持を考えるときではないでしょうか。企業局長にお伺いをいたします。

 次に、本定例会の補正予算の中での自然エネルギーに関するものについて2点上がっておりますので、その点についてお伺いをいたします。

 自然エネルギー普及モデルの構築として官民協働で立ち上げた自然エネルギー信州ネットに新設される技術部会に専門的知識を持ったスタッフを配置し、地域の特性を生かした自然エネルギーの地産地消モデル構築に向けた取り組みを推進するというふうにありますが、具体的にどんなことを行うのか。環境部長にお聞きをいたします。

 もう1点、自然エネルギー自給型コミュニティーモデルの構築として、自然エネルギーの自給を目指すコミュニティー構想やビジネスモデルを市町村と連携しながら検討することにより自然エネルギーの自給率の向上を図るということになっておりますが、具体的にこれはどのようなことを行うのか。これも環境部長にお聞きをいたします。

 

◆知事(阿部守一)

 お答えします。

 まず、中部電力への県営電気事業の事業譲渡についてのお尋ねでございます。

 基本的には、昨日、木下議員にお答えしたところでございますけれども、私は、これまでの経過も踏まえつつ、新しい視点、新しい時代環境のもとで改めて考えていくということが重要だというふうに思っております。福島第1原発の事故を契機といたしまして、国全体のエネルギー政策、電力政策、大きく見直しをされていこうという状況になっております。

 また、再生可能エネルギー法案、成立をしたということを受けて、これは、いわゆる水力を含めた自然エネルギーの普及拡大にとっては追い風が吹いてきているというふうに思っております。

 また、さらに、私自身もこの場でも何度も御答弁申し上げておりますけれども、長野県としては自然エネルギーを普及拡大させていくということが、これは地域の資源を生かすということにもなりますし、循環型経済を長野県において構築するということにもつながるというふうに考えておりますので、そうしたもろもろの状況変化を考えますと、単にこれまで行っていたことを粛々と継続するということではなくて、やはり新しい観点でこの電気事業のあり方ということを再検討するということが必要だというふうに思っております。

 やや余談になりますけれども、私も、横浜市で、自然エネルギー、温暖化対策、中心になって取りまとめてきましたけれども、実は、横浜市の議論の中で、例えば横浜グリーンパワーといういわゆる電力会社的なものをつくっていってはどうかという議論が出たこともありました。なかなか横浜市にはそういう事業の核となるものがなかったので直ちに実現するということは難しい状況だったわけですけれども、長野県の場合は、企業局、電気職の職員もいるということで、自然エネルギーを核に据えたこれからの県政運営ということを行っていく上では、これまで企業局が培ってきた経験やノウハウというものも大変重要だというふうに思っておりますので、そうした点も十分念頭に置きながら、これは議長からの申し入れを受けて今進めているわけでありますけれども、県議会の皆様方の御意見もちょうだいする中であり方をしっかりと改めて見直していきたいというふうに思っております。

 以上です。

 

◆公営企業管理者職務執行者・企業局長(山本浩司)

 初めに、県営水力発電所を譲渡した場合の施設の維持に関するお尋ねでございます。

 中部電力との事業交渉に当たりましては、一つとして、発電所及び附帯設備を一体で譲渡すること、二つとしまして、発電事業を善良な管理のもとに継続をすること、三つとしまして、河川総合開発への参画等に伴う地元協定等は原則として承継することを前提に協議を進めているところであります。したがって、事業譲渡後におきましても、水力発電事業の継続に必要な施設については将来にわたり維持されるものと認識しているところでございます。

 次に、水力発電所の県営事業としての継続についてのお尋ねでございます。

 公営企業が行う電気事業は、利益追求だけが目的ではなく、県民に対して良質の電気をより安価に安定的に供給することを目指してきたところであり、それぞれの時代が求めた役割に対してこれまで一定の成果をおさめてきたものと考えております。

 県営事業としての継続につきましては、昨日来知事からお答えしたとおりでございますが、今後の公営企業のあり方の検討の中で、本来の目的である公共の福祉のためにこれからどのような役割を果たしていくことが望ましいのか、また果たしていくべきなのかを改めて考えてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

 

◆環境部長(荒井英彦)

 自然エネルギー信州ネットに設置する技術部会の具体的な取り組みについてのお尋ねでございます。

 自然エネルギー信州ネットは、地域における自然エネルギーの普及モデルを構築することを目的としました全県的な推進組織であり、県も構成員として参画し、情報提供や地域組織の立ち上げなど必要な支援を行っているところでございます。

 このたび新設される技術部会には専任の技術スタッフを配置をし、専門技術の情報収集、また発信を行うとともに、長野県の地域特性を生かした自然エネルギー技術の創出支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。これによりまして、今後設立される各地域協議会で検討する普及モデルの構築において、革新的、またモデル性の高い事業内容となるよう支援をしてまいることといたしております。

 こうした取り組みを通じまして、長野県の技術を活用したメード・イン・信州の自然エネルギー産業や、本県の特性を生かした自然エネルギー事業の普及を進めてまいりたいと考えております。

 次に、自然エネルギー自給型コミュニティーモデルの構築についてのお尋ねでございます。

 今まで、県内市町村におきましては、新エネルギービジョンの策定、あるいは国の緑の分権改革推進事業を活用したポテンシャル調査、また実証実験などが数多く取り組まれてきておりまして、地域の特性に応じた自然エネルギー普及施策が検討されてきたところでございます。

 こうした県内の成果を次の段階としてより実効性のあるものにしていくためには、採算性のとれるビジネスモデルや資金調達の手法等の検討により事業化を図っていくことが不可欠であると考えております。また、エネルギーの自給率を高める自然エネルギー供給の事業化という観点からは、まず一定のエリアに着目して具体的な事業モデルを構築していくことが有効であると考えております。

 この事業におきましては、例えば日照条件がすぐれている地域が公募の中から選定された場合、当該地域の特定のコミュニティーにおいて、公共施設、企業、また住宅に対して集中的に太陽光発電を設置することができる事業モデルの具体化などについて、市町村、事業者、また関係主体の参画によりまして検討することを想定している事業でございます。

 また、このように検討した事業モデルを、その地域だけでなく、県内の他の地域にも普及することによりましてコミュニティーレベルのエネルギーの自給率を向上させ、分散型のエネルギー供給体制の構築につなげてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆石和大

 先般、文教企業委員会で南信地域への現地調査の折、上伊那広域連合からの要望がありました。その中に、「長野県による水力発電の継続について」という項目があります。そこには、クリーンな再生可能エネルギーである水力発電は重要なものであり、特に、廃止することは時代に逆行するものであるというふうにあります。この廃止というのは西天竜発電所のことを指すものであります。地域とのかかわりも含め、長野県による水力発電を継続してほしいという要望であり、伊那市、辰野町、箕輪町、飯島町、南箕輪村から出ているわけであります。

 ここでは、特に西天竜発電所の廃止という事態について言及がされているところでありますが、ほかの地域でも県営発電所とのかかわりが深い地域では、治水、かんがいといったいろいろな面について不安を感じているのではないでしょうか。改めてお聞きをいたします。

 さらには、そういった地域の皆様を中心に、広く県民の皆様にもクリーンエネルギーとしての水力発電への新たな期待が生まれてきているのではないでしょうか。どういうお考えか。お聞きをいたします。

 

◆公営企業管理者職務執行者・企業局長(山本浩司)

 事業譲渡によります地域への治水、かんがいへの不安についてのお尋ねでございます。

 特に県営発電所と関係の深い地域におきましては、関係者に不安を与えることがないよう丁寧な説明、対応に努めてきたところでございます。

 中部電力との事業譲渡交渉は、発電所の存続や河川総合開発への参画に伴う地元協定の原則承継などを前提に進めております。このため、水力発電事業の継続とともに、地元協定にかかわる施設につきましても原則として当然に維持されるものでありますが、今後とも地域に不安を与えることがないよう引き続き丁寧な説明、対応に努めてまいりたいと考えております。

 次に、水力発電に対する新たな期待についてのお尋ねでございます。

 福島第1原発の事故を契機としましてクリーンエネルギーへの期待が高まっており、中でも水力発電は安定的な電力として一定の役割を担っていくものと認識をしているところでございます。今後、公営電気事業のあり方を検討する中で、どのような役割を果たすことができるのか検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆石和大

 次に、電力会社についてでありますが、原子力発電所を停止しているところも数多くあります。中部電力も、浜岡原発を政府の要請により停止しています。浜岡原発をとめることにより発生するコスト、つまり中電の負担増は1日数億円とも言われています。全般として、電力会社の経営状況も安定感を欠く状況が発生することも考えられます。

 こういった状況の変化の中ですから、これまでの交渉過程では発生しなかった新たなる課題も生まれてきているのではないでしょうか。つまり、経営リスクへの懸念も含めて、今までの安定経営で余力もある電力会社という面だけではない状況の中で、地域の事情、かかわりについて、発電所と地域のかかわり、先ほど来原則として承継されるという答弁が続いておりますが、そういったことにしっかりと配慮できる、それが将来にわたって保障できるとお考えかどうか。企業局長にお伺いをいたします。

 

◆公営企業管理者職務執行者・企業局長(山本浩司)

 地域の事情、かかわりの将来的な保障についてのお尋ねでございます。

 中部電力において、福島第1原発の事故を起因として浜岡原発が停止され、それに伴う影響が発生するなど、これまで考えていなかった事情が生まれてきたことは御指摘のとおりでございます。

 先ほどもお答えいたしましたとおり、現在行っている中部電力との事業譲渡交渉は水力発電事業が継続されることを前提として行っているものであり、相手方に状況の変化があってもこの前提条件は譲渡交渉の基本であると考えております。その点、十分認識をしてしっかりと譲渡交渉を続けてまいりたいと思っております。

 

◆石和大

 次に、自然エネルギーの普及と自給についての関連でお聞きをいたします。

 これまで、長年、企業局として県営発電所を運営してきたノウハウの蓄積があります。そして、自然条件に恵まれている、すなわち水力発電所を現に持っているというこの長野県の事情であります。これは、もっと小さな小水力発電の研究開発へも向かいやすいということだと考えていますが、企業局長、いかがでしょうか。

 

◆公営企業管理者職務執行者・企業局長(山本浩司)

 小水力発電の研究開発についてのお尋ねでございます。

 水力発電事業の開発、運営を通じまして蓄積したノウハウは貴重なものと考えているところでございます。このノウハウの活用につきましては先ほど知事からお答えしたとおりでございますが、御指摘のありました小水力発電の分野は、さまざまな再生可能エネルギーの中でも企業局が持つノウハウがより活用できる分野であることから、これまでもその推進を支援してきたところでございます。

 今後も、引き続き、環境部等との連携を図りながら、積極的に支援、協力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 

◆石和大

 自然エネルギーの自給率の向上と分散型の供給体制の構築という目標があり、メード・イン・信州の自然エネルギー技術創出ということであれば、縦割りではなくて、企業局と環境部が連携をし、まずはメード・イン・信州の自然エネルギーのあり方、これについてしっかりとグランドデザインをつくるというところから、実際の技術の蓄積がある、今お話のあったとおりであります、そういうところと、これから構築することを目指すというところがしっかりと協働するところから始めたほうがよいと考えています。事業を進めるに当たり、企業局と環境部の連携を強く要望をいたします。

 最後に、知事にお聞きをいたします。

 メード・イン・信州の自然エネルギー技術、産業創出を目指すということですが、知事の自然エネルギーへの転換に対する意識と熱意を改めてお聞きし、質問を終わります。

 

◆知事(阿部守一)

 お答えします。

 自然エネルギー転換への意識と熱意という御質問でございます。

 東日本大震災を契機にして、さまざまな気づき、我々国民、感じている部分があると思います。そうした中で、一つは、原発事故に起因して、従来の大規模かつブラックボックス型というか、市民からなかなかわかりにくいエネルギーシステムから、より市民に身近で地域分散型のエネルギーシステムをつくっていこうという動きが加速化してきているというふうに思っております。

 国会で成立した再生エネルギー法案もそうした方向性の一つだというふうに思っておりますし、私ども長野県を初めとして、かなりの都道府県が自然エネルギーの普及拡大ということを目指そうという動きが出てきているわけであります。

 自然エネルギーの普及拡大、これは、地域の未利用資源を生かして地域に新しい産業、新しい雇用を起こすということにもつながるわけでありまして、私ども長野県の地域の資源、そして知恵、資金、そうしたものを有効に循環をさせていくための一つの大きなきっかけだというふうに考えております。

 そういう観点で、先ほど関係部長から答弁申し上げましたように、自然エネルギー信州ネットで技術部会をつくって、これは、長野県の地域特性に適したメード・イン・信州の自然エネルギー技術やあるいは産業の創出支援、こうしたものを強力に進めていきたいというふうに思っております。

 こうしたことを通じまして自然エネルギー自給戦略の検討を本格化させますとともに、自然エネルギーへのエネルギーシフトを着実に、かつスピーディーに進めて、長野県の地域経済の発展を図るとともに、地域の自立というものにもぜひつなげていきたいというふうに考えております。

 そういう意味で、私としては、この自然エネルギーの普及拡大、県政としては大変重要な施策の一つだということで全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

 

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